睡眠マネジメントに対する意識の高まりとは?
睡眠マネジメントとは、睡眠の質と量を最適化するための意識的な取り組みのことを指す。睡眠マネジメントは、不調・不具合を改善するだけでなく、睡眠の質を高めることで健康や生活の質を向上させる目的でも実践される。
テクノロジーの発展により、睡眠の個別化と最適化が可能になる。ウェアラブルデバイスによる生体データ測定や、AIによる分析・アドバイスによって、睡眠の質を向上させる。将来的には、遺伝子編集やBMIによる睡眠制御なども可能になると予想される。
予想される未来社会の変化
- ウェラブルデバイスの普及で、大人数の睡眠データの取得・解析が進み、睡眠に関する科学的な理解が深化する
- 受動的な睡眠モニタリングだけでなく、動的に働きかけその質を高めるアクティブなサービスが登場する
- 企業においても、生産性を高めるために従業員の睡眠マネジメントのサポートが利用される
- 睡眠状態と健康の相関性が明らかになり、保険商品等との連携が進む
トレンド
Wellbit™ Sleep
OKIは、行動変容技術を活用し、睡眠習慣を改善する行動変容サービス「Wellbit™ Sleep(ウェルビット・スリープ)」を販売開始。
Wellbit Sleepは、利用者がLINEなどのスマートフォンアプリに日々の睡眠時刻や睡眠に関するアンケートを入力することで、パーソナライズされた行動アドバイスのメッセージを受け取ることができるクラウドサービス。健康増進サービスを提供しているサービス事業者向けにサービス提供を開始し、スリープテック事業で2026年度までに年間2億円の売上を目指す。
2023年度にOKIグループの社員200名を対象に実施した4週間の本サービスの試験利用では、実験参加者全体の生産性向上を確認できた。
ウェルスマイル
楽天生命保険は健康増進型医療保険の新商品「楽天生命ウェルスマイル」を発売した。この商品は、病気やケガによる手術や入院、退院後の在宅医療などを保障するだけでなく、顧客が良好な健康状態を維持することで保険料の最大20%の還付を「楽天ポイント」または現金で受け取ることができる医療保険になっている。
健康診断の結果に応じて、1年分の保険料の最大20%の「楽天ポイント」が還付される仕組み(健康還付)であり、顧客が毎年の健康診断の結果を提出することにより、その結果に基づきウェルスマランクが判定され、還付率が決定する。健康還付は毎年1回受けられる。
また、「楽天ヘルスケア」アプリを利用し、身体活動記録を楽天生命に提供することで、「楽天ポイント」を受け取ることができる。対象の身体活動記録は、運動消費カロリー、心拍数、睡眠時間、歩数など最大12項目から自由に選択することができる。ポイント数は、連携する項目と数に応じて決まり、毎月最大250ポイントを進呈する。
睡眠改善プログラム
ブレインスリープは野村不動産グループの従業員に「睡眠改善プログラム」を提供した。
「睡眠改善プログラム」では、睡眠状態をスコア化するサービス「睡眠偏差値for Biz」に加え、スタンフォード大学医学部精神科教授同大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治氏による睡眠セミナーの実施、睡眠改善コンテンツ(E-learning形式のセミナー動画)や睡眠意識向上のための定期的な睡眠コラム発信など、睡眠改善の効果が実証された特別コンテンツを提供した。
本プログラムで睡眠改善に取り組んだところ、睡眠偏差値は本プロジェクト開始前と比べて、睡眠改善後の結果は+2.1ポイントと改善した。また、2回目の測定時は繁忙期であったこともあり、労働時間は+18分と伸びていたにも関わらず、意識的に睡眠改善に取り組んだことにより、睡眠時間は+30分となった。
睡眠偏差値の改善に大きな影響を与えた項目は、「日中の眠気を感じる時間の減少」と「睡眠の質の向上」の2項目だった。「日中の眠気を感じる時間の減少」に関しては、1週間の中で眠気を感じる時間が2.4時間あったが、1.6時間に改善した。「睡眠の質の向上」には、アンケート項目のうち「就寝前のスマートフォンの閲覧日数」の減少が寄与した。また、睡眠の質には就寝前の行動だけでなく、睡眠習慣とも相関があるため、アンケート項目「いつもと異なる時間に就寝する回数」の減少(不規則な時間に就寝しない)も寄与した。
・睡眠時間への関心の向上は日本で見られる現象であり、「不眠大国」という言葉に表現されるように、先進諸国と比較して睡眠時間が短いことが原因である
・慢性的な長時間労働が短い睡眠時間の一因とされ、2013年に国連から是正勧告がなされた
・適切な睡眠時間の確保が、生産性の向上に正の影響をもたらすことが研究により明らかとなっている
企業は生産性向上の観点と、働き方改革の一環として睡眠領域に注目が集まっている
・生活社にとっては、高齢化に伴う健康意識の高まりや、社会の24時間化といった環境変化を背景として、「睡眠負債」という言葉に注目が集まった
・その市場規模は少なく見積もっても1兆円以上と言われている
IoTやAIを活用するスリープテック事業も出現するなど、多くの企業の注目する領域となっている
・スリープテックの事例としては指輪型のウェアラブルデバイスや、マットレスの下に敷く薄型のセンシングデバイス、睡眠に最適な環境を整える睡眠ポッド、睡眠の質を評価するサービス等が挙げられる
・Metronaps社の「energypod(エナジーポッド)」は、パワーナップ専用の高機能な椅子。睡眠に最適な音楽が流れ、快適な目覚めを実現するために、光と振動がプログラミングされている
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