新規事業を成功に導く考え方とアイデア発想法

社内で新たに始める新規事業のアイデア出しにお困りではありませんか?

当然ながら、新しいビジネスを軌道に乗せるためには、世の中にまだないような斬新なアイデアを核にする必要があります。一見とても難しいことのように感じますが、そんなことはありません。ビジネスモデルの考え方や発想法を知れば、誰でも効率的に新しいアイデアを考え出すことができるのです。

新規事業を考える際のアイデア発想法、そしてそれを成功に導く考え方や具体的な方法について見ていきましょう。

新規事業を成功させるビジネスモデルの考え方とは

ビジネスモデルを構築する流れには、ある程度決まった「型」があります。この考え方を理解して実践することで、成功しやすいビジネスモデルを作ることができます。

会社や事業のありたい未来の姿を具体的に思い描く

新規事業を考える前に、会社や事業の未来のあるべき姿・ありたい姿の方向性をきちんと決定し、メンバーに共有しましょう。会社のあるべき姿を思い描くことは、より良い社会・より幸福な社会を実現することに繋がります。「新規事業を通して、こんな社会を実現したい!」という未来社会に対する熱い想いは、事業推進の重要なカギとなります。

自社の理念と乖離がないかチェックする

新規事業のビジネスモデルをせっかく考えたのに、自社の体質に合わず却下、といったことにならないように、必ず自社の考え方や想いとズレがないか確認しましょう。理念を守り、初志貫徹に徹している会社は、ユーザーからも信頼されます。考えたアイデアは複数人の目を通して、いろいろな角度からチェックをしましょう。

アイデアを形にしてみる

良いアイデアが出てきたら、試作品として形にしてみます。できたものは、社内外問わずいろいろな人に見せたり実際に使ってもらったりして、意見を聞いてみましょう。また、形にするにあたって、コスト面で安定して利益を得ることができるかどうかもチェックしましょう。多くの人が欲しがる商品であっても、収益性がなければ、うまくいくビジネスモデルとは言えません。

試作品が市場に受け入れられるかテストする

アイデアを形にする工程をクリアしたら、いよいよ市場に送り出し、顧客に受け入れられるかの検証をします。うまくいってもいかなくても、検証と分析を繰り返し、世の中のニーズに合わせて内容をアップデートしていくことが必要です。

以上の4つのステップを着実に進めることで、新規事業のビジネスモデルを構築し、成功くことができるでしょう。3)と4)は、机上の空論ではなく、一般の人や他社を巻き込んだ検証となる場合がほとんどです。つまり、新規事業のプロジェクトをスムーズに進めるためには、最初の段階でいかにたくさん発想してブラッシュアップし、質の良いアイデアを集めるかが重要となります。

新規事業のアイデアが思いつかない時の考え方のコツ5選

「新規事業のアイデアを集める」と口で言うのは簡単でも、実際にはなかなか思うようには浮かばないものです。ここでは、新規事業のアイデア出しに有効な切り口や考え方を5つご紹介します。

悩みや不安に注目する

多くの人が課題や疑問を感じていることを解決するサービスは、喜びに繋がるため、成功しやすい傾向にあります。世の中や日常生活で不安や不満を感じていることがないか考えてみましょう。社会不安のような大きいものでも、日常生活で生まれる小さな悩みでも構いません。前項でも述べた通り、「新規事業を通して、こんな社会を実現したい!」という熱い想いが、事業成功において最も重要なポイントとなるのです。

自社の強みを見つける

いま既に自社が持っている強みは、新規事業でも優位に働く可能性があります。いろいろな部署から人を集めたうえで、それぞれの視点から意見を出し合い、その強みが世の中の課題をどう解決できるか考えてみましょう。既存ビジネスの強みを活かして考えたアイデアは、自社の体質から大きく乖離することもなく、比較的進めやすいものとなるはずです。

他社を分析し、ニッチを狙う

自社を取り巻く環境について情報収集を行うことも重要です。市場や競合他社のデータを収集し、しっかりと分析しましょう。他社商品のターゲット層や強み、弱みを知ることで、その市場に入り込む新規事業の道筋が見えてきます。自社を取り巻く環境について情報収集ができれば、今後のトレンドの変化によって巡ってくるチャンスや脅威について予測することもできます。

未来を予測し、そこにたどり着くために必要なプロセスを逆算して考える

「未来にあるべき姿」から逆算して計画を立てることも有効です。理想を現実にするために、いまなにをすれば良いかを考えるのです。「現在」を起点にすると、具体策や正解の道筋を決定づけるのが難しい場合もありますが、未来像をしっかりと固めさえすれば、理想の実現のために必要なアクションはなにかを具体的に考えることができます。そして実際に行動と改善を繰り返すことで、着実に新規事業のプロジェクトを進められるようになるでしょう。

