c-51 : 参加型の体験価値の重要化(プロセスエコノミー)

プロセスエコノミーとは?

プロセスエコノミーとは、商品やサービスの制作過程を公開し、過程自体に価値を見出す経済モデルで、消費者の参加や共感を通じて、新たな収益や関係性を生み出す仕組みを指す(例:クラウドファンディング、オンラインサロン)。特に、社会的意義や利他性を持つプロジェクトが注目を集め、ファンの共感と支持を得ている。将来的には、集合知による革新的な製品開発や、ブロックチェーンを活用した貢献度に基づく利益分配なども実現する可能性がある。

予想される未来社会の変化

  1. アウトプットエコノミーのコモディティ化が進む
  2. 製品やサービスを生み出す過程が世の中に広く公開され、最終成果物だけではなく、プロセスでの利益化・差別化が図られる
  3. YouTubeやオンラインサロンなどがより活況化する

トレンド

Makuake

マクアケは、新商品や新サービスを作り広めたい実行者と、新しいものに出会いたいユーザーをつなぐ応援購入サービス「Makuake」を運営している。これまでに39,000件以上のプロジェクトを支援し、実行者の挑戦を後押ししてきた。

実行者にとっては、プロジェクトの背景やストーリーに共感するファンと出会うための情報発信や、プロジェクト終了後も話題を作り社会の関心を引く工夫がますます重要になっている。そこで、マクアケは2018年にPR TIMESと業務提携を結び、プロジェクトのPR支援を強化。この提携により、プレスリリース1配信分が無料になる特別プランを提供し、これまでに550社以上の実行者が活用している。

また、PR TIMESでは2020年から、開発秘話や創業ストーリーなどを当事者が公式に発表できる「PR TIMES STORY」サービスを開始。このサービスでは、累計5,500件以上のストーリーが発信されている。 実行者はプレスリリースだけでなく、「PR TIMES STORY」を併用することで、自身の想いや挑戦の背景にあるストーリーやアイデアをより広く届けることが可能になる。ユーザーとのつながりを深め、新商品やサービスの成功につなげることを目指している。

北欧、暮らしの道具店

出典:PR TIMES『「北欧、暮らしの道具店」運営のクラシコム、世界観を体現する新オフィス制作の裏側を公開。社外クリエイターと協創し、ミッションを象徴し体感できる空間を実現。』

クラシコムは雑貨や衣類などの開発・販売、メディア運営などを行うライフカルチャープラットフォーム「北欧、暮らしの道具店」を提供している。

「北欧、暮らしの道具店」にはサイト上では商品の紹介や販売だけでなく、生活の中のちょっとした「非日常」を感じ楽しめるようなコンテンツも多数掲載している。

また、YouTube公式チャンネルも運営しており、同店の世界観が味わえるオリジナルドラマシリーズ「青葉家のテーブル」は600万回再生を超え、2021年6月に映画化もされた。

このような丁寧なプロセスの発信でファンを着実に獲得し、スマホアプリは300万DL突破し、売上比率65%へ成長を遂げた。

そして、新オフィス移転に伴い2024年5月、新オフィスを共同で設計したデザイン事務所「SIGNAL Inc.」代表 徳田純一氏とクラシコム取締役副社長 佐藤友子による対談インタビュー、プロジェクトを主導したクラシコムのコーポレートクリエイティブ室のインタビューを「北欧、暮らしの道具店」にて公開。あわせて、オフィスツアー動画も公開しており、プロセスを公開することでファンからの信頼と愛着心を強固なものにしている。

MakingLaBo(メイキングラボ)

プロジェクトディレクションは月額制見放題のメイキング動画配信サービスMakingLaBo(メイキングラボ)を運営している。

第一線で活躍するクリエイターの制作工程を撮影・編集・コンテンツ化し、学習者向けの映像コンテンツとして提供するサービスであり、商業制作の副産物であるメイキングをコンテンツ化することで、他では得られないリアルな学習体験をユーザーに届ける。また本来は経済的な価値を生みにくいメイキングを、経済的な価値のあるコンテンツに編集し、プラットフォームを通じて提供する仕組みを確立させることで、その収益の一部をクリエイターに還元するプロセスを目指している。

イラストレーター赤倉様の協力を得た実証実験では、個展のために制作した作品の制作過程(メイキング)をMakingLaBoに提供し、MakingLaBoはこの掲載において得られた収益の一部を赤倉氏に還元するという試みをし、収益還元までのスケジュールやコンテンツ化のリアリティ検証、及び掲出に伴う収益還元の期待値を検証した。


・物にあふれた現代、モノやサービスはコモディティ化し、機能での差別化が困難になってきた。そのため、「モノ消費」から「コト消費」「トキ消費」「イミ消費」などに変わってきたとも言われる。(モノ、コトに続く潮流、「トキ消費」はどうなっていくのか/夏山明美(連載:アフター・コロナの新文脈 博報堂の視点 Vol.13)

・そのような中で、上記のような最終成果物・アウトプットに対して(アウトプットエコノミー)、モノやサービスが完成するまでの過程(プロセス)を公開し、過程自体を売る「プロセスエコノミー」が注目されている。(「プロセスエコノミー」が必然になる2つ理由──「消費活動の変化」と「若者のオタク化」

・また、プロセスエコノミーはプロセスを売るだけではなく、プロセスを公開することでサービスや商品に共感する顧客が増えるという側面もある。「ファン」が増えるような、利他的であったり、社会的に良いとされるようなプロセスやストーリーを持っているサービスは注目を集める。クラウドファンディングはまさにその一例と考えられるだろう。( 「プロセスエコノミー」は人の本能を刺激する。トレンド化する経済思考の正体とは

・クラウドファンディングで言えば、CAMPFIREが挙げられるだろう。「これまでに6.3万件以上のプロジェクトが立ち上がり、720万人以上の人から570億円以上の支援が生まれました。」とHPにあり、企業や自治体はもちろん、個人の活動やクリエイターの資金集めが可能であり、コミュニティの形成も可能だ。それぞれが資金集めの背景やどういったプロセスで何を成そうとしているのかを示し、それに賛同した人がお金を払う。( CAMPFIRE

・『ENU(エヌ)』はプロセスエコノミーを基軸にしたファンコミュニティアプリである。「日本の伝統工芸品やモノづくりをはじめとしたつくり手と、支援したいファン・フォロワーを継続的につなぐプラットフォーム」である。寄付や購入に留まらず、SNS上での応援・拡散も可能だ。( ENU公式HP

出典:ENU公式HP

 

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