DX戦略策定の3つのアプローチ
現在企業では、クラウドやAI、IoT、ビックデータ、ロボティクスなどを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が不可欠になってきています。 一方で、「DXにどのように取り組めばよいか分からない」、「なかなか期待通りに進まない」という声をよく聞きます。
DXを推進し、成果を出していくためには、その礎として目指すべき将来像やロードマップを定めたDX戦略の策定が必要となります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、「クラウド・IoT、AIなどの先進的なデジタル技術を活用し、将来に渡って新たな価値を生み出し続けるために、ビジネスモデルや組織を変革すること」です。
「デジタルトランスフォーメーション」を直訳すると「デジタル変革」であり、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した「ITの浸透によって人々の生活をあらゆる面でより良い方向へ変化させる事」(出所:Wikipedia)と定義されています。
なぜ、DXが必要なのか?
現在では、モノ(所有)からコト(利用)への消費行動の変化、AI・IoTなどのデジタル技術を駆使するディスラプターの登場により、生活者や顧客企業の行動様式が大きく変化しています。さらに、企業においては既存システムのレガシー化や人材不足が顕在化し、将来の競争力低下を招くリスクが高まっています。
この様な急激な変化に対応し、市場で勝ち続けていくためには、デジタル技術を駆使し、企業のビジネスモデルを変革し、競争力を高めていく事が重要となっています。
DXの成功は戦略で決まる
DXを実現するためには、根本となる「目的」を明確に設定する事が重要です。DXに取り組んでいる企業からは、「DXにどのように取り組めばよいか分からない」、「なかなか期待通りに進まない」などの様々な悩みを耳にしますが、これらに共通する点は「戦略の曖昧さ」です。
✔ DXにどのように取り組めばよいか分からない…
- 目的があいまい
→ ビジョンの設定 - 従来のビジネスの延長線上から脱却できていない
→ デザイン思考で飛躍 - 企業内での理解が得られない
→ ビジョンの共有
✔ なかなか期待通りに進まない…
- ツール・システム導入が目的化している
→ 顧客視点の設計 - PoCから先に進まない
→ ステップと見極めポイントの設定 - 成果があいまい
→ 意思決定方法の設定
ITシステムやデジタルツールを導入するという手法から着想し、並行してプランニングするケースであっても、DXの目的は何か、誰に価値を提供するか、どのような成果を求めるか、判断ポイントは何か、などの基本戦略をきちんと策定しておくことで、アジャイル推進での軌道修正や成果判断が正しく行えるようになります。
DX戦略策定のアプローチ
1.DX領域を明確にする
自社が取り組もうとしているDXは、どのような位置づけにあるのか。
まずは、位置づけを明確にすることが必要です。業務を改善するのか、新しいビジネスモデルを開発するのか、発散型でアイディアを出した後に、右記のようなマトリクスを使用すると位置づけを明確にすることができます。
DXの本質は、「新たな価値を生み出すビジネスモデルへの変革」です。DXへの取り組みとしてデジタル活用による業務効率化を進めている企業が多くみられますが、最終的にはその先にある本来のDX=「ビジネスモデル変革」を目指していきます。
2.デザイン思考でアイディアを創出する
新たな価値を生み出すビジネスモデルを描くためには、企業を取り巻く内外の情報を収集・分析し(インプット)、その情報を踏まえたアイディア創出(アウトプット)を行います。
3.あるべき姿から逆引きでプランニングする
競争優位なビジネスモデルのアイディアを着想するために、特に重要と捉えていることがバックキャスティングアプローチです。
顕在化している課題・事象から積み上げ式で解決策を考えるフォアキャスティングは、短期間で成果を出しやすいアプローチです。反面、目先の対応となりがちで、競争優位性が低い、あるいは持続性や成長性が担保できないことがあります。
一方で、将来のあるべき姿(To-Be)をゴールとして、逆引きでアクションプランを構築するバックキャスティングはアプローチは、ホワイトスペースを発見し、現在から将来にかけた攻略プランを考えていくため、競争優位かつ長期的な成長が見込める取り組みとなります。
まとめ
ここまでで紹介してきたように、DXを推進して成果を出すためには、まずは基本戦略を描くことが欠かせません。そして、VUCAな時代だからこそ、短期的な視点に加えて、長期的な視点をもち、将来のゴールからのバックキャストでアイディアを創出していくことが重要と考えています。
まずは幅広くマーケットの情報を収集し、将来のあるべき姿を描くことから始めてはいかがでしょうか。
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Mikio Aaskawa
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