d-04 : 選択的低所得層

選択的低所得層とは?

選択的低所得層とは、所有にこだわらないミニマリスト的な価値観を持ち、生活コストを低減し、労働による所得を意図的に最小限に抑えて、余暇時間や自己実現のための活動を重視するライフスタイルを選択する生活者のことを指す。

低コストのライフスタイルが実現する要因として、次の2点のような変化が挙げられる。

  1. 低コストで日用品や生活サービスを利用することができるサブスクリプションやシェアリングなどのサービス形態が様々な分野に拡大すること
  2. コモンズ(土地やモノを共有の資産(公共財)として生活者同士で管理・利用し合うための仕組みやコミュニティー)の利用により、必需品などを全て購入・所有する必要がなくなり、安定した生活基盤を得ることができるようになること

また、近年の急激な物価上昇にもかかわらず、賃金の上昇が追い付かないため、収入を増やすために労働時間を増やすよりも、選択的低所得層を選択することをメリットだとみなす人が増加すると考えられる。

あるいは、累進課税制度において、収入を増やしても、それ以上に税負担が増えるため、そこまで多くの稼ぎを得ることにメリットを見出せなくなり、選択的低所得層を選択するケースも出現するだろう。

予想される未来社会の変化

  1. 労働市場の流動性が高まり、短期・パートタイム・ギグワークの需要が増加する
  2. シェアリングエコノミーが更に発展し、所有から利用へのシフトが加速する
  3. ミニマルな生活を支援する新たなサービスや製品市場が拡大する
  4. 地域通貨やタイムバンキングなど、代替的な経済システムが発展する

トレンド

あえて「住民税非課税世帯」を目指す、年収1000万円超だった大手メーカー社員の老後の生計

出典:JB press『あえて「住民税非課税世帯」を目指す、年収1000万円超だった大手メーカー社員が定年後に選択した老後の生計』

大阪市在住の男性は、大学卒業後20年以上エンジニアとして働き、60歳で完全リタイアを果たした。妻は専業主婦で子供はおらず、退職一時金を含む貯蓄は6000万円を超えている。

65歳までの生活資金として、月額10万円の企業年金を受け取りつつ、貯蓄を少しずつ使用していく予定である。資産の半分は国内株式に投資しており、配当収入も得ている。

大阪市だと、配偶者と二人の世帯で合計所得が101万円以下であれば、個人住民税は課税されない。男性の年金収入は120万円だが、公的年金等控除60万円を適用することで、他に収入がなければ住民税非課税世帯となる。株式投資による収入はNISAや新NISA、特定口座を利用しているため、申告不要で所得税や住民税の算出に影響を与えない。

住民税非課税世帯になると、多くの公的扶助の対象となり、国民健康保険料や介護保険料が大幅に減額され、医療費負担も軽減される。

東京都でも70歳以上の住民に対して、シルバーパスの購入が大幅に安くなる特典も受けられる。住民税非課税であれば、保有資産が問われることもないため、生活支援が受けやすくなる。

男性は、「住民税非課税世帯」になることが合理的な選択であると考え、老後の生活は資産を蓄えてフローを減らす方が有利だと主張している。

TOKYO<β>MANGA-SO(マンガ荘)

出典:PR TIMES『1年間の家賃無料、水道光熱費も無料!マンガの聖地・豊島区も協力&WEB漫画制作スタジオがデビュー支援 ~シェアアパート都内最大手TOKYO <β>によるZ世代の「夢」応援プロジェクト第1弾~』

TOKYO<β>(運営会社:三好不動産)は縦スクロールのデジタルコミック「WEBTOON」を制作するクリエイター育成プロジェクトを開始し、東京都豊島区内に「TOKYO<β>MANGA-SO」(マンガ荘)を完成させた。場所は、東京メトロ有楽町線・副都心線「要町駅」から徒歩約8分で池袋駅まで徒歩も可能な好アクセスな立地となっている。

WEBTOONをはじめとするデジタルコミック業界大手のナンバーナインと協業し、漫画制作に必要なノウハウや機材、デビューに向けて支援する環境を提供する。TOKYO<β>は、豊島区内の所有物件を1棟まるごとWEBTOON制作に適したマンガ荘にリフォームし、入居者には家賃だけでなく、水道光熱費を1年間無料で提供する。

当該物件は通常月約7万円の家賃がかかるため、水道光熱費や通信費、初期費用など通常本物件への入居にかかる費用の年間約100万円の生活費が節約できる。

ただし、プロデビュー後に発生した印税の5%を、入居日から2年間、還元総額の最大は50万円還元することになっている。

家具と家電のレンタル・サブスク「CLAS(クラス)」

出典:PR TIMES『【6月5日は「世界環境デー」と「環境の日」】クラス、経済産業省が主導する産学官連携パートナーシップ「サーキュラーパートナーズ」に参画』

家具と家電のレンタル・サブスク「CLAS(クラス)」を運営するクラスが2024年4月5(金)~4月10日(水)に実施したインターネット調査によると、CLASに登録した理由TOP5として、「購入するよりもお得・節約だから」が33%で2位になっている。また、「廃棄費用削減のため」が22.2%となっており、価格面からの利用が一定数あることが示された。

そのほか、「引越し」や「新生活」を機に登録することや、「定期的に交換していきたい」機能面なども上位となっており、家具や家電を「所有せずに利用」できるCLASの特徴が利用者にメリットとして感じられている。

 

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