a-14 : 食・栄養素のパーソナライズ技術

食・栄養素のパーソナライズ技術(パーソナライズドニュートリション)とは?

食・栄養素のパーソナライズ技術とは、ウェアラブルデバイスで取得した生体データや、食事内容の画像解析データなどを用いて、個人に最適化された食事内容や栄養素を明らかにする技術である。これにより、心身の健康維持や疾患の治療、睡眠・メンタルヘルスの向上といった様々な目的に合った食事やサービスが提供される。

個人に最適化された栄養改善は「パーソナライズドニュートリション」とも呼ばれ、今後はAIエージェントによる食事内容の提案、家庭用調理ロボット・3Dフードプリンターを用いたレシピの提案なども実現すると予想される。未病・予防の促進や健康格差の縮小、食品ロスの減少などに寄与することが期待される。

また、パーソナライズ技術は食の時間の楽しみや満足度を最大限に高めるためにも活用され、飲食業界において体験価値やエンタメ性を追求するサービスも広がる。

予想される未来社会の変化

  1. 健康、病気の予防への意識がさらに高まり、パーソナルデータを活用した食の健康管理サービスへの注目が高まる
  2. 低所得層や高齢者にもアクセス可能なパーソナライズドニュートリションサービスが普及し、健康格差の縮小に寄与する
  3. 個人の消費パターンに基づいた最適な食材が供給され、食品ロスが減少する
  4. 摂取成分と身体状態・精神状態の因果関係が明確になり、保険や労務管理など多分野で摂食習慣と結びついた管理が行われる

トレンド

TYPE FOOD

出典:PR TIMES『服のように、自分のカラダに合った食品が選べる時代へ!「TYPE FOOD」の予約販売を開始』

ユカシカドは検査結果から自分に合った栄養食品が選べる新サービス「TYPE FOOD」をリリース。

栄養検査キット「MY TYPE」で、尿検査を行い、尿中の代謝物から自分が今必要としている「栄養TYPE(5つのTYPEを判定)」「栄養バランス」が分かる。その検査結果をもとに、「TYPE FOOD」で、自分のカラダに合った栄養食品を70種類の中から選択可能。現在の食習慣を変える事なく自然に健康的な食生活を送ることができる。

3Dプリンターで作るパーソナライズ・サプリメントグミ「NOURISH3D」

出典:PR TIMES『【日本初出店】英国発、3Dプリンターで作るパーソナライズ・サプリメントグミ「NOURISH3D」 渋谷スクランブルスクエアにてポップアップストアを2024年1月18日(木)~2月5日(月)オープン!』

イギリスのスタートアップ企業Rem3dy Health(レメディ・ヘルス)は、2023年8月に日本市場に参入し、パーソナライズされたサプリメントグミ「NOURISH3D(ナリッシュ3D)」を販売開始。

この製品は、3Dプリンターを用いて7つの栄養成分を1粒に凝縮したもの。さらに、2024年1月18日から2月5日まで、渋谷スクランブルスクエア2階にて日本初のポップアップストアを開催し、日本限定のプレブレンド・サプリ7種も展開。

NOURISH3Dは、ユーザーがウェブサイトでの質問に答えることで、その人の睡眠状態や食生活、運動頻度、味の好みなどに基づいて、32種類の栄養成分から600億通りの組み合わせの中から、個別に最適化されたサプリメントを提供。Rem3dy Healthは2023年8月にサントリーホールディングスからの出資を受け、日本に進出した。

また、NOURISH3Dは2020年にアメリカとイギリスで販売を開始し、累計500万個以上を売上げて多くのメディアでも取り上げられており、2023年には「The King’s Awards for Enterprise」のイノベーション部門でアワードを受賞した。

NEWTRISH

出典:PR TIMES『ウェルナス、住友商事に対し「AI食」技術の事業化に向けた調査業務を開始』

食で実効的な健康を届ける信州大学発のヘルス・フードテックベンチャーのウェルナスは、AI食情報を個々人に届けることを目的に、AI食技術を活用した初のソリューションとして、スマートフォンアプリ「NEWTRISH」を開発。

個別栄養最適食「AI食」とは、利用者が設定した目標(健康・美容・運動機能・学力など)に関連する生体データと摂取した食事に含まれる栄養素データを日々記録し、独自の解析アルゴリズムを用いた「AI食」技術により、日々変化する生体データと栄養素データの関係性を明らかにし、生体データに影響する栄養素(関与因子)を決定、生体データを改善するために栄養素を調整した食事である。

キーワードである「AI食」は日経トレンディ「2023年ヒット予測ランキング100」にて11位を獲得したほか、2023年1月の発売後は10ヶ月で18,500ダウンロードを突破するなど注目されている。


・未病・予防の考えが浸透し、健康管理に対する意識が高まることが予想される。IoTを用いて自分の体調や摂取栄養素、アクティビティ状況を常に把握することができるようになる

・今後、食品成分のデータ化が進み、摂食時にQR コード読み取りやライフログカメラ等による撮影・スキャンにより、成分が記録できるようになると考えられる。

・そのようにして蓄積されたデータが、食品の成分データベースの全社会的な整備に貢献する。さらにウェアラブルデバイスや家庭用医療機器と連携し、個人に最適化した食事や食材(完全食やサプリメントを含む)、レシピなどを届けてくれるサービスの登場が期待される。すでに冷凍食品などでは、事例がある。

出典:CNET Japanより
日本企業が目指す食のパーソナライゼーション–実現する上で必要なこと

healthServer (ヘルスサーバー) 世界初のオーダーメイドサプリメントサーバー

・また、糖尿病や腎臓病、透析をしている人など、厳しい食事制限がある人に向けて、疾患ごとに最適なカロリーや栄養素を計算し、調理されたメニューを提供するサービスも増加する

・AIによる病院食の食べ残し分析や、自動献立提案システム、食事画像解析AIで日々の食事や運動のログをダイエットや健康管理に活用できるアプリ、自動でサプリを調合するデバイスなどが開発されている

あすけんダイエット

・データに基づいて個人に最適化した食事を提案・提供するサービスに加えて、それらの効果検証や影響を受けたユーザーの行動の結果などもモニタリングできるようになると、最適化の精度をさらに向上する

・ライフログテクノロジー、ヘルスケア アプリ「カロミル」は利用者の食事履歴、運動量、体重などの基本情報を計測することで、ライフログデータを簡単に取得できる。食事の写真から栄養素や料理名などデータを解析することができる。
・米国のスタートアップHEALBEが開発した「GoBe3」は、腕に装着することで、従来の製品によくある消費カロリー、歩数と移動距離、睡眠の質、睡眠時間などが把握できるだけでなく、摂取カロリーを自動測定してくれる。血糖値の上昇や細胞のグルコースの吸収、細胞内液の排出などから摂取カロリーを計測しており、ダイエットに役立てることができる。

食べたカロリー自動で計測 腕時計型の「GoBe3」で健康管理(日経XTREND)

 

 

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