人間拡張・サイボーグ技術とは?
身体拡張技術とは、人間の身体能力や知覚などを増強・拡張させる技術である。サイボーグ技術はその一種で、身体の一部を機械に置き換えることで機能を補助・強化する技術のことを指す。各種センサーやロボティクス、人工知能など最先端技術を組み合わせ、人間が本来持つ能力の維持・向上および社会コストの低減を目指す。
身体拡張技術は、医療や福祉、教育、エンターテイメントなど様々な分野での活躍が期待される反面、倫理的、社会的な問題も抱えているため、技術の進展とともに慎重な議論と規制が必要とされる。
予想される未来社会の変化
- 身体拡張技術により、効率的な生産活動が実現し、生活の利便性が増す
- 人とマシンがBMI(BCI)で接続され、意思の反映、フィードバックの獲得が容易になる
- 肉体とマシンの境界、リアルとデジタル境界が連続的で曖昧なものとなり、一体として機能する
- 身体拡張技術により、身体的な制約が小さくなり、健康寿命が延伸する
- 機能拡張と健康寿命の延伸により就労可能な人口が増える
トレンド
アサヒビール吹田工場が電力モーター付きアシストスーツを導入
2019年11月、アサヒビール株式会社は、物流業務従事者の負担軽減と業務効率の向上を目的とした、動力(電力モーター)付きアシストスーツ「サポートジャケットEp+ROBO」を吹田工場で10台導入した。
アサヒビール社は人手作業に留まっていた、製品を持ち上げや運搬する作業工程での従業員の負担軽減・業務効率化を図る為に、ユーピーアール株式会社の「サポートジャケットEp+ROBO」の導入に至った。
視線と声で操る「第三の腕」、早大とパナソニックが共同開発へ
早稲田大学 岩田研究室が開発したロボットアームは、人の腕と同様に肩や肘、手首といった関節を持ち、「グリッパ」と呼ばれる3本指で器用に調味料やドライバーをつかむ。ロボティクスを活用して人の身体能力を引き上げる“身体拡張”を目指して開発した。
岩田研究室は、2019年1月にパナソニックが発表したロボット技術の共創拠点「Robotics Hub」に参画。共同研究を進め、サービスロボットなど次世代ロボットの早期実用化を目指す。
世界初の装着型サイボーグ「HAL」
HALは、筑波大学の山海嘉之教授によって設立されたサイバーダイン社が開発した世界初の装着型サイボーグ。装置して体を動かすことで、身体機能を改善・補助・拡張・再生する。HALは、装着者の「生体電位信号」を皮膚に貼ったセンサーで検出し、意思に従った動作を実現する。
HALは医療や福祉分野の動作支援や工場での重作業支援、災害現場での復興活動支援など幅広い分野で活用されている。なかでも、医療福祉現場での支援で大きな効果を発揮するため、次のような種類がある。
- 医療用下肢タイプ・医療用単関節タイプ
- 自立支援用下肢タイプ・自立支援用単関節タイプ
- 腰タイプ 介護・自立支援用・腰タイプ 自立支援用・腰タイプ 作業支援用
利用者の目的や状態に応じて多くの種類があるため、病院はもちろんリハビリテーションや機能維持など多くの場面で活躍できることが期待される。
髪の毛が1本1本まで見える レーザー光で視覚を拡張
QDレーザが開発した「レティッサ」は、カメラでとらえた様子を、微弱なレーザー光線でプロジェクターのように目の奥にある網膜に投影する。水晶体がうまく働かないような人でも、網膜から先の脳に情報を伝える機能が保たれていれば、鮮明な映像を見ることができる。
臨床試験を経て2020年、めがねやコンタクトレンズでは十分な視力が得られない、強度の乱視患者に対する医療機器として承認された。網膜に投影する方式では、世界初の実用化された。
\未来コンセプトペディアを活用してアイデア創出してみませんか?/
新規事業・新サービスアイデア創出ワークショップ
新規事業立ち上げの種となるアイデアを創出し、新たな領域への挑戦を支援します。