BtoBマーケティングとは?担当者なら知っておきたい基礎知識

BtoBマーケティングとは

BtoBマーケティングとは、企業や組織が顧客である企業や組織に対して、商品やサービスなどの商材を知ってもらい、買ってもらい、使い続けてもらうために行う一連の活動です。

マーケティングというとBtoCのマーケティングを思い浮かべる方が多いかと思います。本記事では、BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いにも触れながらBtoBマーケティングの重要性、手法等を解説していきます。

BtoBマーケティングの全体像

マーケティング全体像
①調査・分析
 -自社分析
 -顧客分析
 -競合調査
 -市場分析
 -STP分析
 -SWOT分析
 -ペルソナ設計
 -カスタマージャーニー
②戦略策定
 -ターゲティング戦略
 -コスト戦略
 -差別化戦略
③施策立案・実行フェーズ
 1) 商材認知
 2) リード獲得
 3) リード育成

上の図は、BtoBマーケティングの全体像です。重要なのはマーケティング戦略であり、戦略を正しく導くために行う調査です。

BtoBマーケティングの全体像は実はBtoCと変わりません。大きく変わる部分は施策の部分です。そもそもBtoBとBtoCの違いは、顧客が企業か生活者であるかであるため、BtoBの特徴をしっかり押さえた顧客調査・分析を戦略策定前に行っていれば問題ありません。

BtoBとBtoCの違い

まず、マーケティングにおけるBtoBとBtoCの違いを理解しましょう。
BtoBとBtoCでは次のような違いがあります。

BtoBマーケティングの特徴

上記のBtoCとの違いからBtoBマーケティングの特徴を見てみましょう。

判断基準

商品やサービスを購買する判断基準に大きな特徴があります。

 ・自社が抱えている課題をどのように解決してくれるのか
 ・どれくらいの期間で効果が現れるのか
 ・費用対効果がどのくらい期待できるのか 
 ・導入による人件費や労力の削減はどのくらいなのか
 ・ほかのサービスはどうなのか
 ・自社でできることは何か など

このように多面的な視点から購買を検討します。

検討した結果、自社の課題解決にかける費用に対してサービス導入の価値が高いと判断されると購買に至ります。

販売促進(プロモーション)

企業(法人)に対する販売では必要とする顧客に適切なサービスを提供することが、購買判断のカギとなります。そのため不特定多数の人に宣伝するのではなく、見込み顧客に必要な情報を適切なタイミングで提供することが重要となります。

また、企業ごとで提案するサービスが変化することもあるため、個別提案することもあります。自社製品やサービスが取引先の企業にとって最適であることをプレゼンし、購買を検討してもらいます。

意思決定者

企業が商品やサービスを購買するとき、購買の意思決定をするために購買企業側でいくつかのステップがあります。

いくつかのステップを経てから購買されるという複雑な購買プロセスをたどります。そのため外からでは意思決定のキーパーソンや決裁権を持つ人が誰なのかが分かりにくい側面があります。購買につなげるためには窓口となる担当者だけでなく、その奥にいる購買の意思決定をもつ複数人を納得させなければいけません。

会社の強みや実績、競合他社と比較材料に使えるコストや効果の数値など、客観的なデータを伝えることが効果的です。

価格の違い(高低と流動)

ビジネスツールやコンサルティングなどBtoBで扱う商品・サービスは企業に向けた機能的・専門的なものであり、一つ一つの単価が高額になるものが多いです。

またBtoBでは取引相手となる企業の予算や要望を聞き、企業のニーズに合うサービスを個別に作成し、見積もりを出します。BtoCでは決まったサービスを決まった価格で提供することが多いですが、BtoBでは価格が固定されていないことがあります。

検討期間

検討期間は比較的長く、数か月以上かかることもあります。前述した、複数人の意思決定者がいることや単価が高額であることなどの要素があるからです。

また、ビジネスであるため購買が赤字につながってしまう事態を避けなければいけません。企業は採算が取れるかどうかをじっくりと検討し、購買の判断をします。一度の取引が行われると、長期にわたってビジネス関係が続いていくことも特徴の一つです。

BtoBマーケティングの流れ

BtoCとの違いを押さえたところで、BtoBマーケティングではどのようなことをするのでしょうか。顧客の意識の変化とともに、マーケティング方法も変わっていきます。

具体的なBtoBマーケティングの流れについて確認していきましょう。

BtoBマーケティングでは、購買に向けて下記のような活動の流れがあります。

  1. 見込み顧客(リード)を獲得する「リードジェネレーション」
  2. 見込み顧客(リード)を育成する「リードナーチャリング」
  3. 見込み顧客(リード)を選別する「リードクオリフィケーション」
  4. 営業に情報を共有し、商談化
  5. 顧客の満足度を確かめ、PDCAを回す

