インスタグラム投稿から”新たな生活トレンドの浸透・定着”を把握。重要度をスコア化 -生活者インサイトスコア-
まだ見ぬ未来の生活のヒントは”現代の端っこ”に有り
現代のインスタグラムで兆候を確認、予測した未来とのギャップを埋める!
現状の社会課題から10年、20年先のあるべき未来の姿を予測する”バックキャスティングアプローチ“を掲げるD4DRでは、その精度を高めるための、現代を前提としたフォアキャストアプローチも提唱している。一見分かりにくいかもしれないが、つまり現代の最先端と、未来の尻尾をつないで方向性が誤ってないか、確認することを示している。
ここではそのための現代の先端な生活を選択しているエクストリームユーザーと、一般的な利用スタイルについて、一部のトレンドを対象に調査を行った。
なお重要度を測るスコアとして、10~20年後の未来に「日常生活やライフスタイルに大きな影響を与えるもの」「社会や産業を大きく変化させるもの(ビジネスチャンスをもたらすか)」の2つの視点から、FPRCフェローと有識者の採点をもとに、D4DRが独自に設計した生活者インサイトスコアを用いている。
暮らし・食・文化から気になるトレンド5点の調査例
時間や居場所の制約無効化などコロナを経て加速したトレンドも
B.A 01.都会から地方への移住者が増加する
B.A 02.ノマド人口が増加する
B.A 03.代替肉や代替魚を食事に取り入れる人が増加する
B.A 04.メタバースでコミュニケーションを取る人が増加する
B.A 05.可処分時間が増加し、労働以外の活動に注力する人が増加する
B.A 01.都会から地方への移住者が増加する
コロナを経て職場や居住地の制約が取り払われたことで、もともとあった地方移住志向者を世論と企業の多様性を認める方向性が後押しした。
〇関連するハッシュタグ(22年4月現在)
「#地方移住」6.9万件、「#iターン」6万件、「#移住生活」23.8万件、「#移住計画」4.5万件、「#コロナ移住」1,128件。
SNSでのPR発信など地域おこし協力隊としての移住促進や、移住をきっかけに地方での本格就農も多くみられている(移住者にとって生活に必要なものの優先順位が変わり、地方にとっても都会からの移住者の慣習で求められるものが変わるきっかけとなる可能性がある)。
〇生活者インサイトスコア(未来の消費行動に与える影響、重要度)
70.83
B.A 02.ノマド人口が増加する
移住同様、職場や居住地の制約が取り払われたことで、特定の住居やオフィスを持たずに、その時々で好きな場所で暮らしたり仕事をする遊牧民的な生活者の増加が見込まれている。
〇関連するハッシュタグ(22年4月現在)
「#アドレスホッパー」2.1万件、「#ノマド」20.7万件、「#ノマドワーカー」19.2万件、「#デジタルノマド」6,337件、「#無拠点生活」271件。
「ノマド」は、作業場所を自由に変えることを意味する、ライトな「ノマドワーカー」と、居住地そのものを持たずに移動して暮らす、本格的な「アドレスホッパー」に大きくわかれている。前者はデザイナー、写真家などフリーの多い職種に加えて、コロナを経て多様なリモートワーカーが含まれるようになった。後者は、現代では学生や無職のバックパッカーのチャレンジ、期間限定の取り組みを除くと、キャンピングカー生活者などまだ限られた人のみが実践している。(例えば地価の高騰と併せて格安の宿泊サービスの普及が進むなど、拠点を持たない必要性やメリットが明確になることで、普及が進む可能性)
〇生活者インサイトスコア(未来の消費行動に与える影響、重要度)
70.83
B.A 03.代替肉や代替魚を食事に取り入れる人が増加する
健康面や個人のポリシー、フードロス軽減など複数の観点から、消費者側でも積極的に代替の食材の取り入れが進んでいる。
〇関連するハッシュタグ(22年4月現在)
「#代替肉」6,271件、「#大豆ミート」9.8万件、「#代替魚」22件、「#ソイウニ」20件、「#ヴィーガン」119.9万件、「#ビーガン」62.2万件。
