家族の概念の多様化・拡張家族とは?
拡張家族とは、従来の血縁や法的婚姻に基づく家族の枠を超えて、多様な形態の関係性を家族として認識し、包含する概念のこと。背景には、少子高齢化と人口動態の変化、個人主義の浸透と多様性の尊重、経済的要因(共同生活による生活コストの低減の必要性)などがある。
血縁や法的婚姻に基づかない多様な家族形態を公的に認知し、保護する制度が整備され、社会保障制度も従来の核家族を前提とした制度から、多様な家族形態に柔軟に対応できるシステムへの移行が進むと予想される。
予想される未来社会の変化
- 戸籍制度が形骸化し、変容・廃止等に向かう可能性がある
- 血縁・婚姻関係に限定されない選択的な家族関係が一般化し、友人や地域の人々との選択的家族の形成が社会的に認知される
- 標準的なライフコースというものがなくなり、家族の形成・解散のタイミングや回数も、人によって多様なものとなる
- 子育てや介護などの機能を分散して担う機能別家族が発展し、社会全体で相互扶助的な関係性が構築される
トレンド
Cift(シフト)
共同コミュニティー「Cift(シフト)」では、1歳から60代まで、75人ほどが起居をともにしている。ミュージシャンや作家、画家、美容師、料理人から弁護士、政治家など血縁や地縁に捉われず、世界観や価値観を共有する人たちが集まり、生活様式や家族のあり方を模索し、発信していく取り組みを行っている。
また、ともに暮らし、ともに働き、意識でつながる家族を「拡張家族」と定義している。
コミュニティーの運営を支えつつ、メンバー個々のスキルを持ち寄って企業・自治体等とのコラボビジネスを創始し、実際の業務や収益をシェアするための起業などにも取り組む。同時にCiftは共同組合にもなっており、各人が部屋の賃料のほかに組合費を納め、家族会議を開いて共有部分の家賃や食費、誰かが困った時の救済費用まで使途を決めていく。
拡張家族の形態をとることで、あらゆる人の経験やスキルのシェアが可能となり、孤独感や不安感、生き方や働き方への違和感などの解消を目指している。
Co-Sato(コサト)
MoonBaseは子育て家族に特化した二拠点生活サービス「Co-Sato(コサト)」を展開する。
家族・地域・自然が混じり合う「行きつけの田舎」と「拡張家族」のある暮らしを自然豊かな田舎の物件のシェアリングによって実現。平日は都市部で子育てをしながら、週末は他の会員家族や学生スタッフと一緒に田舎に通うという自由で豊かなライフスタイルを多くの子育て世帯に届けることを目指す。
・夫婦2人、子ども2人という一般的に認知されている家族形態は崩れ去り、シングル、DINKS(子どもを持たない共稼ぎ)、シングルペアレント(母子・父子家庭)と多様化が進んでいる
・「ミングル」と呼ばれる世帯は、母子家庭の友達同士の母親が、共同でアパートを借りて生活するなど、半共同生活する血縁のない家族の居住スタイルを指し、今後増加すると考えられている
・多様な居住形態は、多拠点生活を送る人にも受け入れられると考えられる
スウェーデンでは「コレクティブハウス」と呼ばれる居住形態が定着する。寮生活やシェアハウスと異なり、家事などの作業を分担する。日本でも普及に向けた活動が進められている
・シェアハウスを選択する人は、若い人だけに限らない。アクティブシニアが増える中、高齢者向けのシェアハウスが増加している。金銭的な事情でサービス付きの老人ホームに入居することが難しい人からも、サービスがない分、安価であるとして支持されている
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