イーロン・マスクにはAIに支配される未来を見ているのか?

イーロン・マスクがイギリスのオックスフォード大学とケンブリッジ大学が運営するThe Future of Life Instituteに1000万ドルを寄付した。この研究機関はAI(人工知能)が将来においても人類にとって有用な存在とするための37の研究プロジェクトを運営している。 

未来志向の彼ならではの行動だが、同様に関心を示す、という以上に、懸念を抱いているのがスティーブン・ホーキングやビル・ゲイツ、スティーブ・ウォズニアックといったビジョナリーたちだ。AIがその学習能力を飛躍的に高め、ネットワーク拡大し、集合知化する未来。卓越した知性には、我々凡人にはうかがい知れないリアリティをもって未来の景色が見えているのかもしれない。

これまで、人類は言語を持つことで、世代を超えた経験と知識の蓄積を実現し、他の生物・種を大きく凌駕する力を獲得した。今現在進展しているインターネットを中心とした情報化は、さらに人間と経験と知識の集積を加速している。ただ、このトレンドの先に見えてくるのは人類が中心に置かれていない世界なのかもしれない。

現在話題のビッグデータやディープラーニングといったキーワードで語られるトレンドは、多数のコンピューターを包含したネットワークの成長によって推進されている。コンピューターたちがさらに進化し、協調することで人智を超えた理解や知性を得ることは、我々でも何となく想像はできる。

単なる懸念にとどまらず、何時、どんなことが起きるのか? その負の現象を抑止し、人類がAIに対してイニシアチブを保ち続けるためには、どうすべきなのか? この問いにリアリティを持って答えられる知恵を私たちが持たなければならないことは確かだろう。 

人類はAIと戦うのか? 協調するのか? 正義のAIと負のAIが戦うのか? 人類とAIが混在したネットワークはどんな振る舞いを生むのか? 疑問は尽きない。ともかくも、これまでの“個”を基準とした思考やシミュレーションでは理解も解決もできない世界が我々を待っている。

イーロン・マスクらスーパービジョナリーにはどんな景色が見えているのだろうか。どんな懸念を持っているのだろうか。機会があったらぜひ話を聞いてみたいと思うのは私だけではないだろう。

(文・坂野泰士)

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Sho Sato

D4DRアナリスト。Web分析からスマートシティプロジェクトまで幅広い領域に携わる。究極のゆとり世代の一員として働き方改革に取り組んでいる。

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