c-28 : コモンズ利用の拡大(専有から共有へ)

コモンズとは?

コモンズは古くからの概念であり、草原、森林、牧草地などの共同利用地(commons)が由来となっている。現代では単なるそうした共同で所有する環境だけではなく、無形有形問わず様々な要素を指し、共同管理の体制や共同組織などを含めたコミュニティとセットで捉えられる。多くの場合、資源利用とそのルールを伴っている。

今後、多様化する価値観に応じて多くのコモンズが生まれ、それを共有するだけでなく、共同管理の体制や共同組織などを含めたコミュニティ化が活発になると予想される。

コモンズの概念におけるポイントは3つある。①私有・専有を超えた価値を持つということ。個別では持ち得ない要素を共用することで生活の質を高め、街の価値を高めることができる。②受益するだけではないということ。価値を享受するためには、労力・経済等の負担も必要となる。③主体的な選択に基づくということ。主体的な意思により関わることが基本となる。自由な出入りが可能であり、主体性が関わる楽しさを感じる源泉ともなる。行政サービスのような結果平等は追求されない。

近年はシェアリングサービスが広がる中で、コモンズの対象が有形に限らず、データやサービスなど無形の対象にまで広がっている。

予想される未来社会の変化

  1. 多様化する価値観に応じて多くのコモンズが生まれ、地域コミュニティもそれに応じて多様化する
  2. 様々な分野・場面において人々やコミュニティ、地域、機関などあらゆるセクターで協働が生まれ、共創が起こり、イノベーションにつながる

 

トレンド

アート&リトリート空間「Årc yakushima」

出典:PR TIMES「都市と屋久島の「1.5拠点」生活を生むアート&リトリート空間『Årc yakushima』がオープン」

屋久島のアート&リトリート空間「Årc yakushima」は、単なる宿泊施設ではなく、東京などの都市に住む人々が共同出資し、Co-Ownerとして経営や場づくりにも参画しながら、自らももうひとつの通い住まいとして利用できる施設になっている。

そして、Co-Ownerだけではなく、島に住む地元の人、旅行で屋久島を訪れている人も利用や場づくりに加わり、誰もが「自分の場所」と感じられるような場所を育てていき、共有の資産に近づくことを目指す。

また、移住や二拠点生活となると、時間がかかったり、費用がかかってしまったりと、実現に向けたハードルが高くなりがちであり、一方、多拠点生活となると、なかなかその場所を「自分の場所」として捉えにくかったりする。そこで、空間をみんなで共有し、いつでも帰ってこられるような場所として、1.5拠点生活を推奨している。

屋久島に精通したスタッフも駐在しており、施設利用者同士が交流できるシェアキッチンとバーなどもある。

シェアフォレストサービス「Comoris」

出典:PR TIMES『都市で小さな森を育てる、シェアフォレストサービス「Comoris」が本格始動。サービスを初公開する「森のオープニングレセプション」を開催』

NEWPARKとACTANT FORESTは、都市に散在する空き地や遊休地を活用してアーバンフォレスト(街中の森)を育てる日本初のシェアフォレストサービス「Comoris(コモリス)」のサービスを開始。

Comorisは、都市の空き地や遊休地を大きなコストをかけることなく森へと転換し、メンバーシップ制で継続的に運営していく「アーバンフォレスト」と、市民や企業、研究機関、行政といった多様なプレイヤーとの共創を通じて、実践的にイノベーションを創出するためのデザインアプローチである「グリーンリビングラボ」の機能を兼ね備えている。

一般募集で集まった地域内外のシェアメンバーと共に、今後は、企業や大学、アーティストの皆様との研究開発やコラボレーションイベントを開催するなど、「Comoris」を通じてより多くの人達と、生物多様性のあふれる豊かなまちづくりに向けた活動を行う。

nexusチャレンジパーク早野

出典:PR TIMES『nexus構想の地域コモンズ拠点「nexusチャレンジパーク早野」が開業から2周年』

東急では多摩田園都市エリアにおける新たなまちづくりを目指す「nexus(ネクサス)構想」の取り組みを行っており、第1号拠点である「nexusチャレンジパーク早野」が2周年を迎えた。

同施設は、川崎市と横浜市の市境近辺にある虹ヶ丘、すすき野団地エリアに位置する。多世代交流や地域のコミュニティ形成を図り、共感・共助を生み出す地域のコモンズとして地域住民やバディである行政、学校、企業などとともに、生活者起点での魅力的な街の仕掛けづくりに挑戦し続けてきた。

開業から累計来場者数は2万人を超え、延べ150組以上のイベント出店、また、空中配送ロボット・自動運転モビリティ・ペロブスカイト太陽電池などの社会課題解決に向けた50を超えるバディとの実証実験や取り組みを実施した。

また、緑豊かな約8,000㎡の敷地に、シェアリング型のコミュニティIoT農園や焚火ができるエリア、地産地消マルシェや地域住民によるイベントなどの多目的利用が可能な空間を設け、地域住民が日常的に自由に活用できる場として運営している。


•Okatteにしおぎは杉並区西荻窪に所在する施設で、近隣の会員住民が自由に料理をして食べることができ、食に関する小商いのスタートアップの場にもなる共有型の「自宅の外に持つ、自分たちのもう一つのキッチン、リビング」がコンセプト。コーディネーターが1名いる以外は、会員の自主的な管理運営が行われている。デジタル上のグループウェアを用いたコミュニケーションの他、会員が自主的に掃除部、手芸部(布巾の作成)、図書部(本棚の整備)、園芸部(庭の手入れ)といった部が結成され共有スペースが維持され、出入り自由のゆるいつながりのグループとなっている。

出典:Okatte ホームページ

 

 \未来コンセプトペディアを活用してアイデア創出してみませんか?/

新規事業・新サービスアイデア創出ワークショップ

新規事業立ち上げの種となるアイデアを創出し、新たな領域への挑戦を支援します。

関連コンセプト