都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第7回 2021年4月
47都道府県の動向
D4DRでは、観光地への往来が回復し、産業として復興するよう応援・確認する目的から、20年10月より47都道府県ごとのSNS上の観光話題の動向を定点モニタリングしている(対象のソーシャルメディアはTwitter、主に話題量の変化から状況を分析している)。過去の公開記事一覧はこちら
都道府県別 旅行・観光話題量の変化(前年同月比)
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1月の宿泊数は前年の40%と再低下
感染再拡大を受け、2度目の緊急事態宣言の発出
前月同様、まずは観光庁における都道府県別宿泊者の統計データを確認する。全国的な感染拡大を受けて、2度目となる緊急事態宣言が発出された。宿泊数が前年比6割と減少に転じた12月に比べ、GoToトラベルの全国一斉停止もあり宿泊利用は更に減少し、前年の40.1%となった(図1)。
緊急事態宣言解除前から、全国的には感染再拡大傾向に
Twitter上の47都道府県別の観光話題量を比較
続いて、前回同様1か月に観光話題(”47都道府県名”、及び”観光”または”旅行”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外)が多くみられた都道府県を分析。 21年2月から3月の主要な関連動向は、以下となる。
■2月
・10都府県を対象に緊急事態宣言の1か月延長決定(2/2)
・東京都の1日の感染者数が500人を下回る(2/7)
・栃木県における緊急事態宣言の解除(2/8)
・北海道における集中対策期間の再度1か月延長(2/13)
・4/12からの、65歳以上のワクチン接種開始予定の発表(2/24)
■3月
・1都3県を対象に、緊急事態宣言の2週間延長(3/5)
・日本国内感染者数が1,127人となり、増加に転じる(3/9)
・東京都(靖国神社)で桜開花を確認(3/14)
・12の都府県で合わせて150人/週が変異ウイルスに感染(3/23)
・感染状況が落ち着いている都道府県を対象に、地域観光事業支援を4月以降順次開始の発表(3/26)
・大阪府がまん延防止等重点措置の適用を国に要請(3/29)
3月の話題量上位をみると、計測開始以降の最低水準だった前月より増加傾向にあった(ただし修学旅行の行先を報告するハッシュタグ投稿が多く含まれ、旅行ムードにつながる話題量の回復は限定的)。なお、沖縄県の著しい増加は、キャンペーンの応募に対する自動返信のツイートが多く含まれていたことが原因と考えられる。
コロナ禍初期の20年3月との観光話題量比較
今月から下位の都道府県が大きく入れ替わった
次に、季節要因による増減を排除して考察する目的から、前年と比べて観光の話題発生の減少が大きい、特に課題のみられる都道府県を確認。21年3月の前年同月比ワースト10の都道府県を調査した(図3)。
前年同月比ワースト1位は島根で37.2%、2位は鳥取で40.6%、3位は香川で49.4%であった。鳥取や島根は20年3月時点ではコロナ感染者数が0であったため、前年の20年3月は人の少ない場所へ観光に来る人々に対する批判的なツイートが大幅に増加していた。次月以降は、下位の都道府県について、コロナ禍からの回復状況を確認していく。
参考までに図4では21年3月の話題量(縦軸)と前年同月比(横軸)の関係をマッピングしている。今回はコロナ禍初期との比較となり、前年同月100%を上回る都道府県数も18と増加しはじめている(ピンクのエリアの都道府県増加を確認し、回復度をみていく)。なお、前年同月比がワースト10の(=課題が窺われる)都道府県は引き続き赤字で示している。
観光客の多さに対する言及量は多少回復しているものの
コロナ前には未だ及ばず
別の視点として、話題から各都道府県への観光客の「戻り」を把握するため、19年の平均観光話題量上位10都道府県(初回記事にて選出)を対象に、客足のボリュームの印象に言及した内容に絞った調査も行っている(図5、 “都道府県名”、及び”観光客”または”旅行客”、併せて”多い””少ない”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外 )。前月までは”少ない”にフォーカスしていたが、今月以降は”多い”の出現量と比率の回復を分析していく。⇒ダウンロード資料では全都道府県掲載!
※例:次のようなツイートを調査
沖縄入りしました〜!
— たくたび@ANA/ダイビング (@ANA18564232) March 23, 2021
観光客多いぞー
東京駅で学生の旅行客っぽいの多いなーと思ったら春休みか 社会人生活に慣れ過ぎてそういう感覚が皆無、、 年度末という感覚しかない
— なお (@naosyonan) March 23, 2021
10都道府県共通の傾向で、 コロナ後はコロナ前と比較して“多い”の出現率が低下している(京都・奈良では低下が特に顕著)。11月には若干の増加傾向がみられるが、21年3月は沖縄を除くと出現数・出現率の両方で従来の値を満たすには程遠く、観光客の増加には今後も時間がかかると予想された。
下旬に緊急事態宣言が解除され、GoToトラベルの全国一斉停止が続いた21年3月には、以下のようなツイートがみられていた。
沖縄に行きたい。だけど観光客多いのか…。/ 「Go To」ナシでも観光客殺到 ”海外代わり”の沖縄にバブル到来か【コラム】 https://t.co/Ua4cfncscT @traicycomより
— KawamotoTakashi (@kawamotomemo) March 28, 2021
京都行ってた人たちは観光客でめちゃくちゃ人多いって言ってたし、みんな普通に旅行で移動しまくってるのかな。制限中の東京でも人はいっぱい居たっぽいし。
— 盛丘わんこそば (@one_cosoba) March 30, 2021
感染状況が落ち着いている都道府県内の旅行に対する割引事業を財政的に支援する「地域観光事業支援」を4月1日以降、順次開始すると観光庁が発表したが、感染者数は徐々に盛り返し、4月5日には大阪など3府県、12日から東京など3都府県、16日から首都圏3県と愛知県にまん延防止等重点措置が適用された。 4月23日時点では、解除から1か月で、大阪、兵庫、京都、東京を対象に緊急事態宣言の再発出を控えた状況となっている。
一般市民にむけたワクチン接種はスタートしたが、東京五輪の開催意向や変異株による病床のひっ迫もあり、観光ムード再開はもう少し先になりそうだ。D4DRでは引き続き、月1回Twitterを対象に前月分の定点調査結果を公開し、数値から復興の動向を継続的に分析していく。
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Ichiko Oki
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