ツイッター分析によるCM効果測定 日清カップヌードル「魔女の宅急便」編(ちょいみる分析)
テレビCMのクリエイティブによって関心ポイントや反響はどう変わるか? 違いをツイッター分析で可視化
今回で7回目の連載となる『ちょいみる分析』は、テレビCMの広告効果をSNS分析(twitter)により検証してみたいと思います。
一般消費財のテレビCMでは、クリエイティブにアニメを起用するケース、有名タレントを起用するケースをよく見かけます。さまざまなクリエイティブによってCMの反響は異なるのか?検証方法として従来からさまざまな手法が用いられてきましたが、最近ではSNS分析を用いて反響を評価することができるようになっています。
そこで、今回はクリエイティブにアニメを使用したCMとタレントを起用したCMに対する反響を、ツイッターの投稿を分析し、メディアプランニング、広告施策に活かすことができるか?検証を試みました。
分析の題材は、最近ツイッターで話題になっていたCMの中から、アニメCMを代表して日清カップヌードルの 『もし、魔女の宅急便のキキが17歳の女子高生だったら ―カップヌードル2017年新CM』と、タレントCMを代表して2017年上半期CM起用社数ランキング1位・広瀬すずさん出演の明星チャルメラ『人を卒業して猫に?広瀬すずの「チャルメニャ~」新CM』を取り上げます。
検証1回目の今回は、日清カップヌードルのアニメCMを対象に、以下の分析を行ってみました。
◆配信後と配信前のトレンド変化(時系列のツイート数推移)
◆視聴者の関心対象(リツイート数および出現単語数のランキング)
◆視聴者の評価とそのポイント(ポジネガ分析)
CMは、スタジオジブリの「魔女の宅急便」主人公キキが女子高生という設定や、イラストを担当された漫画家の窪之内英策さん、 声優には新世紀エヴァンゲリオンの綾波レイの声で有名な林原めぐみさん、さらにCM中の曲はBUMPOFCHICKEN、と注目を集めそうな要素が盛りだくさんの内容です。
果たして、どんな人達の心に響き、どんな反応が多く見られたんでしょうか?
CM配信開始の前後のツイッターデータを元にまずはトレンドの推移、リツイート数ランキングと出現単語のランキングを見ていきます。
アニメCMだから出来た多様な話題性 注目はジブリだけじゃない!
まず、CMが配信される前後の期間(6月12日~6月26日)のツイート数をグラフにしてみました。期間中のツイート数は87,137件。(うちリツイートされた件数は76,680件。)
ポイント1つ目は、配信当日に6万件以上のツイートしたこと。短期に注目を集めたことがわかります。
それ以降も継続してはいますが、2つ目のポイントとして、配信前にも約100件/日以上のツイートが発生していたこと。カップヌードル公式アカウントからのツイートやその拡散、メディア・新聞からの告知が効果的になされていました。
次にリツイート数ランキングと出現単語数ランキングで何が話題の要因かを確認しました。
まずはリツイートの多かったツイートは何だったのか、ランキングを作ってみました。
リツイートされた数の多かった投稿者(配信元)
・カップヌードル公式Twitterアカウント
・CM関係者(BUMP OF CHICKEN、窪之内英策)
リツイート数1位はカップヌードル公式アカウントで、リツイート全体の50%を超えており、次いでCM関係者が行った宣伝tweetの拡散が多く見られました。
続いてツイートに含まれる出現単語を抽出し、ランキング化してみました。この分析では、ツイートに多く含まれた単語をみることによって、どのような話題に注目が集まっていたかをみていきます。
※1.全体の比率50%を超えているリツイート数ランキング1位のカップヌードル公式アカウントのリツイート数を除外した件数
出現単語数ランキングの傾向
リツイートの半数を占めていたカップヌードル公式アカウントを含めると当然のようにブランド名や関係者名が上がりますが、それらのリツイートを除外して集計してみても、
『魔女の宅急便』『アオハルかよ』以外に『窪之内英策』『BUMPOFCHICKEN』『梶裕貴』『記念撮影』など、イラストレーター、声優、ミュージシャン、CM中の曲など、多様なトピックに触れているツイートが上位にきているのが分かります。
リツイート数ランキングと出現単語数ランキングからみられた傾向
この2つの分析から下記のような傾向が確認できました。
・公式アカウント及びCM関係者のツイートが多くリツイートされ話題の中心となっていた。
・相対的には少ないものの、相当数の注目が、CMで起用されたイラストや、音楽、声優にも集まっていた。
同じアニメ好きでも賛否が分かれる!ジブリのイメージを壊さないで!