このような流れの中で、顧客を獲得するための行動、獲得した顧客を購買に促すための行動が必要となり、特にマーケティングと営業で担当が変わる場合は、しっかりとした連携が取れていることが非常に重要となります。

BtoBマーケティングにおける重要な考え方‍

BtoBマーケティングを行うにあたって重要な考え方があります。
以下の3つの考え方をしっかり押さえておくことで、ブレることなくマーケティング活動を行うことができます。

顧客を深く理解する

まずは、顧客をしっかり定めましょう。

次のような質問に答えられることが顧客理解につながります。

 ・抱えている悩みや課題はどのようなものか
 ・どのような行動をとっているか
 ・主な情報収集源はどこか
 ・どのような購買プロセスをたどるのか
 ・購買の決め手となる点は何か
 ・どのようなゴールを求めているのか

答えが抽象的な場合、顧客理解に努める必要があります。

顧客理解を深めるために、

 ・過去の取引先の企業にインタビューする
 ・蓄積している顧客データの分析を行う
 ・カスタマージャーニーを作成する

などが挙げられます。

顧客を定め、顧客理解を深めると必然とするべきことが明確になります。
しかし、顧客理解を進めるにあたって留意点があります。
BtoBの特徴で挙げたように、複数の意思決定者の中には、業種・職種・役職といった異なる属性の顧客が含まれています。例えば、「人事部の課長」と「営業部の担当者」であれば、日々の業務内容や感じる課題が違います。

このようなことを意識せずに、大きな枠組みで捉えてしまうと、顧客が遠のいてしまいます。

顧客理解を深めるために、デジタルツールの活用も一つの手段です。

デジタル活用の大きなメリットとして、

1つ目に顧客の反応を即時に受け取れることです。

例えば自社Webサイトを閲覧したユーザーの情報から、今後顧客になる可能性のあるユーザーを推測することができます。またWebアンケートなどを活用すればサービスに対する顧客の反応を得ることができます。
こうした行動記録や反応などの情報をマーケティング活動に反映することで改善を図れます。

2つ目に顧客育成や成約以降のコミュニケーションを容易にすることです。

例えば、チャット機能ツールを導入し、新規顧客の悩みをリアルタイムで解決することで会社の信用性を高めることができますし、既存顧客にメールマガジンを送ることでは自社サービスに更に興味を持ってもらうこともできます。

このようにデジタルツールをうまく活用することで、マーケティング活動はより最適なものになり、顧客とより密なコミュニケーションが取れるようになります。

自社の状況に応じた取り組みを考える

自社の状況を把握し、状況に応じた取り組み内容を考える必要があります。
まず顧客やリードがいない場合、新規リードを獲得する必要があります。リード獲得では、広告運用やLP制作、メール配信など自社のリソースや目的にあう手法を選びましょう。

すでに顧客やリードがいる場合、ニーズ調査や満足度調査から活動を始めるようにしましょう。これらの調査データから、自社の商品・サービスに対する不満点や満足点を確認して、改善や改良につなげます。ニーズを把握することで、商談や案件もスムーズに作り出せます。

部門間の連携体制を整える

BtoBマーケティングの一連の流れの中で、マーケティング・営業(インサイドセールス・フィールドセールス)・カスタマーサクセスなど、複数の部門を介します。その際に、漏れなく情報を共有できる体制が整っていることが非常に重要となります。十分な情報共有ができず、獲得したリードに対して間違ったクロージングをし、失注してしまうことがあります。
また獲得したリードが受注に繋がったかどうかが情報共有されることで、マーケティング担当者はより受注に繋がる可能性が高いリードを獲得するための施策を実行することができます。

このように部門内のことだけでなく、それぞれの部門が担う役割を把握し、情報共有を行うことで、継続的な商品・サービス利用が見込めるようになります。

まとめ

BtoBマーケティングとは何かという基礎知識から、BtoBマーケティング活動における重要なポイントを解説しました。BtoBマーケティング活動における施策は多様になってきていますが、根底にあるポイントをしっかりと抑えることが成功への近道となります。

上記のようなポイントをしっかり抑え、顧客と良い関係性を構築することで、顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益である顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)が高めることにつながります。自社商品・サービスの認知から購買に至るまで、必要とする情報を的確なタイミングで提供することが顧客とよい関係を築くポイントになります。

顧客のニーズや自社の状況をしっかり把握した上で、明確なマーケティングを行いましょう。

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Sho Sato

D4DRアナリスト。Web分析からスマートシティプロジェクトまで幅広い領域に携わる。究極のゆとり世代の一員として働き方改革に取り組んでいる。

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