c-01 : 行政サービス効率化と民間委託拡大

行政サービス効率化・民間委託拡大とは?

行政サービス効率化と民間委託拡大は、人口減少と財政難に対応する重要戦略となる。地方自治法改正により、行政施設の運営・管理も民間委託の対象となり、その範囲は拡大している。

これに伴い、自治体サービスのDX化も加速すると予測される。行政の役割縮小により、その存在意義が問われる可能性もある。効率化と公共性のバランスが問われる。

予想される未来社会の変化

  1. 人口減少、税収の低下を背景に行政コストの低減と効率化が強く求められる
  2. デジタル化によるサービス品質の向上とコスト低減が推進される
  3. デジタルサービス基盤の全国共通化によるコストダウンとデータの標準化が行われる
  4. 社会インフラの維持・更新のコスト負担が問題となり、民間委託が進むケースも増大する

トレンド

宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)

出典:TBS NEWS DIG『水道の「運営権を民間企業に売却」“みやぎ型”導入から1年「浄水場は変わったのか」現場検証』

宮城県は2022年に水道管などの設備の所有権は宮城県に残したまま、運営権については民間企業に売却する、「みやぎ型管理運営方式」を導入開始した。

みやぎ型管理運営方式は、県の上水道、工業用水、下水道の合わせて9つの事業について、水道管などの設備の所有権は県に残したまま、20年間の事業の運営権を10億円で民間に売却するというもので、現在、運営権を持っているのが水処理や金融サービスなど10社によって設立された会社「みずむすびマネジメントみやぎ」である。

事業を導入する最大の目的は、コストの削減。20年間でおよそ▲337億円のコスト削減につながると試算されている。

ただし、水質悪化や災害時の対応など反対意見も根強い。水道法改正を受けて、全国で初めて導入された水道の官民連携事業であり、注目が集まっている。

生成AIを活用した市民向け応答サービス

出典:PR TIMES「【埼玉県戸田市】生成AIを活用した市民向け応答サービスの実証実験を開始します」

埼玉県戸田市では伊藤忠テクノソリューションズが実施事業者となり、「生成AIを活用した市民向け応答サービスの実証実験」(追加実証)を行う。生成AIを活用し「AIチャットボット」と「OpenAI音声認識」を組み合わせた新たな市民向け応答サービスを構築することにより、市民からの問い合わせ対応のスピードアップとサービスの向上、そして行政側の業務効率化を目指す。

LINEチャットやLINECallからの質問に対して生成AIが回答案を作成し、結果をLINEチャットで送信する。多言語(日・英・中)の質問にも対応しており、LINEチャット上での結果表示に加え、音声読み上げによる回答機能も検証する。

ハローワークミニ!

出典:PR TIMES『駅ナカに全国初「ハローワークミニ!」4/30 開設』

15〜49歳の若年無業者への就労支援事業・奈良若者サポートステーション(厚生労働省委託事業)を運営するNPO法人HELLOlifeは、奈良労働局・近畿日本鉄道株式会社・株式会社近鉄百貨店の協力により、就業支援拠点「ハローワークミニ!」を、近鉄大和西大寺駅及び近鉄百貨店奈良店に開設。

ハローワークミニ!は、「駅ナカ拠点(大和西大寺駅)」と「駅チカ拠点(近鉄百貨店奈良店5階)」2ヶ所で運営する就業支援拠点。ハローワークの就職支援サービスや各種情報提供、就活準備支援を実施する若者サポートステーションの利用を案内する。

ハローワークミニ!は、駅や商業施設に開設され、テイクアウト専門のコーヒースタンドを併設するなど、物理的にも心理的にも奈良県民がアクセスしやすくなっている。


・人口減・税収減・中央政府の財政状況悪化等により、地方自治体の財政が悪化。行政コストの圧縮が不可避となる

出典:株式会社日立コンサルティングより
地方自治体における民間委託の更なる推進について

・民間主導の行政サービスが増加した要因として、コスト面の改善、サービス改善・向上 が挙げられる。
東京都足立区の戸籍・住民票等証明窓口業務における民間委託では、年間約 2,500万円のコストメリットがあるとしている

・全国の自治体では、民間委託によって業務量に余裕が生まれた正規職員を、他の業務(例:少子高齢化に伴い、需要が増大している福祉関連分野)にシフトさせるなど、行政サービスの質の向上に貢献している

・平成28年度時点で、60%の政令市で民間委託が施行されている

・高齢化社会にあるスウェーデンの市町村は、財政的制約から民間委託を進めてきた。
民営化により、経費節減や従業員の働く意識の向上につながったと評価された。しかし一方で、より多くの利益を確保するために人件費の節減を追求し、その結果職員1人当たりの負担 が増加し、十分なサービスが提供できない状況も発生しているとされ、社会問題化した

・地方税収の偏在を主因とした、行政サービスの地域格差も問題となっている

・日本の空港も民営化の流れにある。
2018年現在、国土交通省は 旭川市、帯広市、北海道とともに、北海道内7空港を一体とした、民間委託を決定。(2020年6月1日から新千歳空港が民営化)
空港民営化で、民間の創意工夫による周辺地域の発展、空港ビルの物販収入などを用いて空港離着陸料を引き下げ、就航路線を拡大させる等の効果が期待される

出典:毎日新聞より
北海道7空港
外資注目 一括民営化、事業者に続々応募 訪日外国人客に期待

 

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