opinion:林 雅之「ITパーソンの未来は人脈にあり」第1回 〜始まりは上司からの一言だった
NTTコミュニケーションズ
クラウド・エバンジェリスト
林 雅之氏
IT系メディアでの寄稿・ブログの展開、セミナーでの講演を精力的にこなし、クラウド業界のオピニオン・リーダー的な存在として広く知られる林雅之氏。同氏は2014年9月、勤め先のNTTコミュニケーションから「エバンジェリスト(伝道師)」の肩書きを正式に得た。そんな林氏の話は、エバンジェリストとしての自身のこだわりから、クラウド業界の動向まで多岐に及んだ。ここでは、そのインタビュー内容を2回にわたってリポートする。
始まりは上司からの一言だった
— 2014年9月から名実ともに、NTTコミュニケーションズのエバンジェリストになられましたが、それによって何か変化はありましたか。
最大の変化は、社内での認知度が上がったことです。例えば、社内で人とすれ違うときに、「あっ、会社の公式ページに載っていたエバンジェリストの林さんですね」と声をかけられるケースが増えています。また、「お客様のところに訪問するので同席してほしい」、あるいは、「エバンジェリストとして中立的な意見が聞きたい」といった依頼の連絡が、社内の各所からくるようにもなりました。
— その変化は逆に意外ですね。クラウド業界での林さんの知名度は、以前からかなり高かったと思うのですが。
そう言っていただけると、とても嬉しいのですが、外での私の活動は、社内ではあまり知られていなかったのが実情なんです。
— それでも、エバンジェリストに任命された理由はどの辺りにあるのですか。聞くところでは、「エバンジェリスト待望論」が社内にかねてからあったとのことですが。
実は、「うちにも、エバンジェリストを置いたほうがいい」と言い始めたのは、私なんです。
— それは、自らエバンジェリストになるために、なんですか。
うーん、そうだったら、なかなかの策士と言えますが、残念ながらそうではないんですよ(笑)。声を上げた時点では、まさか自分がエバンジェリストに指名されるとは思っていなかったんです。結果的にそうなっただけと言えますね。それに、社内での私の立場はエバンジェリスト専任ではなく、あくまでも本業は自社のクラウドサービスの広報・宣伝とマーケティングです。仕事の7割がその業務で占められ、残りの3割でエバンジェリストとしての仕事をこなすといった格好です。
— それでも、エバンジェリストが必要とされた理由は何なのでしょうか。
やはり、複雑で分かりにくいITサービスを、お客様目線でわかりやすく伝える立場の人間が必要だったからです。ちなみに、2014年10月の段階で、私も含め4分野4名のエバンジェリストが任命されています。
— そんな中で、林さんが(エバンジェリストとして)最も大切されていることは何でしょうか。
1つは、クラウド業界の発展のために、率先して有益・公正な情報を発信し続けることです。ですから、自社の宣伝はさて置いても、お客様の課題解決につながるクラウドのサービスを積極的に紹介していく。それが、エバンジェリストとして当然の役回りだと考えています。
— エバンジェリストの肩書きを持つことで、大変なことは何かありますか。
周囲から、「何でも知っている」と思われることすね(笑)。私は、あくまでもマーケティング系のエバンジェリストです。ですから、例えば、技術の深いところの知識になると、やはり研究者や腕利きのエンジニアにはかないません。
お客様からは、技術だけではなく、クラウド関連の法律から業界動向に至るまで実にさまざまなご質問を受けますし、依頼される講演のテーマも多岐に及んでいます。そのたびに、いろんなことを勉強させていただいているんです。
— ところで、エバンジェリストとしての土台を築くきっかけは何だったのでしょうか。
実を言えば、かつての私はとても内向きな人間でした。変わるきっかけは、30代半ばの私に当時の上司が投げかけた次の一言です。
「もっと外へ出て、いろんな人に会ったほうが将来のためだぞ」
この言葉で目覚めた私は、さまざまな社外の勉強会や研究会に参加するようになり、人脈が自然と広がっていきました。また、ある勉強会で講演した永井孝尚氏(書籍『100円のコーラを1000円で売る方法/発行・発売:KADOKAWA』の著者)が、「ブログは毎日書いたほうがいい」と話されていたので、「なるほどそうか」と影響を受けて、毎日ブログを書くようにもなりました。結果、「ブログを毎日書くIT業界人がいるぞ」と注目されるようになり、講演などの依頼が来るようになったということです。
【プロフィール】林雅之
NTTコミュニケーションズ クラウド・エバンジェリスト
地方で中小企業の営業ののち、マレーシアにて法人営業および国際イベントの企画・運営に従事。組織再編後、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発などの業務などを担当。政府・地方のクラウドおよび情報通信政策関連の案件担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画に従事。2014年10月現職に。
国際大学GLOCOM客員研究員
社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー
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