「#代替魚」は22件と「#代替肉」6,271件に対して投稿量が圧倒的に少なく、味にも課題があると生活者からの投稿があり、開発・浸透とも遅れていることがわかる。代替肉のひとつとして知られる「大豆ミート」の定着には、脳では肉を食べたいが、身体が食べたくないときがあるとした投稿や、摂食障害における利用も確認。上の写真のコストコのハンバーガーなど加工済みはリピーターも多く、普及・定着がみられる。
〇生活者インサイトスコア(未来の消費行動に与える影響、重要度)
70.00
B.A 04.メタバースでコミュニケーションを取る人が増加する
発売から1年で全世界売上3,263万本を販売した大ヒットコミュニケーションゲーム「あつまれどうぶつの森」や、バーチャルに出勤して着席し、別々の場所に居ながら、同僚と並んで席に座って業務している感覚で、雑談や社内を自由に移動したり、会議室でミーティングもできる「仮想オフィス」などが浸透。メタバース空間で共に過ごす時間の発生、日常会話や業務の推進など、離れた場所でも楽しく、より円滑にコミュニケーションをはかれるように取り入れられ、技術の進歩が操作性とリアリティをもたらし、違和感がなくなってきた。
〇関連するハッシュタグ(22年4月現在)
「#メタバース」1.7万件、「#あつまれどうぶつの森」115.5万件、「#あつ森」125.6万件、「#マインクラフト」11.3万件、「#仮想オフィス」63件、「#バーチャルマーケット」1,191件。
ゲームの世界では、すでに自身のアバターを用いた個人間でのコミュニケーションが浸透しており、「あつ森」での企業公式のマイデザインなど、その世界の中で広告の役割を果たすものも投稿され、自然な広がりを見せている。(友達や家族といった周囲の人から全く知らない人まで、インターネット上で関わることにハードルを感じにくくなっている)。BtoC向けでは、バーチャルマーケットを活用してアバターでの接客をテストするBEAMSなど、積極的な企業も出現。
場所や距離の制約がなくなるため、将来的には〇〇づくりなど、体験型のワークショップや料理教室などでも、取り入れられる可能性も考えられる。
〇生活者インサイトスコア(未来の消費行動に与える影響、重要度)
78.33
B.A 05.可処分時間が増加し、労働以外の活動に注力する人が増加する
例えばリモートワークが増えたことで、これまで以上に自由な働き方が認められるようになり、業務が終了した時点で、自宅や繁華街といった、オフィスの所在地と別の場所にいることもできるようになった。また、フレックスや裁量労働制も増加し、業務を決められたルールの中でこなせば、昼休みや中抜けの際の趣味活動も可能となっている。
〇関連するハッシュタグ(22年4月現在)
「#自由時間」7.2万件、「#趣味活」1.7万件、「#仕事終わり」55.5万件、「#しごおわ」2.3万件、「#中抜け」1,800件、「#働き方改革」19.4万件、「#サ活」15.7万件。
ブームを築いている「サ活」(サウナ活動)などはもちろん、極端な例としては、仕事を中抜けして昼間に海でサーフィンをする様子や、仕事後の平日夜に友人とキャンプをする投稿も確認されている。
〇生活者インサイトスコア(未来の消費行動に与える影響、重要度)
93.33
インスタ閲覧を起点に行動変容・購入・体験投稿が循環
Z世代においても消費サイクルに大きな役割を果たしている
今回のZ世代を対象とした意識調査・投稿調査を通じて、改めて以下のポイントが明確になったと考えている。
【Z世代の消費】
・購入や消費の前には積極的な情報収集と検討が行われる
・投稿に書かれたブランドや店の名前を起点に、閲覧者から追体験が生まれていく
・インスタグラムの投稿閲覧をきっかけに、態度変容や行動変容が発生している
・接触後も、「気に入った」「満足した」等の消費体験がSNSで多く投稿される
【アプローチの視点】
・支持要因や利用シーンの把握はマスト(写真と合わせてハッシュタグや本文も確認)
・「熱量」「ジェンダー」「重視するポイント」など、「世代」「関心」の違いをおさえることが重要
・これからは「関連分野」への関心や「組み合わせ」をおさえたターゲット戦略が必要
Ichiko Oki
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