武蔵野美術大学教授、Xデザイン研究所共同創業者
京都工芸繊維大学卒業後、クリナップを経て、日本IBM にてデザイナーとして製品、ソフトウェアからサービスまで多様なデザインとコンサルティングを担当、日本IBM ユーザーエクスペリエンスデザインセンター長(技術理事)、千葉工業大学デザイン科学科/ 知能メディア工学科教授、2019年4月より現職。
注目する「未来コンセプト」
d-08「生涯学び続ける価値観」
私がXデザイン学校や、社会人も含めた教育に携わっている理由でもありますが、やはり学び続けることは楽しいことなんです。
私は、人間が学ぶことをしなくなってしまったら、生きることをしなくなるということに近いと考えます。
「生涯学び続ける」この価値観を大事にする社会が、人間が幸福であるためにも重要だと考え、こちらを選びました。
個人的に、日本の学校教育は苦労して勉強する・辛い、と植え付けられてしまったように感じます。学習へのトラウマを抱えている人も多いでしょう。
そもそも「学ぶことは楽しいこと」と、就学時から入りたいですよね。
d-06「自給自足志向」
藤元さんとも一緒にやっているPLANTIOは、自分たちに必要なものは自分たちで作っていくという概念をベースにしたビジネスです。
自給自足は「働く」ということ。そして「働く喜び」は何かを作ることだと思います。
農業は食べるものを作るという、働く喜びに溢れていると感じます。
何か新しい作物を作ろうとやってみたら、うまくできなかったりする。
そこで人間は、うまく作るために何が必要かを学ぼうとする。そうすると、働く喜びと学ぶ喜びが得られるんですよ。
自給自足はある意味で、働き続けることと関係がある。自分たちで必要なものは自分で作ることによって、自分が楽しいし、自分が満足できるものが作れるという素晴らしいライフスタイルであると思います。
「百姓」という言葉は、百のスキルを持っている人というのが語源だそうです。
そもそも人間は、色々なスキルを学んで色々なことを達成し、そこに喜びを感じてきました。
現代の自給自足生活は、テクノロジーの力を借りればはるかに楽にやれる。生きる喜びを感じるために、ますます広がっていく考えだと感じます。
追加したほうが良いと考える「未来コンセプト」
「サーキュラー・エコノミー」
現在の151の未来コンセプトは、全てサーキュラーエコノミーにつながってはいますが、いちおう本命として入れておいたほうが良いと感じました。
循環型社会は、これからの経済、産業、社会全てにおいて必要な要素であることは間違えないので、未来に向けた大きな変化であると考えています。
今回いただいたご指摘に関してはC-18:サーキュラーエコノミーの発展の未来コンセプトの予想される社会的な影響に、経済・産業・社会すべてにおいて必要な要素と追記いたしました。
また2022年年始に、更に多くの有識者の方々より「未来コンセプトペディア」に対するご意見をいただき、進化を続けていく予定です。乞うご期待ください!