c-04 : 日本国内の多民族化・住民の多国籍化

在留外国人の増加・外国人向けサービス市場の拡大

近年、日本の在留外国人数は増加傾向にある。法務省「在留外国人統計」によると、2023年6月末の在留外国人数は約425万人であり、2013年6月末の約205万人から、約2倍に増加している。日本に暮らす外国人の数は今後も増加を続け、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、2035年には総人口に占める外国人人口の割合が10.1%となり、2070年には16.8%まで上昇すると予測されている。

2030年代においても東京、大阪は世界最大規模の経済圏として多くの人が海外から流入する見込みであり、日本国内の多民族化・住民の多国籍化が進むだろう。

日本国内の人口減少がさらに深刻化することで、外国からの労働者受け入れを含む移民政策は課題解決の鍵になることが予想される。また、日本の物価が先進国の中では相対的に低くなってきていることから、富裕層を中心に、日本の文化や生活環境などに魅力を感じる外国人が日本に移住するケースも増加する可能性がある。これにより、多様な層の外国人を対象とした商品・サービスの市場、および外国人定住者が増加した日本社会で新たに生まれる市場「新移民市場」が拡大していく。

予想される未来社会の変化

  1. 定住外国人向けのサービス市場が急成長する
  2. 同じ文化的・宗教的背景を持つ外国人が集まって暮らし、コミュニティーを形成する街が増える
  3. 様々な資格のグローバル基準での標準化が求められるようになり、制度の整備が進む
  4. 外国人コミュニティーのサポートや、電子市民(e-Residency)制度の導入など、自治体による外国人定住者の誘致が活発化する

トレンド

Hello! ハロハロプロジェクト

出典:PR TIMES『福知山市の多文化共生プロジェクト「Hello! ハロハロプロジェクト」始動!』

京都府福知山市は、「多文化共生」を推進するプロジェクト「Hello! ハロハロプロジェクト」を始動させ、多文化共生の推進に向けた取組みを行っている。

「多文化共生」とは「全ての人が“混ぜこぜ”になって尊重しあえる世界」という意味であり、フィリピン出身、福知山市在住の多文化コミュニティ・オーガナイザーのジョセフィン・タニグチさん(通称カレンさん)による表現。

また、総務省は「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義している。

近年、京都府福知山市でも外国人数が増加しており、社会が変化していく中で、「多文化共生」のまちづくりを推進していくことは必要不可欠であると認識した。提案型公共サービス民営化制度により、NPO法人京都丹波・丹後ネットワークとともに、国籍を超えた相互理解を深めながら、お互いを尊重し暮らすことができる優しいまちづくりを進めるための取組みを始動した。

「多文化共生」を推進するためのセミナー・交流会・勉強会などを行っている。

多文化共生コミュニケーションアプリ「わかる」

出典:PR TIMES『外国人材雇用を促進するOne Terraceが、愛知県豊橋市にて多文化共生コミュニケーションアプリ「わかる」の実証実験を開始。誰も取り残さない行政サービスを目指します。』

One Terraceは、今後増加が見込まれる外国人生活者と自治体、地域住民、支援者との情報伝達やコミュニケーションの効率化に取り組んでおり、愛知県豊橋市で外国人市民向けに多言語で行政情報を発信するアプリ「わかる」を2024年2月19日に実証実験として導入。

このスマートフォンアプリを通じて、外国人市民はリアルタイムで行政情報を受け取ることができ、最新情報が更新されるとプッシュ通知が送信される。

また、アプリには市役所とのチャット機能が搭載されており、窓口の営業時間に足を運ぶのが難しい市民が、自分の都合の良い時間に問い合わせを行えるようになる。外国人市民が日本語以外の言語で問い合わせを行った場合、管理画面にある翻訳ボタンを利用することで、市役所の職員は日本語に翻訳された内容を確認できる。逆に職員が日本語で返信した際も、外国人市民は翻訳ボタンを使って自分の言語に翻訳することができるため、双方が慣れ親しんだ言語でのやり取りが可能となる。

この仕組みにより、問い合わせ内容の翻訳を他の人に依頼したり、別の翻訳サイトを使用したりする手間が軽減され、よりスムーズな行政対応の実現を目指す。

日本在留外国人の日本での就労意欲・特定技能への意識に関する調査

出典:PR TIMES『日本での就労意欲の高い外国人材は91.0%と2022年より5.8pt減少。国籍によって差が出る結果に。日本で働きたくない理由トップは「円安」特定技能2号での就労希望者は63.6%。永住や家族帯同が魅力』

マイナビグローバルは、日本に在留する外国人の就労意欲と特定技能への意識に関する調査を行い、2024年の結果を発表。この調査によれば、91.0%の外国人が引き続き日本で働くことを希望しているが、2022年の調査からは5.8ポイントの減少した。日本で働きたくない理由の中で最も多かったのは「円安」で、38.5%がこの理由を挙げている。

国別に見ると、ベトナムの人材のうち85.9%が日本で働きたいと回答し、2022年からは12.1ポイント減少。一方で、インドネシア人材は94.4%、ミャンマー人材は97.0%が日本での就労を希望しており、国籍によって明確な差異が見られた。

就職先を選ぶ際に重要視される要素としては、「給料」が69.8%で9.9ポイント増加し、「人間関係の良さ」が44.3%で27.6ポイント増加。

特定技能2号の認知度は76.8%であり、家族帯同が可能であることについても50.8%が認識しており、日本で家族と生活することを望んでいる。

特定技能とは、労働力不足が顕著な産業で働く外国人を受け入れるための在留資格であり、特に2号は熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けに設けられている。特定技能2号では、家族帯同や在留期限の更新、永住許可の申請が可能となる。

2023年6月には、特定技能2号の対象分野が拡大され、多くの外国人がこの在留資格での就労を希望している。特定技能2号で働きたい理由としては、「永住できる可能性がある」が44.0%、次に「家族帯同」が41.8%、そして「在留期限」が40.7%という割合で挙げられ、特定技能1号の懸念点と一致。これにより、特定技能2号が外国人材のニーズに応えていることが示唆された。


出典: 既に「移民大国」 日本人だけもう限界 /日経ビジネス

・在来外国人は年々増加傾向にあり、日本の総人口の2%弱を占める

・日本では外国人の受け入れ政策に舵を切っているといえる。
日本は慢性的な人手不足であり、外国人労働者の数は、2030年には300万人に達すると予測されている

・ヨーロッパでは、多くの移民を受け入れている。オランダでは移民の受け入れにより人口が増加した
ドイツやフランスでは社会福祉費用の悪用、テロ行為の増加が起きており、社会問題になっている。それらを要因として、ヨーロッパの国々では極右政党が台頭しており、ナショナリズムが高まりを見せ、社会の分断が危惧されている

・埼玉県蕨市では、在日クルド人が多く集まることから、ワラビスタンと呼ばれている。こういった特定の外国人が集まる地域が、今後増加すると考えられる

・新型コロナの影響で、外国人受け入れ政策に大きな変化が見られた
技能実習生に対して特別措置として「転職」を認る、特定活動に限り在留資格を最大1年間与えることが決定された
コロナの一件で日本の対応能力の低さが露見、受け入れ制度の見直しが求められている

・在留外国人の日本語力強化や在留外国人の失業保証など、緊急事態を想定した制度転換が求められる

 

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