D4DRが考えるこれからの企業とデジタルのつきあい方
ビジネスモデルの変革と触媒としての役割
D4DRが2002年に創業した頃、弊社がお手伝いするクライアント企業にとってWebやECは実験だったり、新規事業だったりという位置づけであり、社内でも特別なものであった。2001年に弾けたITバブルにより、株価への引き上げ効果も喪失したため経営陣の関心もやや冷め、担当者は何か施策を実現しようとしても社内からは顧客を奪うと敵視され、社内で孤立していた人も多かった。
その頃から見ると現在の状況はとても変わった。オムニチャネルや020は全社的な取り組みが求められ、ECの売り上げを独立して計上することをやめ、店舗の売り上げに統合するような企業も出てきた。社内でも出世コースにいるような実力者がデジタル戦略を担当しているケースも増えている。
2014年の現在起きていることはデジタルが重要になったということよりは「顧客とリアルタイムに直接のコミュニケーションを行い、その結果をデータとして蓄積する」ことが企業にとってマーケティングそのものになり、未来の話ではなく現在のビジネスモデルそのものを変える現実的な変化が起きているということだろう。
そしてD4DRの存在意義はこの変革への触媒なのだと考えている。
現在顧客とのコミュニケーションには大きく4つのチャネルがある。まずは簡単にその状況から軽く解説してみたい。
顧客との4つのコミュニケーションチャネル
1: プラットフォーム
もはやYahooやGoogle,facebook,LINEなどのコミュニケーションプラットフォーム抜きには顧客とのコミュニケーションも成立しない。圧倒的なリーチ力はマスメディアと同じようなブランド広告でも使えるが、何よりもリスティング広告やリターゲティング広告など顧客の行動からターゲティングする広告は見込み顧客を効率的に集客するためにも欠かせない。既存顧客でもサイトを訪れる時は検索行動を行う人も多いためリピート施策においてもその活用は重要である。LINEの公式アカウントはビジネスコネクトによりCRMとの連携すら始まっている。
2: オウンドメディア
自社の公式サイトやECサイトの重要性はますます高まっている。直接顧客とコミュニケーションできるだけでなく、そこに蓄積される顧客の行動データはこれまでのアンケートリサーチよりもさらに重要なマーケティングデータになる。優良顧客とそれ以外の顧客の違いやニーズの変化などをリアルタイムで収集できるメディアはより戦略的な投資と運用が求められる。コールセンターなども広義のオウンドメディアだとすれば、顧客からの問い合わせ、クレームなど含む顧客の様々な行動データを集積するプライベートDMPを構築することが同時に求められる。
3: リアルチャネル
これまで自社店舗、流通店舗やイベント会場など企業のリアル拠点でコミュニケーションは基本的には人と人とのコミュニケーションが中心であった。ポイントカードやクレジットカード、POSなどにより購買データを取得することはかなりできるようになってきているが、来店頻度などを知ることは難しかった。しかし、スマホやタブレットなどのスマートデバイスの普及と来店カウンターやiBeaconなどの各種センサーの実用化により、来店人数や来店頻度、店内の導線などもデジタルデータで取得可能になってきている。今後はオウンドメディアのデータと一緒にプライベートDMPに蓄積され活用されていくことになるだろう。
4: マスメディア
マーケティングがデジタルデータ中心になってもマスメディアが必要なくなることは無いだろう。むしろ分析結果を活用しより効果的にマスメディアを活用するという方向に向かうことになるだろう。その場合マスメディア側もよりリアルタイムに近くクリエイティブを入れ替えるなどこれまでと違う対応は求められる。またテレビを見ながらスマホを活用する、交通広告+スマホなどのデジタルミックスは当然のように増えていくことになる。
次回以降こうした状況で企業としてどう対応するべきかを解説していきたい。
藤元健太郎
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