価値交換手段の多様化とは?
ブロックチェーンを基盤とするトークンや暗号資産の普及により、既存通貨への依存度が低下している。これにより、現金取扱いコストの削減や新たな経済圏の創出が可能になる。
また、様々な事象が定量データ化されることで、従来は価値を考慮されていなかった要素も貨幣化され、取引の対象となっている。この変化は、経済活動の範囲を拡大し、より柔軟で効率的な価値交換を可能にする。
予想される未来社会の変化
- 中央銀行等が中央集権的に管理してきた通貨と異なり、その存在と取引記録が可視化され、分散的な管理が可能となる中で、通貨発行権や管理情報の管理利得等の旧来の利権的な立場との軋轢が生じる
- 低コストで高信頼度、管理の容易な電子的な価値交換は生活者の利便性を高めるだけでなく、為政者等の徴税する側の管理コストと正確性も高める効果が期待されている
- 国際的な価値交換の仕組みが普及するなかで、為替等の通貨間の価値交換の役割低下と、各国家が発行する通貨の影響度が低下することも想定される
トレンド
デジタル通貨「DCJPY」を用いたトークン型観光周遊パスに関わる技術検証
デジタル通貨フォーラムの地域通貨分科会に参加している企業、パナソニック ホールディングス、SocioFuture、auフィナンシャルホールディングス、TIS、ディーカレットDCPは、2024年3月21日にデジタル通貨「DCJPY」を利用したトークン型観光周遊パスの技術検証を行った。
DCJPYは民間銀行によって発行される「預金」として位置づけられ、資金移転を扱うフィナンシャルゾーンと、ニーズに応じたプログラムが可能なビジネスゾーンの2層から構成されている。
ビジネスゾーンでは、取引の記録や環境価値のある電力コイン、給付金の使途制限などの条件を設定・プログラムできるため、デジタル通貨の相互運用性が高まり、様々なビジネスニーズに応じた柔軟な対応が可能になる。
このシステムにより、お金の流れと物やデジタル資産の流れを連携させ、取引の自動処理も実現する。
今回の検証では、定額料金で公共交通機関が乗り放題となる観光周遊パスをトークン化し、DCJPYのスマートコントラクトを用いた事務処理の自動化について検証した。具体的には、交通機関や店舗への利用状況に基づく精算、未使用分のポイントバック、紹介者への報酬付与などの複雑なプロセスを自動化した。
この仕組みにより、購入代金の配分、未使用額の算定、ポイントバックのタイミング、紹介報酬の付与条件などがあらかじめプログラムされ、条件が満たされると自動的に実行されるため、事務処理が軽減された。また、プログラム内容やデータ処理結果はブロックチェーンに書き込まれるため、改ざんが困難であり、参加者は取引の真正性を確認できた。
この検証を通じて、DCJPYネットワーク上のスマートコントラクトを活用して周遊パスに関する基本的なユースケースの自動化と省力化の技術的実現性を確認でき、今後のサービス展開が期待される。
メルカリのお買い物でビットコイン決済ができる機能の提供開始
メルカリの子会社で、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うメルコインは、2024年2月15日より、メルカリでの商品購入時に、保有しているビットコインを決済に使用できる機能を提供開始。今回の新機能により、累計出品数30億品超のメルカリで、ビットコインを使ってあらゆるモノをシームレスに購入することが可能となる。
メルカリの売上などメルペイ残高を使ってビットコイン取引ができる機能が追加されたが、「メルカリ」のビットコイン取引サービス利用者のうち、約5割がビットコイン売却後にメルペイ残高を使ってメルカリで買い物を経験していることが分かり、今回の機能が新たに実装された。
また、メルカリアプリ「ビットコイン取引サービス」利用者アンケート調査(2023年12月27日時点)によると、保有ビットコインの使い方・使い道を理解していると回答した方は5割未満(45.7%)にとどまり、持ってはみたもののどう使ったらいいかがわからない人が多いことが分かっている。
今回の追加機能によって、ビットコインを「持つ」だけでなく「使う」ことを通じて理解を深め、ビットコインをもっと身近なものとして感じてもらうことを目指している。
デジタルIDウォレットアプリ「PASS(パス)」
Liquidは氏名や住所、生年月日、経歴、資格、決済、資産、健康情報などの自分自身に関するあらゆる情報をスマートフォンで一元管理できるようにするデジタルIDウォレットアプリ「PASS(パス)」を提供開始。また合わせて、地方自治体向けソリューションとして、北陸初の国家戦略特区である石川県加賀市が「PASS」を採用し、住民向けに本運用が開始された。
ユーザーは「PASS」を導入することで、個人情報の一元管理に加え、様々なサービスと連携しサービスごとに情報登録する手間、本人確認を行う手間を削減することができ、これによって各種サービスを「顔パス」で利用できるようになる。
加賀市民を対象に、医療機関、屋内遊戯施設、避難所において、「PASS」を活用した生体パスポートの本格提供を開始し、決済情報も紐づけることで、交通機関や買い物などのユースケースを市内全域に拡大していく予定。
決済においては、顔情報と決済を連携し、無人店舗における顔決済の仕組みを実現可能。これにより店舗利用者の利便性向上と、小売店事業者の売上拡大、人手不足の解消に寄与していく。
・現金以外のs決済方法が充実し、(クレジットカード、電子マネー、ブロックチェーン通貨、ネットバンキング等)、実態として現金は移動していない機会が増加している
・現金ハンドリングコストは莫大で、日本銀行券の1年あたりの発行コストは517億円、ATM維持管理や現金運搬にかかる人件費等は2兆円と言われる
・ブロックチェーン技術を使って、現金利用にかかるコストを削減できる。しかし円のブロックチェーン化を進めると、銀行の収益モデルは淘汰されるため、銀行は業態変換は避けられない
・ポイントなど、通貨外の価値交換の仕組みがさらに拡大し、経済統計で見えない経済が成長している
・定量データで取れるようになると、その価値は実質的に貨幣化し、マルチレイヤー化する。
社会性や影響力という見えない価値が可視化したとき、既存の通貨に対する依存度は、相対的に低下する
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