生涯学び続ける価値観・リカレント教育とは?
人生のあらゆる段階で継続的に学習を行い、個人の成長と社会への貢献を目指す考え方が広がる。
リカレント教育とは、学校教育と職業生活を交互に行き来しながら生涯にわたって教育を受ける仕組みのことである。
技術革新の加速による知識・スキルの陳腐化や、長寿化による職業人生の長期化、産業構造の変化に伴う転職・キャリアチェンジの増加、個人の自己実現欲求の高まりといった変化により、今後も生涯学び続ける価値観の重要性は増していくと予想される。
予想される未来社会の変化
- 急激な社会変化により、時代の要求に応じたスキルや知識の学習が全世代的に必要となる
- 転職を続ける働き方が標準となり、都度、学習する必要性が増す
- 人生における学びと仕事の境界が曖昧になり、教育機関と職場を行き来するライフスタイルが標準となる
- 1日8時間労働の考えが企業で撤廃され、よりフレキシブルな働き方が採用されるため、学習の機会が増える
- リカレント教育への公的支援が拡充される
トレンド
京都芸術大学 通信教育部
京都芸術大学 通信教育部における2024年度の在籍者数は4年連続で1万名を超え、過去最高になった。
また、京都芸術大学 通信教育部における2024年度の出願者は4,793名と、過去2番目の出願数となり、4年連続で4,500名を超え、幅広い世代の学生が全国各地で芸術を学んでいる。
新設した映像コース、食文化デザインコースにも幅広い年齢層から注目が集まり、出願者数はそれぞれ映像379名、食文化デザイン422名となった。特に食文化デザインでは40・50代の女性が中心となって出願した。
adapt
adaptは講師を交えたコミュニティ型学習により仲間と「学び・教え合う」環境をつくることができる、学べるコミュニティプラットフォームをリリース。
講師を交えたコミュニティ型学習(コホート型学習)の手法を用いることで、リアルタイム性かつ双方向でのコミュニケーションを行う仕組みを学習体験に組み込むことが可能になり、学習効果を高めることができるコミュニティ主導の学習となっている。
独学でのe-Learningは、90%の学習者がモチベーションを保てずに離脱してしまうが、「コホート型学習」によって学習者と教育者が、これまで以上にアクティブに関わる環境が学習体験向上につながると期待される。
行政×ONGAESHI教育NFT
ONGAESHIプロジェクトチームを国内で運営するInstitution for a Global Society(IGS)は奈良県生駒市と、生駒市在住の主に女性のリスキリングと再就職支援に向けて、ONGAESHIの教育NFTを活用してデジタル・リスキリング無償化と再就職を支援する実証実験を開始。
今回の「初めての人のためのITエンジニア講座」では、仕事や家事、育児で忙しい人でもチャレンジしやすいように、eラーニングを基本としながら、2回のリアル集合研修においては託児サポートも行う。受講者を募集した結果、定員30名に対して95名の応募があった(倍率3.2)。
その後、IGSは、受講者を支援できるNFTを限定36個販売する。女性をはじめとした再就職を希望する生駒市民のリスキリングを無償化し再就職を支援できるNFTで、1NFTの購入により、1人が無償で学ぶことができる。そして学んだ人が就職すると、NFT購入者に育成貢献金(トークン)がリターンとして付与される仕組みとなっている。
・AI、ロボティクスなどテクノロジーにより、人間が現在やっている単純作業は代替されると予測される。常に学び続けることが求められる時代になってきている
・欧米ではもともと労働市場の流動性が高い。仕事を始め、学習機会が必要になった場合は、比較的長期間であっても、正規の学生として学習することを推奨している
個人の職業技術や知識を向上するために、フルタイムの就業とフルタイムの学習を、交互に繰り返すことができる
・日本は社会的に長期雇用の慣習が根付く。仕事に必要なスキルは、キャリアを中断せず、就労した企業内で習得するのが通例となっている
しかし、日本でもジョブ型雇用への転換や、転職でのキャリアアップを目指す人が増加する動きが見られ、働き方が多様化してきている
・リカレント教育の取り組み具体例としては、大学の社会人入学制度、社会人特別選抜制度、科目等履修生制度、夜間部・昼夜開講制度、通信、公開講座、専門職大学院、サテライトキャンパス等がある
・習得したスキルを可視化・証明する取り組みもある。「オープンバッジ」は、資格団体、社内研修、認定団体、教育機関などが発行する、デジタルのスキル証明書。国際標準規格にのっとり、各機関共通の型式でスキルを証明できる仕組みである
・欧米では、新型コロナウイルスによる雇用不安を受けニーズが拡大する、デジタル分野への雇用シフトを促すため、リカレント教育への公的支援が広がっている
日本においてもコロナ禍を機に、テレワークで空いた時間を使ってスキルを習得しようとする人が増えている
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