d-23 : 自己表現の増加(創作・表現活動の一般化)

自己表現の増加とは?

自己表現の増加とは、SNSなどのプラットフォームやAIなどのテクノロジーの発達により、映像、グラフィック、文章等の制作・発信がオープンになり、誰もが表現者として活躍することができる環境が整い、創作・表現活動が一般化することである。技術革新により、多くの判断をAIに任せる時代が到来する一方で、自己表現のニーズ・重要性は更に高まる。

自己表現が活発化する一方で、承認欲求を満たすために、過激な言動を公表する人と、それを支持する人々が増加し、治安の悪化も懸念される。そして、著作権の問題やフェイクニュースに関するや問題や、表現への過剰な自己規制によって、コンテンツが画一化されてしまう可能性もある。誰もが表現主体となり得る世界において、規制をどのようにデザインするかが今後の課題である。

 

予想される未来社会の変化

  1. 自己表現が一種のスキルとして認知されるようになり、アート・クリエイティブ教育への関心が高まる
  2. AIツールとの共創により創作の敷居が下がり、個人による動画、音楽、アート、小説などの創作活動が日常的な自己表現手段として定着する
  3. 自己表現を収益化するスキームが整い、自己表現を副業・兼業とする人が増加したり、年齢を問わずクリエイターとして活躍する人が増える

 

トレンド

ベクトルクリエイターズラボ

ベクトルグループは、学生が普段の生活で行っている動画制作などのクリエイティブアクションと広告・PR業界とをコネクトし、更なるクリエイティブ能力の向上に貢献することを目的に、「縦型動画アルバイトプロジェクト」を発足。

学生が、本プロジェクトを通じ、縦型動画の制作やPRの企画立案のサポートなど、実務的な業務を実践的に経験することが可能となる。

昨今、自身の自己表現能力を生かし、TikTokをはじめとするSNS上で爆発的なヒットコンテンツを生み出す動画クリエイターが急増しており、学生においても、メディアやSNSで受動的に情報を収集するだけでなく、自身で縦型動画コンテンツを作成し情報をシェアしたり、自らが発信者となり影響力を持ったりする動きが広まっていることが本プロジェクト発足の背景にある。

生成AIと人によるデザインファッションコンテスト「accelerando.Ai CONTEST #8 – Tshirts」

出典:PR TIMES『生成AIと人によるデザインファッションコンテスト「accelerando.Ai CONTEST #8 – Tshirts」 受賞20作品がリアルクローズとZEPETOアイテムにて同時販売開始!』

OpenFashionはファッションとAIを始めとした最新テクノロジーをかけ合わせたサービス・プロダクトの開発をしている。生成AIを活用したクリエイターが自身の才能を発揮できると同時に、その才能を多くの人に触れてもらえるような環境づくりにも積極的に取り組んでいる。

生成AIを活用したファッションデザインコンテスト「accelerando.Ai CONTEST #8 – Tshirts」を実施し、受賞作品がプリントされたリアルクローズとZEPETOアイテムを発売。

デザインは全て「Midjourney」をはじめとした生成AIによって作られてた作品になっている。「プロンプトTシャツ」のリアルウェアはOpenFashionの公式サイト上で購入でき、デジタルウェアはメタバースプラットフォーム「ZEPETO(ゼペット)」にて、アバターが実際に着用できるアイテムとして販売している。

フェイク判定レポートサービス

出典:PR TIMES「データの信頼性を測るフェイク判定レポートサービスの提供を開始」

NABLASはフェイク判定レポートサービスの提供を開始した。本サービスでは、データや情報についてリアルかフェイクかの判定だけではなく、複数の観点からデータが信頼に値するものかを多重的に検証する。

AIによるフェイク検出に加え、人間によるアカウントや拡散経路の信頼性調査、データの加工や、データの内容とそこに含まれるリンクなどの付帯情報を踏まえたファクトチェックなど、多面的かつ総合的にデータの信頼性に関するレポーティングを行う。

今後は、多面的なチェック・レポート機能を自動化させることで、ユーザーがさらに迅速かつ正確に情報の信頼性を評価できる環境を整えることを目指している。


・YouTube等動画共有サービスが発達したことで、誰もが映像コンテンツを発信できるようになり、映像制作が特権化されなくなった。映像、グラフィック、文章等の制作・発信がオープンになり、誰もが表現者として活躍することができる環境が整った。

・AIを使った表現技術によって、スキルを持たない人でも自己表現が容易になる。2022年には、一般の人でも利用できる画像生成AIサービスが複数公開された。「Stable Diffusion」は、オープンソースで公開されている画像生成AIで、個人のPCで利用することができる。

(出典:Stable Diffusion

・様々なアプリケーションの普及により、人々が何かを制作することのハードルが下がり、ライフスタイルの中にクリエイティブが浸透してきた

出典:Tiktokニュースリリース

・一方で承認欲求を満たすために、過激な言動を公表する人と、それを支持する人々が増加し、治安の悪化も懸念される

・技術革新により、多くの判断を人工知能に任せる時代が到来する一方で、自己の価値観や考えを発信し、コミュニケーションを取っていくことの重要性が更に拡大

・一方で、ネット上での表現規制がどうあるべきかという問題も浮上
ヘイトや児童ポルノ、著作権侵害を犯したコンテンツ、フェイクニュースなどが
出回ることは問題であるものの、表現規制が行われることにより、情報に偏りが生じるのではないかという懸念も指摘される

・市民のモラルが問われる一方で、表現への過剰な自己規制によって、コンテンツが画一化されてしまう可能性がある

・新型コロナウイルスの流行期には、外出自粛によって自宅での自由な時間が増えたことで、自己を内省する時間を得た人が多いという指摘がある
内省をきっかけに、クリエイティブな活動を通して、自己表現を行う人が増加する可能性もある

 

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