ゼロリスク志向とは?
ゼロリスク志向とは、あらゆるリスクを完全に排除し、絶対的な安全を求める考え方や行動傾向のことを指す。AIやビッグデータ解析により、個人レベルでのリスク予測が高度化し、それに基づいてリスク管理をパーソナライズすることが可能になる。
技術の進歩によって生まれる新たな倫理的ジレンマへの対応や、リスクと機会のバランスを取りながら社会全体としてのレジリエンス(強靭性)を高めていくことが求められる。
予想される未来社会の変化
- 安全性を最優先する製品・サービスの需要が高まる
- リスク回避のための監視技術が発達し、プライバシーと安全のバランスが問題化する
- 保険や保証サービスの市場が拡大し、新たな金融商品が登場する
- 公共空間のデザインが変化し、安全性を重視した街づくりが進む
トレンド
ゼロリスク症候群
「ゼロリスク症候群」という言葉は、かつてBSE(狂牛病)問題が起こった際、専門的リスク評価が低いにも関わらず、消費者の牛肉離れが止まらなかったことで、社会一般にも知られるようになった。
その症状には、リスクはゼロにすることができると信じており、どんなに小さいリスクであっても、ゼロではないリスクを許容することができないと考えているという特徴がある。また、リスクがゼロでない限り、ベネフィットやリターンについて考えることができない。
仕事においても、ゼロリスクをかたくなに主張するほうが、「判断」「承認」そして「責任を取る」という行為を回避するという意味では楽ではあるが、リスクをとらなければリターンは見込めない。
リスクを取り、またリスクの取り方をも学びながら、着実にリターンを蓄積していくことが大切である。
警戒する組織
リスクゼロを追求する組織は、過剰な警戒心により硬直した「警戒する組織」へと変わり、率直で人間的な風土を失いがちである。このような組織では、メンバーの意識が顧客よりも社内に向き、顧客の価値よりも上司の評価が優先され、リスクを避けることが重視される。その結果、リスクを指摘する声が上がると、責任回避の意識が広がり、場が硬直し、複雑な議事録が作成されるなど、身動きが取れない状況に陥る。さらに、目に見えないリスクや責任の所在が不明なリスクは無視され、過剰な警戒心が組織の閉塞感や危機を引き起こす原因となる。
一方、「共感する組織」は顧客や社会との信頼関係を重視し、組織の存在意義を共有することで、メンバーが自律的に考え、柔軟に行動することができる環境を提供する。このような組織では、仕事の意味が明確になり、生産性へのポジティブな影響が期待されるため、共感する組織への転換が求められている。
特に、計画や手続きの尊重が重視される金融やメーカー、行政などの分野では、「警戒する組織」に陥りやすい傾向がある。このような組織からの脱却には、「オーセンティック・リーダーシップ」が注目されている。
オーセンティック・リーダーシップとは、自身の価値観や信念に忠実であり、思いや発言、行動に一貫性を持ちながら、自分らしさを大切にするリーダー像を指す。このリーダーシップスタイルが、メンバーが「しよう」「したい」と思える環境を作り出すことが求められている。
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