婚姻制度に対する考え方の多様化とは?
従来の法的婚姻制度に限らず、多様な形態のパートナーシップや生活様式を認めるなど、婚姻制度に対する考え方の多様化が進んでいる。同性婚、事実婚(内縁関係)、ポリアモリー(複数の恋愛関係)、ソロ婚(一人婚)、契約婚(期限付き婚姻)など、多様な形態に対してそれぞれニーズがある。
制度面でも、従来の夫婦・血縁関係を基盤とした制度から、多様な家族形態や関係性に対応できる柔軟な社会保障システムへの移行が進むと予想される。
予想される未来社会の変化
- 法的婚姻、事実婚、パートナーシップなど、多様な形の関係性が制度的に保護され、個人の選択の自由が大幅に拡大する
- 日本でも同性婚実現に向けた動きが進展する
- 未婚カップルの間に生まれる子どもが増加する
- 「家族」の定義が柔軟化し、血縁・婚姻関係に限定されない多様な形態の家族や共同体が社会的に認知され、法制度も整備される
- 結婚・出産・子育ての分離が進み、それぞれのライフイベントを独立して選択できる社会システムが確立する
トレンド
同性カップル住民票、事実婚示す「夫(未届)」と記載
長崎県大村市で2024年5月2日、市内の男性の同性カップルに対し、続き柄欄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付した。これまで男女間の事実婚として利用されていた表記を、同性カップルにも適用した。当事者は「同性間の事実婚が行政上の書類で認められた意義は大きい」と評価している。また、「事実婚に使われる続き柄が行政書類に記され、事実婚と同等の権利が得られる可能性が出てくる。同性婚の法制度や社会の変化に大きな影響を与えるのではないか」と期待する。
同市は2023年から、性的少数者のカップルなどの関係を公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入した。市民課は「取り扱いについて市でも確認し、申請者に寄り添って対応した」と説明する。こうした市としての対応は、把握する限りで初めてという。
鳥取県倉吉市でも2023年10月、同性パートナーの希望があれば、住民票の続き柄を、未届けの妻または夫とする制度を始めている。
2531佐藤さん問題
一般社団法人あすにはが行った「Think Name Project」は、選択的夫婦別姓について考えるきっかけを提供する企業合同プロジェクトであり、4月1日のエイプリルフールを利用した啓発企画として「#2531佐藤さん問題」アクションを展開。
このプロジェクトは、現在の日本の名字の状況に基づく統計学的シミュレーションを利用しており、「2531年には全員の名字が佐藤になる」という未来予想図を描くことで、選択的夫婦別姓の必要性を訴えかけた。
日本は、世界で唯一夫婦が同じ名字を名乗ることが義務付けられており、毎年約50万組が結婚することで、同姓によって毎年50万の名字が消失している。苗字の種類は、かつて13万種類あったものの、現在の制度が続けば徐々に減少し、最終的には一つの名字に収束する可能性があるという仮説が立てられている。現在、日本で最も多い名字は「佐藤」であり、2023年時点で、佐藤姓は国民全体の1.529%を占めている。
「Think Name Project」の一環として、あすには東北大学経済学研究科の吉田浩教授に独自調査を依頼し、佐藤姓の増加率と人口動態に関する分析を行った。その結果、選択的夫婦別姓が導入されない限り、夫婦同姓のままであれば「約500年後の2531年には、佐藤姓が100%に達する」とのシミュレーション結果が得られた。このプロジェクトは、選択的夫婦別姓を導入することで名前を自由に選べるようにし、男女の平等な婚姻とキャリアを支援することを目指している。
パートナーシップ証明書
NECソリューションイノベータは、一般社団法人 FamieeによるFamieeプロジェクトに賛同し、同社が発行するパートナーシップ証明書の受け入れを開始した。同社社員の家族登録手続きの際に必要となる家族関係証明書の対象とすることで、Famieeの証明書を取得した社員とそのパートナーに対しても、人事制度や福利厚生制度が適用される。
同社では、2020年4月1日に労働協約書および各規程にて、同性婚を含む事実婚を法的な婚姻と同等に扱う改定を行い、多様な家族の在り方を認めており、2023年12月13日にFamieeプロジェクトにも賛同した流れとなっている。
Famieeプロジェクトとは、多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指すプロジェクト。2020年にブロックチェーン技術を活用したFamieeがリリースされた。Famieeに登録することで、一部の地方自治体が発行するパートナーシップ証明書相当の証明書発行を可能にしている。現在の日本の法律では認められていないパートナーや親子などが、Famieeの証明書を取得することにより、受入表明をしている全国の企業や自治体などから家族として社会的に認められ、家族としての権利やサービスを受けられるようになる。
・1970年代の高度成長期に、日本においては結婚率がピークを迎えた
安定した雇用の供給が、安定的な家族形成を可能としたと分析される。経済成長期にみられたような、ほぼすべての人が結婚する皆婚社会は、歴史的にみればむしろ珍しい現象として捉えられる
・生涯未婚率は年々増加傾向にある
・事実婚、同性婚など、婚姻以外の結婚の形が認知されつつあり、多様化が進展してゆく
・一方結婚のデメリットも認知されつつあり、制度疲労も見られる
・性別や血縁の有無を超え、ともに生きる世帯を「ライフ・ユニット」 と呼称し、配属者がいても友人との旅行を楽しんだり、ライフステージの変化によって一緒に過ごす相手を変えたりと、新しい家族の在り方が提唱されている
・フランスではPACSという、結婚と同棲の中間にあたる制度が存在する
もともと同性カップルへの保証を補うために成立た経緯があり、社会保障や税金面で結婚と同等の権利を得ることが可能
いまは異性カップルにも、結婚よりフランクなお試し結婚の要素として、受け入れられているという
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