都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第5回 2021年2月
47都道府県の動向
D4DRでは、観光地への往来が回復し、産業として復興するよう応援・確認する目的から、47都道府県ごとのSNS上の観光話題の定点モニタリングをスタート。20年10月から毎月追いかけている(対象メディアはTwitter、主に話題量の変化から状況を確認している)
都道府県別 旅行・観光話題量の変化(前年同月比)
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11月の宿泊数は前年の7割まで回復
東京発着がGoToトラベル対象となり最初の3連休
前月同様、まずは観光庁における都道府県別宿泊者の統計データを確認する。GoToトラベル対象に東京発着の旅行が追加されてから初の3連休を迎えた11月。全国の観光地の混雑も報じられ宿泊利用はさらに回復、前年の69.5%となった(図1)。
年が明け緊急事態宣言の再発出、往来が再びストップ。
Twitter上の47都道府県別の観光話題量を比較
続いて、前回同様1か月に観光話題(”47都道府県名”、及び”観光”または”旅行”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外)が多くみられた都道府県を分析。 20年12月から21年1月の主要な関連動向は、以下となる。
■12月
・大阪府での通天閣赤色点灯(独自指標での非常事態) (12/3)
・北海道の集中対策期間の1/15までの再延長発表(12/11)
・GoToトラベルの全国一斉停止(12/28)
・東京都の1日の新規感染者数が初めて1,000人を上回る(12/31)
■1月
・東京都の1日の新規感染者数が初めて2,000人を上回る(1/7)
・1都3県を対象に、緊急事態宣言の再発出(1/7)
・宮崎、熊本、三重、長崎において独自の緊急事態宣言を実施 (1/7~順次)
・緊急事態宣言の対象地域に7府県の追加(1/13)
・北海道の集中対策期間の2/15までの再々延長発表(1/14)
1月の話題量上位10のうち京都、大阪では前月に続き、大幅な話題の減少が確認されている(図2)。 ※緊急事態宣言の対象となった福岡においては、前月から微減にとどまっているが、前年同月比でみるとワースト10にランクインしており、大きな影響を受けていることが分かる。(図3)
前年1月の話題量を最も下回ったのは大阪の38.6%
全国的にも20年8月を下回り、前年同月比過去最低を更新
次に、季節要因による増減を排除して考察する目的から、前年と比べて観光の話題発生の減少が大きい、特に課題のみられる都道府県を確認。21年1月の前年同月比ワースト10の都道府県を調査した(図3)。
1月の前年同月比ワーストは前月に続き大阪で38.6%。奈良も12月の73.4%(ワースト9位)から39.6%(ワースト2位)へと急落している。他も計測後の最低基準だった8月の前年同月比を更新するまで後退している。
参考までに図4では21年1月の話題量(縦軸)と前年同月比(横軸)の関係をマッピングしている。12月と比べてさらに左下へとシフト(話題量、前年同月比とも低下)し、課題水域を示す緑枠(件数5,000件以下、前年同月比80%以下)にマッピングされる都道府県が多くみられるようになった(前年同月比がワースト10の(=課題が窺われる)都道府県を赤字で示している)
依然注目!コロナ禍で「各都道府県の観光客が少ない」とする言及が継続発生
別の視点として、話題から各都道府県への観光客の「戻り」を把握するため、19年の平均観光話題量上位10都道府県(初回記事にて選出)を対象に、客足のボリュームの印象に言及した内容に絞った調査も行っている(図5、 “都道府県名”、及び”観光客”または”旅行客”、併せて”多い””少ない”のキーワードを含むツイートを分析 ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外 )⇒ダウンロード資料では全都道府県掲載!
※例:次のようなツイートを調査
昼飯に出たけど、四条烏丸、むっちゃ人が少ない!観光客、とくに外国人をぜんぜん見かけない。雨のせいもあるかもだけど、未だかつてこんな状況は見たことおまへん(´・ω・`) #京都 #四条烏丸
— エル嵐山 HR995MR441/ tacozbo Lv48 (@El_Arashiyama) April 1, 2020
観光客が少ないので退屈そうな鹿#奈良公園 pic.twitter.com/AJbx4FsFRN
— うましかじじい (@umashika_jijii) April 4, 2020
観光客の少ない状態がもはや日常となったことで、”多い””少ない”ともに言及量には低下がみられるものの、比率でみると、”少ない”の出現率は、コロナ前の平常時と比べて明確に高い状態が続いている。ボリュームの低下は、むしろ観光産業の危機と捉えられるだろう。
全日にわたりGoToトラベル全国一斉停止期間となった21年1月も、上位10都道府県の多くで、旅行客・観光客について”少ない”とする比率が高い状態が確認され、以下のようなツイートがみられていた。
20時になりました。
— Break (@ok_break) January 13, 2021
猿沢池のスタバ、客はわたくめ含めてわずか4人。
ときどき来店してますが、こんなに少ないって…。
2018年度、奈良県の日帰り観光客の34%は大阪府、9%が兵庫県から。
宿泊客は関東圏36%、中部圏24%。
東京に限れば16%。
緊急事態宣言の影響大。https://t.co/tqpW04SJUf
福岡さ、人少ないよね?たしかに昨年の緊急事態宣言の時はゴーストタウンだったけど、いまでも、夜の飲食、居酒屋、人が少ないとおもう。わたしの主観ですが。観光客いないし、みんな自粛ちゃんとしてるんだなーと。
— ルミ子 (@rumigirl7) January 13, 2021
#北海道道
— PG@北海道 (@hakodate71) January 22, 2021
函館に来る観光客は、目に見えて減っています。ベイエリア付近は歩いてる人が少ないです。
21年2月中旬時点では、首都圏など10都府県を対象に、3月7日までの緊急事態宣言延長が決定している。いっぽう感染者数は減少傾向にあり、東京都の1日の感染者数は500人を下回る状況に改善、栃木県においては緊急事態宣言が解除されるなど、このまま順調に感染者が抑制されれば、宣言解除への道は見えてきた。
振興施策のGoToトラベル再開は緊急事態宣言の解除と併せて、観戦状況の”ステージ2″が条件となっている。札幌など観光地のお店では、GoToトラベル、地域共通クーポンの張り紙が残されているなど、これらが”解禁”され、安心して観光客に来訪してもらえる状況を心待ちにする状態が続いている。D4DRでは引き続き、月1回Twitterを対象に前月分の定点調査結果を公開し、数値から復興の動向を継続的に分析していく。
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Ichiko Oki
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