SNS分析はどちらを使う? twitter、Instagramの定量比較 (ちょいみる分析)
今回のちょいみる分析は、普段からソーシャルメディアなどSNS分析を使った調査を担当している私、市古(いちこ)が、空き時間をつかってやった(ことにしてる)「ちょいみる分析」をお届けします。
「SNS分析・ソーシャルメディア分析」のなかで、特に他と傾向が違うのが、画像SNSのinstagram(インスタグラム)です。
“いや、いくら最近流行ってても、日本ではtwitterのほうが使われてるでしょ!?”
“まとまった数のユーザーが利用しているSNSなら、どれをみても似たようなことがわかるはず”
それって間違いではないのですが、15年以降は必ずしもそうと言い切れない状況へと変わってきています。
選択を誤ってしまうと、分かるものも分からないことになるかも。
商材の購買・体験の投稿では、 多くのケースで量・質ともにInstagramがtwitterを上回ります
今回は、この傾向を「えいや」で定量化してみました。
さらりとなので、ユーザーインサイト抽出や効果測定のご参考になれば。
mami+がおやつをほおばりつつ、テキストマイニング中心にお届けした第2回の分析「無印良品週間」では、
インスタグラムで「#無印良品週間」を見ることで、「ボーダーシャツ」「カレー」など、
さまざまな無印商品の購入・体験画像が確認できることがわかりました。
でも、そういえば、きちんとした数字ってみたことないかも。
ということで、検証もかねて今回は…
【エントリーNo.1】
キャンペーン・イベント名「無印良品週間」(4/1〜6/21)
ご存知僕たちの無印良品が10%OFFになるセール期間
【エントリーNo.2】
消費商材「(ハーゲンダッツ)抹茶クランブル」(2/1〜6/30)
再販リクエスト平均比6倍を獲得したというハーゲンダッツの大ヒット限定商品
【エントリーNo.3】
家電「GreenFan Japan」(4/1〜6/30)
自然の風に近く画期的と評判の、バルミューダの扇風機
の3商材を題材に、インスタグラム、ツイッターの
「話題全体における、商材体験(購買を含む)の比率(=以降、商材体験率)」
を調べてみました。
※今回季節性と商品力・認知度などを加味して、あとは自分の好みで選んでおりますが、実際、多くの商材に共通する傾向といえます。
「無印良品週間」
イベントワード「無印良品週間」で、インスタ投稿の商材体験率は9割!
※商材の絡まないイベントの場合は、イベント体験率に置き換えて考えることができます
☞one more point:ちなみに商材体験以外の投稿って?
-インスタグラム:クーポン、当日の意気込みとコーディネイト、店頭来訪の様子など
-ツイッター:企業告知、消費者認知、おすすめアイテムのキュレーション記事拡散など
「抹茶クランブル」
食品でも商材体験の投稿数はインスタが上回った。
画像に映る要素から利用シーンが把握しやすい
twitterはキャンペーンや告知などバランスの良い話題発生で、ひととおりの分析が可能
☞one more point:ちなみに商材体験以外の投稿って?
-インスタグラム:キャンペーンサイトのスクリーンショットなどに限定
-ツイッター:企業告知、キャンペーン参加投稿、媒体記事、店頭在庫言及や興味喚起など
「GreenFan Japan」
購入頻度の低い家電においても、インスタグラムは投稿の95%が利用者。
ユーザー分析で購入者像や背景まで掴むことができる
☞one more point:ちなみに商材体験以外の投稿って?
-インスタグラム:(商材が写っておらず、利用も確認できない)部屋や家族の画像などに限定
-ツイッター:アフィリエイトや販売店告知、企業告知、興味喚起など
【結論】
俯瞰分析のtwitter、商材の評価ポイントやユーザーインサイト抽出ならインスタグラム
目的や予算に応じたSNS選びが、効果的な分析のポイント
今回の分析では、いずれも、商品体験の投稿はインスタグラムがtwitterを上回るなど
分析対象はインスタグラムを最優先すべきかのような結果となっていますが、目的やご予算に応じた選択が重要です。
例えば、写真で共有しづらいプロモーションや拡散を狙う告知、などの話題全体をインスタグラムを使って見ることは難しいと言わざるをえず、インスタはあくまでtwitter分析を補足する役割となります。また好意的な投稿が中心のため、ポジ・ネガ比を出すことよりは、ポジティブ意見から興味喚起のポイントや評価点を抽出したり、誰に、どのように使われているかを把握することに、より適したメディアです。
いっぽうtwitterを選択することで、話題全体はひととおり網羅できるため、商材や企業、サービスがどのポイント・タイミングで話題になっているか、など把握できます。ただし商材の体験投稿の少なさ、140字の文字制限、ニュースやネタを拡散するメディア特性などから、購入したユーザーからの評価抽出は商材を選びますし、ニュースばかり拡散しているユーザーの属性判定は難しいものとなります。
例えば、今回の「抹茶クランブル」はtwitterでも評価抽出が可能ですが、「GreenFan Japan」はinstagramでのみそうした分析が可能といえます。
前回のちょいみる分析で、有難いことに良品計画でご活躍された奥谷さまから寄稿いただいたように、
twitterは「認知」「興味喚起」「検討」がわかるメディア
instagramは「体験」がわかるメディア
と言うことが出来ます。
ざっくり分けると、
#現状の把握・プロモーションの効果測定
(基礎俯瞰・話題全体の定量や構成比把握、クチコミからの課題抽出)
⇒ twitter分析
#成果にフォーカスした分析
(商材の支持・評価のポイントや、購入者の属性・興味関心領域などの把握、購入者像からの課題抽出)
⇒ instagram分析
と言え、両方みると因果関係などもわかり、より深い分析となります。
また商材によっては
・ブログ
・facebook
・NewsPicks
・Yahoo!ニュース(コメント)
・価格.com
・cookpad
などを選択したほうが、インサイトが得られるケースもあります。
D4DRでは、目的に合せて最適な媒体や分析項目をご提案し、レポートをご提供させていただいています。
Ichiko Oki
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