地球を超えた視点とは?
地球を超えた視点(火星移住など)とは、人類の生存圏を地球外に拡大する構想のこと。これらの取り組みは、人類の長期的生存保障、資源枯渇や環境問題への対応、科学技術の飛躍的発展、新たな経済圏創出など、多様な課題解決と可能性の探求を目指している。テラフォーミング(惑星地球化計画)など、他の天体を人類が定住可能な環境に改造する構想が具体化しつつあり、イーロン・マスクの火星移住計画に代表されるように、民間企業も積極的に参入している。
予想される未来社会の変化
- 将来的に人類が火星にテラフォーミングするための構想とそのための研究が加速する
- 火星移住に向けた研究は、地球上での科学技術力発展にも寄与する
トレンド
NASA 火星に似せた環境で人が1年間生活する実験施設を公開
将来、火星に宇宙飛行士が滞在して有人探査を行うことを想定して、NASA=アメリカ航空宇宙局は火星に似せた環境の中で人が1年間、生活する実験を行う施設を公開した。
建築用の3Dプリンターでつくられた建物で、広さはおよそ160平方メートルほどある。
中には個室の寝室が4部屋あるほか、共同で使うシャワーやリビングルーム、さらには実験室も備えられていて、野菜を栽培する装置もある。
建物の外には火星の環境に似せて赤い砂を敷き詰めた広さ110平方メートルほどの空間が用意されていて、火星で長い距離を歩くシミュレーションなどさまざまな実験を行えるようになっている。
NASAは、日本も参加する国際プロジェクト「アルテミス計画」で2025年を目標に人類を再び月面上に送り込む計画を進めていて、さらにその先には人類初となる火星への有人着陸も見据えている。
4人の志願者がNASAの仮想の火星で1年間生活
NASAが作った仮想の火星の居住施設に志願者の4人が378日滞在し、火星を想定したミッションを行う。この参加者の4人の中に宇宙飛行士はいない。ここで行われるミッションと、月面やその周辺で行っているミッションを活かし、NASAは将来的に火星へ宇宙飛行士を送ることを目指す。
•惑星の環境を地球と類似した環境に変化させ、人類が定住できるようにする構想を「テラフォーミング」と呼ぶ。火星はテラフォーミングの最も有望視されている候補で、火星の環境を改変する方法が複数検討されている。(出典:ファン!ファン!JAXA!ライブラリ、名古屋大学 惑星50のなぜ)
•2030年代までに火星に基地を設ける計画があるが、人類が居住するためには隕石やガンマ線、温度変化に対応する必要がある。Wiredでは火星移住に必要なものとして次の7つを挙げている。①膨張式住居、②高機能性減水剤、③尿素、④自律ロボット、⑤電力、⑥農業(火星で現地栽培する方法)、⑦大気(出典:Wired 月や火星で暮らすなら何が必要になる? 宇宙基地での生活に欠かせない「7つの必需品」)
•2021年4月21日、NASAは火星探査車「パービシアランス」に搭載した実験機器で、約95%が二酸化炭素である火星の大気から酸素を生成することに成功したと発表した。有人火星探査に必要な酸素を作り出す技術への応用が期待されている。(出典:NHK 火星の大気から酸素の人工生成に成功と発表 NASA)
•月や火星での長期滞在時に食料を生産するための研究も進んでいる。農林水産省は、宇宙環境での食料の生産・供給に向けた研究開発を行う大学や企業等に対し、「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」の一環として2021年度に3億円を支援することを発表した。(出典:時事ドットコム 食料の宇宙生産支援 月や火星探査、長期滞在に備え―農水省)
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