自然災害リスクの増大とは?
気候変動や都市機能の過度な集中により自然災害の被害が甚大化しやすくなり、リスクが高まっている。巨大台風、豪雨による洪水や土砂災害の頻度と規模は増加傾向にあり、大規模地震、火山噴火の発生も予想される。これらは人命損失、経済的被害、インフラ破壊など、社会に甚大な影響を及ぼす。特に都市部での災害は、高度に集積したシステムの連鎖的崩壊を引き起こす恐れがある。
予想される未来社会の変化
- 防災・減災分野でDXが加速する
- 災害に強い分散型インフラ(エネルギー、通信、物流)が標準となり、都市設計が大きく変革される
- 防災・減災のための住民コミュニティがデジタル空間で形成され、共助の新しい形が確立する
トレンド
先進防災技術
SAKIGAKE JAPANは、日本の防災および環境適応技術を世界に広めるために設立され、世界銀行主催の「防災グローバルフォーラム2024」に協賛・出展し、最新の防災ソリューションを紹介した。このフォーラムは、自然災害リスクを理解し、軽減するための国際的な取り組みを議論する場。
例えば、コールドストレージ・ジャパンが開発した「COLD STORAGE BOX Portable」は、太陽光発電式の小型冷蔵冷凍庫で、電源供給が限られる南太平洋の国々や日照量の多いアラビア諸国で高い関心を集めている。
また、Asterが提供する「ASTER POWER COTING」は、建物の表面に塗布することで耐震性を向上させる技術であり、特殊なガラス繊維を含むこの塗料は、震度7でも崩れない強度を持ち、施工が簡単でコストも抑えられている。この技術は環太平洋火山帯や中央アジア、アフリカの建物耐久性向上に役立つとされている。
さらに、humorousの「ナイトコンシェルジュ」は、高輝度蓄光素材を利用し、夜でも発光する電源不要の演出ツールで、設置が簡単で停電時に避難経路を示す機能も備えている。
SAKIGAKE JAPANは、防災・環境適応テクノロジー企業への営業支援や、企業・自治体向けに理想的なソリューションを提供するための防災データベースの開発・運用に尽力している。また、「国際復興フォーラム2024」や「防災DX官民共創協議会」への参加を通じて、防災の未来の構築に取り組む。
住民避難支援サービス「ニゲドキ」
NTTアドバンステクノロジは2024年7月22日から、全国の自治体を対象に、住民避難支援サービス「ニゲドキ」のトライアル提供を開始した。
本サービスは、国土交通省が作成を推奨している住民一人ひとりの防災行動計画「マイ・タイムライン」の登録情報や、「自宅」「職場」「実家」などのあらかじめ指定した場所の情報をもとに、その住民に応じた避難のタイミング「ニゲドキ」をお知らせし、避難行動を促進する。
お知らせは、スマートフォンのほか戸別受信機でも受け取ることが可能なため、スマートフォン・タブレットの操作が不得意な高齢者やインターネットへ接続する機器を持っていない方も利用できる。
マイ・タイムラインの作成は、親しみやすく直感的に操作できるUIに加え、一部操作の自動化により、特別な知識がなくても簡単に完了できる。
作成したマイ・タイムラインは印刷にも対応しており、スマートフォンが使えない状況でのバックアップとして利用できるほか、スマートフォンを持っていない方や使いこなせない方には、支援者が代理で作成・印刷してわたすことも可能。本サービスの提供により、「逃げ遅れゼロ」の実現に貢献する。
A.Qトイレ
人・夢・技術グループの子会社である長大はバイオトイレ「A.Qトイレ」を提供している。
複合発酵技術を活用した微生物の働きで汚水を浄化し、再び洗浄水へとリサイクルするという水循環システムを備える自己完結型・自己処理型のトイレ。
循環型なので、原則として上下水道を必要とせず、微生物による複合発酵技術で汚泥処理をすることで、悪臭もせず、汲み取りの必要がない。
さらにノンケミカルで大腸菌ゼロを可能にした。平常時にも災害時にも活躍する持続可能なバイオトイレ。
同社が出資するRQにおいて製造およびO&M(Operation(オペレーション)、Maintenance(メンテナンス))サービスを提供している。
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震では、被災した能登町において、特にトイレ環境が厳しい3箇所の避難所に4基のA.Qトイレを提供し、好評だった。
便座も温かくウォシュレット完備で、災害・非常時にも通常の生活環境と同等レベルで安心・快適に利用することが出来る製品であり、上下水インフラが寸断されても快適なトイレ機能を提供できることなどが評価され、国土強靭化、災害対応の観点から、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催「第10回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2024」において、『最優秀賞』を受賞した。
・地球温暖化が進むことにより、海水温の上昇がもたらされる。それにより、大気中の水蒸気量が増えることで、台風は現在よりも強い勢力を保ったまま、日本に上陸するようになっている
・駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とする南海トラフ地震は、概ね100~150年間隔で繰り返し発生してきている大規模地震である
現在は前回の南海トラフ地震が発生してから70年以上が経過しており、今世紀前半に高確率で発生すると予想され、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まっている
・国内の自然災害リスクの増大受けて、東京海上日動と応用地質株式会社は、事業提携を行っている
データやデジタルを活用しながら、自治体や企業の防災対策を支援する取り組みを行っており、「スーパーシティ・スマートシティ向け先進防災サービス開発」や「IoTセンサや災害ビッグデータを活用したDXの推進」を進めている
・ジャパンホームシールドとこくみん共済coopは、地盤情報から地震・液状化・浸水の可能性が分かる「お住まいの地盤診断サービス」の提供を開始した
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