違う市場に目を向けてみる

全く別の市場に目を向け、いまは想定していないユーザーの目線で新規事業ができないか考えてみましょう。「別の市場でなにができるか」「なにが求められているか」という視点で考えると、模倣できそうなビジネスモデルが意外なところに転がっていたり、思わぬ斬新なアイデアに繋がったりすることもあります。

新しく参入する市場を考える時は、未来市場バックキャスティングレポートの活用もおすすめです。これは、D4DRが長年のコンサルティング経験で蓄積してきたデータや知見から、「2040年に新しく生まれる市場」を予測したものです。「ウェルネス市場」「メタワーク市場」など、今後急速に発展すると考えられる15の市場を定義しています。新規事業のアイデアを導出する参考に、ぜひご覧ください。

ゼロから新規事業を生み出すためのフレームワーク5選

ここまで読んでも、全くなにも思いつかない……そんな時には、発想法のフレームワークを使いましょう。フレームワークというのは、意思決定やアイデアを発想する際の考え方をテンプレート化したもの。思考の整理に有効な手法として有名なマインドマップもその一種です。

ここでは、新規事業を考える時のアイデア発想に、特に効果的なフレームワークを5つご紹介します。

自由にアイデアを広げる「ブレインストーミング」

ブレインストーミングは、アイデアをたくさん引き出したい時に使えるフレームワークです。「新期事業で顧客を増やす方法は?」など、設定した課題に対して、参加者それぞれが思いついたことをひたすら書き出していきます。

ここでは、出た意見に対する評価は後回しにして、「アイデアを出し切る」ことを重視します。ポイントは、「質よりもとにかくたくさん意見を出す」「他人の意見を批判しない」「実現可能性は無視して自由に発想する」「他人の意見に積極的に便乗したり組み合わせたりする」こと。出し切ったと思ったところから、さらにもう一歩踏み込んでみると、斬新なアイデアが生まれやすくなります。

集めたアイデアを整理し可視化する「KJ法」

KJ法は、出てきたアイデアを整理する際に使えるフレームワークです。アイデアをすべて付箋やカードに書き出し、内容や意味の近いものをグループ化していきます。アイデアどうしを関連づけて統合していくことで、情報の全体像を把握し、構造化することができます。グループを作る際には、一見無関係に思える組み合わせを試してみましょう。これまでにない新たなアイデアや発見に繋がるかもしれません。

グループ化が終わったら、それぞれのグループを端的に表す名前をつけます。グループに属するアイデアがあまりにも多い場合は、一度小グループを作ってそれぞれに名前をつけてから、大グループに入れ直すとわかりやすくなります。最後に、グループどうしの関係性を円や矢印で表現し、出てきたアイデアに対する理解を深めます。

アイデアを深掘りする「マンダラート」

マンダラートは、アイデアの発想を助け、深掘りすることができるフレームワークです。まず、3×3のマスを書き、真ん中のマス目に「新規事業における動画サービスのアイデアは?」といったようにテーマを記入します。次に、その周囲の8つのマス目にその課題に対するアイデアを書き込んでいきます。それぞれのアイデアは、テーマと関係が深いもの、他のアイデアと重複しない内容のものであることが重要です。すべて埋めたら、さらに3×3のマスを8つ用意します。この新しく用意した8つのマスの真ん中を、最初に作ったマス目に書いた8つのアイデアでそれぞれ埋めます。そして今度は、それぞれのアイデアについて思いつくことをさらに8つ書き出します。

一見、たった8つかと思いますが、実際にやってみると埋めるのは意外と大変な作業です。ですが、ここで知恵を絞ることになるからこそ、アイデアを深掘りできるともいえます。また、すべてのマス目が埋まれば、少なくとも72個のアイデアを集めることができるのも大きなポイントです。

9つの質問で思考を広げる「オズボーンのチェックリスト」

オズボーンのチェックリストは、ひとつのアイデアに対する9つの質問で可能性を広げるフレームワークです。9つの質問とは、次のようなものです。

  1. 他の使い道はないか?
  2. 他に真似できるアイデアはないか?
  3. 見た目などを変えてみたらどうなるか?
  4. 抽象度を高めるとどうなるか?
  5. 具体性を高めるとどうなるか?
  6. 素材やアプローチ方法など、他のもので代替できないか?
  7. 要素や順番などを入れ替えてみたらどうなるか?
  8. 上下左右、役割などを逆さにしてみたらどうなるか?
  9. 組み合わせたらどうなるか?