次に、リツイートを除いた10,547件からどんな人達にどのように影響して反応されているかをポジネガ分析と合わせて投稿者の関心領域(関心領域:投稿者が日々どんなことをツイートしているのか)も見ることにしました。
結果はポジティブツイートが42%ネガティブツイートが15%でポジティブツィートが3倍ほどあるもののネガティブツィートも一定量ある状況です。
ポジティブ・ネガティブなツイートを出している方の関心領域を調べてみました。
まずはポジティブなツイートをした方の関心領域
関心領域:Twitterでよくツイートされている内容また趣向
CMの感想として「CMが良い」「キキ・CMが可愛い」「BUMP ・ジブリ好き」「最高」など具体的に表現しているツイートが
圧倒的に多く目立ちました。そこで関心領域を調べてみると下記のような傾向がありました。
・アニメ好き
・BUMP OF CHICKEN好き
CMで起用されている声優さんやミュージシャンのコアなファン層の人達に響いて反応されているのが伺えます。
【代表エントリー】
次に、ネガティブなツイートをした方の関心領域を出してみました。
関心領域:Twitterでよくツイートされている内容また趣向
BUMP OF CHICKEN好きや声優など現代のアニメやミュージシャンなどのコアなファン以外からの声が多い傾向が見られました。
また、同じアニメ好きの人達でも昔ながらのジブリのイメージとは違う作品に対して『キモイ』『違和感』を感じた発言が多くありました。
CMの感想として「嫌い」「キモイ」「無い」と表現しているツイートが多く
圧倒的に多い関心領域が下記の部類になります。
・ゲーム好き(ポジティブの関心領域には見られない)
・音楽好き (BUMP好きはほぼ見られない)
【代表エントリー】
起用されているキャストや現代のアニメ・ミュージシャンに対して好感のある人達は好評なツイートが多く見られ
昔ながらのジブリの世界観を気に入っている人などからは不評なツイートが多くみられる結果になりました。
ツイッターから分かるCMへの反響と新たな広報活動への課題
とかくCMというと本来の目的であるリーチを増やすことや、ターゲットセグメントからのブランドイメージを向上させることに注目が集まりますが、それらだけを定量的に把握していくと、調査費用は嵩んだ割には要因の把握につながらないこともあり得ます。
今回取り上げたCMは、有名アニメを起用したこともあって、反響の絶対数も多い上に、「絵」「音楽」「ストーリー」「声優」と様々な話題を集めていました。
企業が出稿するCMは本来的には、「なぜ」「どうして」反響があったのか、無かったのか、といっった結果の検証も必要だと思います。
ツイッター分析では、比較的手軽に人々が何に注目、反応したか、CMを見た人々の評価はどうか?を見ることでCMの反響を知ることができます。
また、これらの分析はプロフィールの分析なども行うことで、『どんな人達にどういう風に反応されているか?』が分かりますので、新たなプロモーション活動の一環としてSNSを活用するケースで、
「ツイッターやInstagramによって得られる二次波及効果につなげるにはどうしたらいいか?」
「話題性だけではなく企業・商品イメージの評価がどう購買に影響していくか?」
を確認することも可能になります。
次回は、明星チャルメラ『~人を卒業して猫に?広瀬すずの「チャルメニャ~」』のCMについて芸能人・タレントの持つイメージは起用した企業や商品イメージにどのように貢献するのかを実際に、『どんな人達にどういう風に反応されているか?』『購買に結びつくようなツイートはあるのか?』を見ていきます。
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