スマートシティとモビリティの関係性とは?
MaaS(Mobility as a Service)などの新しい移動サービスや自動運転技術による次世代モビリティの登場で、既存の都市インフラでは対応に限界がくると予測されている。現在、世界各国で取り組みが始まっている新しい都市の形であるスマートシティでは、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボットなどを個人に最適化したサービスとして提供される。
自動車を中心として形成されていた都市が、スマートシティへと変容することで、都市の中心となる要素が、自動車から人へと変化する。人を中心として都市インフラが設計されるため、道路や駐車場などの活用方法が大きく変容する。
人間中心のまちづくり・都市構造の変容は、車中心の都市設計からの脱却を目指す世界的な潮流である。車道の一部を歩道や自転車道に転換したり、高速道路の地下化(例:ドイツ・デュッセルドルフ)によって地上空間を人々の活動に解放したりする取り組みが進んでいる。公共空間の再設計により、歩行者や環境に配慮したグリーンスローモビリティの概念も広がると予想される。
予想される未来社会の変化
- 道路・駐車場のあり方、居住エリアの設定など、都市の成立要件が変化する。
- より安全で、環境負荷の少ない都市づくりが求められる。
- 自動運転により、モビリティの活用用途が広がる(移動オフィスや飲食店等)
- 自動車メーカーは、製造からソリューション提供会社へと変容する。
トレンド
歩行者中心の街づくり「Sidewalk Lab」の構想
自動運転車の普及に伴い、自動車優先の街づくりから、歩行者優先の街づくりへの転換が進むと考えられる。
カナダ・トロントの「Sidewalk Lab」による構想(諸事情により中止となった)では、「people first」をコンセプトとし、自家用車の保有率を下げて公共交通、自転車、徒歩による街づくりを目指していた。具体的には、テント式の屋根で道を覆うことで天候に関係なく歩きやすくしたり、歩道と車道の配分を自由に変更し路肩の用途を統御するシステムや、歩行者との接触を回避できる自動走行車のみが歩行者優先エリアに侵入できるシステムの導入が計画されていた。
トヨタ「Woven City」の4種類の道
トヨタが静岡県裾野市に建設中の「Woven City」では、地上に自動運転車用の道、歩行者用の道、歩行者とパーソナルモビリティ用の道の3種類が整備される。地下には物流ネットワーク用の設備が配置され、人を中心とした複数の導線を設けることによって安全かつ効率的な移動を実現するとしている。
地下駐車場跡地の有効活用@パリ
自動運転車の普及とMaaSの拡大、歩行者中心の街への転換が進むことで自家用車の数が減り、駐車場の需要が減少すると考えられる。そのスペースを有効活用する取組が拡大するだろう。
フランスのスタートアップ企業「Cycloponics」は、使われなくなった地下駐車場を有機キノコ農場に変える事業を行っている。シイタケやヒラタケ、マッシュルームといったキノコや、フランスの珍味「チコリ」といった日光をほとんど必要としない野菜、ミニブロッコリーのような「マイクログリーン」と呼ばれる栄養素の高い幼葉野菜などを栽培する。
パリでは、1960~70年代に建てられた大規模マンションの地下駐車場の廃墟化・違法行為の横行が進んでいるということで、2010年代半ばにから市から地下空間の再構築計画を発表されている。専門家がこの空間に手を加え、飲食や文化が楽しめる市民向けのスペースへと改装を行っている。
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