この考え方は、既になにかひとつ核となるサービスやアイデアがある場合に効果的な方法です。闇雲に思考を広げていくよりも、アイデアを多角的かつ効率よく見ることができ、さまざまな切り口からより具体的に新規事業の検討を行うことができます。

未来のあるべき姿から逆算して考える「バックキャスティングアプローチ」

バックキャスティングアプローチとは、SDGsや環境問題の解決にも使われている思考法。未来の理想の姿から逆算して、いかにそこへたどりつくかの実現手段を考えるフレームワークです。

まず、会社や自分自身のあるべき姿を具体的に考え、書き出します。次に、その姿を実現するために、「なにが課題か」「課題解決に活かせる要素はなにか」を洗い出し、必要な行動やアイデアをできる限りアウトプットします。最後に、このアイデアを時間軸に並べ、未来のあるべき姿の実現に向けたアクションプランを具体化していきます。

最初に理想像を設定する時や、アイデアを出す時は、時間軸や実現の可能性などをいったん忘れて取り組むことがポイントです。未来は不確かなものであるからこそ、一見とんでもないと思えるような見方や考え方が役に立つことが大いにあるからです。

思いついたアイデアをブラッシュアップする考え方3選

アイデアを出すことができたら、いよいよ具体的に新規事業のビジネスモデルを考えます。この時、思いついたアイデアをうまくブラッシュアップする考え方を知っていれば、効率よくプロジェクトを進めることができ、ビジネスの成功にも繋がります。

5W1Hで利用シーンや利用目的をより明確化する

新規事業のアイデアに対して5W1Hの問いかけを行い、検討を行います。具体的には、「When(いつ/販売・提供期間)」「Where(どこで/販売のルート)」「Who(誰が/ターゲット)」「What(なにを/商品・サービスの内容)」「Why(なぜ/購買の動機)」「How(どのように/販売・提供方法)」の6つ。必要に応じて、ここに「Whom(誰に対して)」「How much(いくらで)」も加えます。考えた商品やサービスの利用シーンやターゲットなどを、より具体化・明確化する時に使える考え方です。

4P分析でアイデアを掘り下げる

4P分析とは、マーケティングで活用される考え方。「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(提供場所や流通方法)」「Promotion(販売促進)」の4つの「P」について検討し、戦略を練ります。新規事業を考える時はサービス内容ばかりに目がいきがちですが、実際は価格や販売の方法、宣伝の仕方など、ビジネスを拡大するために考えなければならないことは多々あります。逆にいえば、これらについて事前にしっかりと検討・議論をしておけば、ビジネスが成功する確率はより高まるのです。

ペルソナを設定してビジネスのブレを少なくする

ペルソナとは、製品やサービスを利用する象徴的な顧客像のことを指します。「年代」「性別」だけではなく、「住んでいる場所」「住居の形態」「家族構成」「職業」「年収」「趣味」「価値観」などまで細かく設定し、新規事業を継続していく上で最も大切にしたいユーザー像を具体化します。

「このペルソナに届けるためには、どんな宣伝ツールが適当か」「適正価格はどれくらいか」など、ペルソナに合わせて計画を立てることで、より顧客に刺さりやすい商品・サービスとなります。また、ビジネスを成功させるためには軸のブレは禁物ですが、このペルソナ設定をしっかりやっておくと新規事業への迷いが少なくなり、社内での意識共有にも役立ちます。

まとめ

新規事業を考える際、良いアイデアは闇雲に追っても出てくるものではありません。まずはビジネスモデルの考え方や発想のコツを理解し、必要に応じてフレームワークもいろいろ試してみましょう。自分に合った方法を見つけて、質の良いアイデアをたくさん集めることこそが、新規事業を成功させる近道です。効率よく効果的なアイデア発想法で、思い描いた未来へ向けて、着実に検討を進めていきましょう。

D4DRでは、新規事業のご担当者様向けに、「新規事業アイデア創出ワークショップ」を開催しています。弊社がコンサルタント事業を通して長年培ってきたナレッジと、独自のフレームワークを提供するため、特別な準備が不要で、独創性のあるアイデアを生み出すことができます。

アイデアの創出だけでなく、内容の評価や、新規事業開発に向けた方向性の決定まで、手厚くサポートいたします。ワークショップの流れなど、詳しくは新規事業アイデア創出ワークショップのページをご覧ください。

新規事業・新サービスアイデア創出ワークショップ

新規事業立ち上げの種となるアイデアを創出し、新たな領域への挑戦を支援します。

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