核融合発電とは?
核融合発電とは、軽い原子核が融合してより重い原子核を形成し、その過程で大量のエネルギーを放出する反応を利用した発電方法のこと。
太陽や他の恒星のエネルギー源と同じ原理による発電方法であり、CO2や高レベル放射性廃棄物を排出しないクリーンで持続可能なエネルギー供給方法として期待されている。
核融合発電の実用化に向けては、プラズマ制御技術、炉材料の開発、燃料であるトリチウムの確保など、多くの技術的課題がある。
予想される未来社会の変化
- 化石燃料に依存しない、環境負荷が低く安定的な大規模発電が実現する
- 産業用の大規模な電力需要が低コストで満たされ、製造業や情報産業の競争力が向上する
- 大量の安価なエネルギーにより、海水淡水化や大規模な環境修復など、これまでコスト面で実現困難だった技術の実用化が進む
- 核融合発電所の建設・運営能力を持つ国と持たない国の間で、新たな技術格差や経済格差が生まれる
トレンド
核融合発電の実用化を ベンチャー企業に官民で100億円余出資へ
核融合発電の実用化に向け、政府系ファンドや電力会社、大手商社など17社が、京都大学発のベンチャー企業「京都フュージョニアリング」に100億円余りを出資した。同社は、核融合発電の小規模な実験用発電プラント建設を進めている。出資企業には、政府系ファンドのJICベンチャー・グロース・インベストメンツや、三菱商事、三井物産、関西電力のグループ会社などが含まれ、総額は105億円にのぼる。出資を通じて、ベンチャーは技術者の採用拡大や研究開発の加速、さらには海外での事業展開強化を図る方針だ。核融合発電の開発競争は世界規模で激化しており、官民が一体となったこの出資は、実用化に向けての一層の加速をもたらす可能性がある。
2028年にはマイクロソフトが核融合発電の電力購入へ
核融合発電の実用化に向けた世界的な競争が加速している。米国のHelionEnergy社は、2028年に核融合発電の開始を目指しており、マイクロソフトとの世界初の電力供給契約を結んだことで注目を集めている。イギリスでは、政府が核融合技術開発を支援するUKIFSを設立し、2040年までにトカマク型施設の建設を計画している。カナダのGeneral Fusion社は、ジェフ・ベゾス氏の投資を受け、イギリス原子力公社と共同で実証用核融合プラントを建設中で、2026年の稼働を目指している。
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