座談会:コンサルタントというキャリアの虚実〜単に頭がいいだけの人と、社会を変える人との分かれ目とは?(第2回)
知識と経験で企業の課題を解決していくコンサルタントはナレッジワーカーの代表的な職種である。近年は、コンサルティングファーム出身のコンサルタントだけでなく、メーカーや商社などにおいて専門性を磨いた後、コンサルタントとして活躍するケースも増えてきている。
そこで、ナレッジワーカーラボでは様々な立場でコンサルティング/コンサルタントに関わる、電通コンサルティング 森佑治氏、立命館大学 鳥山正博氏、アクシスコンサルティング 伊藤文隆氏、D4DR 藤元健太郎の4名で座談会を行い、コンサルタントの現状と未来を語った。(全4回)
第2回 求む「起業して失敗した人」
勝ちパターンを捨て、成長機会を手に入れる
藤元:コンサルタントとしてキャリアを積む上で、何を意識するとよいでしょう。
鳥山:若い時には多様な業種や職種を見て、いろいろな経験ができるような環境に自分をおくことです。一回経験した成功パターンを常に繰り返しているようでは鍛えられません。
伊藤:経験という話でいくと、最近コンサルティングファームからこんなニーズがありました。「起業して失敗した人はいないか。サラリーマンの経験はなくてもいい」。つまり、自ら挑戦したという経験が重視されているのでしょうね。
鳥山:コンサルティングファームには、黙っていても偏差値秀才ばかりが集まりますが、言われたことだけ誰よりも優秀にこなすという人ばかりだと、イノベーションは生まれません。
森:最近、外資の大手コンサルティングファームは、一度辞めた人を受け入れるようになってきています。本国のほうでは一般的でしたが、日本ではほとんどありませんでした。
鳥山:私も野村総合研究所を一度辞めて、1年後にまた戻りました。当時は珍しかったのですが、今では当たり前になってきていますね。
出世コースより挑戦コース
藤元:経験を積んで起業するコンサルタントがいる一方で、社会人大学院でMBAなどを勉強し、知識を構造化して整理する人もいますね。
鳥山:MBAは一度社会に出た後に学ぶことをお勧めします。大学を卒業しばかりの人でMBAのコースに来て成績が上がっているケースもありますが、ビジネスの経験がないのでやはりピンとこない人が多いような気がします。自分のお金で、働きながらMBAを勉強する人はモチベーションが高いし、問題意識もシャープです。
藤元:優秀な人が大企業に入り、MBAを取得してから他の企業へ転職してしまうケースも、よくありますね。大企業は地頭がよくて、ポテンシャルの高い人にとっては、物足りないのでしょうか。
鳥山:ほとんどの大企業には出世が約束された「保守本流」などと言われるキャリアのステップがあります。逆説的ですが、この安定的な「本流」に乗せることで、多くの良い人材をダメにしてしまいます。
森:優秀な人材は企業から一度コンサルティングファームへ転職させてみるといいでしょうね。経験を積んだ後、また自分の会社に戻ってきてもらうと、良い仕事をすると思います。
鳥山:ひとつの会社の中で育てる場合は、海外の支社へ行かせてしまうのがいいでしょう。自分で全て考えて、自分自身が動かなければいけない環境におかないと成長しません。
藤元:商社は昔そうでしたね。一時期なくなりましたが、最近また復活したと聞きます。
鳥山:私はNTTが賢い投資をしていると思います。これには、ちょっと解説が必要ですね。「なぜ、そんな会社まで買うのかと」言われるほど企業を次々と買収しており、私はその投資が全て正しいと言っている訳ではありません。NTTはこれらの会社に有望な人材を経営者としてほうり込むことができるんですよ。結果的に、経営者になる実地訓練を受けた人を何人も抱えるにいたっているのです。
<第2回 了>
最新記事 by D4DR PR Staff (全て見る)
- 【イベント報告】「経営戦略としてのCXデザイン」(9/25 第67回NRLフォーラム) - 2024-10-31
- 【イベント報告】「AIが変えるECと動画マーケティング」(6/27 第66回NRLフォーラム) - 2024-07-31
- 【イベント報告】「オムニチャネルと顧客戦略の現在」(5/23 第65回NRLフォーラム) - 2024-06-26