c-25 : 海洋ビジネスの市場拡大(発電・資源開発など)

海洋ビジネスの市場拡大とは?

海洋ビジネスの市場は、未開発の海洋資源への注目と技術革新により拡大を続けている。メタンハイドレートやレアメタルなどの海底資源開発が、資源問題の解決策として期待されているほか、スタートアップ企業を中心に、海底の総合的なデータ化も進んでおり、新たなビジネス機会の創出が期待される。海底都市構想など、革新的なプロジェクトも進行中で、人類の活動領域を大きく拡張する可能性を秘めている。

予想される未来社会の変化

  1. 高コストになりがちな海洋エネルギーや海底の資源開発が自動化技術を背景に産業利用が拡大する
  2. 安定した温度を持つ深海と大気の温度差を利用したエネルギー技術が実用化される(海洋温度差発電等)
  3. 水産資源を保全し計画生産するための産業セクターが生成され、計画的な水産資源生産と供給を行う様になる

トレンド

海底熟成ワインセラー「tlass SEA CELLAR」

出典:PR TIMES『世界自然遺産・奄美大島の豊かな海で“海のテロワール”を創るサステナブルな海底熟成ワインセラー「tlass SEA CELLAR」の初市場展開<2024 1st Edition>発売!』

III Three(アイスリー)は、サステナブルな海底熟成ワインセラー事業「tlass SEA CELLAR(トラス・シーセラー)」を展開し、2024年7月15日から初めての海底熟成ワイン<2024 1st Edition>をオフィシャルサイトで発売。

また、奄美大島・瀬戸内町にあるアペリティフスタイルのワインバー「tlass SEA CELLAR BAR Beach Club(トラス・シーセラーバー・ビーチクラブ)」でも、ボトルの販売に加え、グラス一杯からの提供や熟成前後の飲み比べセットも開始。

今回の海底熟成ワイン<2024 1st Edition>は、特別に選定された3種類のワインで構成され、2023年12月から2024年6月の間に海底で熟成。

「tlass SEA CELLAR」は、海とワインに新しい価値を創出し、海洋保全や地域の活性化にも寄与することを目指す。 海底熟成は、バルト海の沈船から引き揚げられた約170年間海中で熟成されたシャンパーニュの逸話をきっかけに、近年欧米で注目されている。通常の環境下での保管よりも熟成スピードが変化し、まろやかで深みのある味わいが実現するという特性がある。

さらに、岡部の海洋事業部と共同で、海の環境に配慮した魚礁や藻場礁の機能を持つ海底熟成専用ワインセラーを開発し、海とワインへの負荷を最小限に抑えながら、安定した海底熟成を実現している。

アヒル発電(Wave-DAC)

Yellow Duckは、アヒル発電(Wave-DAC)という新しい発電技術を開発。この技術は、浮かべるだけで発電できるため、海底や沿岸に固定する必要がなく、沿岸だけでなく海全域をエネルギー源として有効活用できる。

波の特性として、天候や時間帯の影響を受けにくく、風や太陽光に比べて予測が容易であるため、発電量のコントロールが可能であり、大きな出力低下の心配も少ない。

また、既存の発電システムは一度設置すると動かせないが、アヒル発電は発電場所を自由に変えることができる。さらに、アヒル発電は建設工事が不要で、これにより建設コストを大幅に削減でき、海底への固定による破損のリスクも避けられる。加えて、メンテナンスが陸上で行えるため、作業のために船で海を往復したり、不安定な海上や海中で作業をする必要がない。

このため、アヒル発電では建設コストと維持コストを大幅に削減することが可能。

アヒル発電の仕組みは非常にシンプルで、ろ過した海水の電気分解を利用している。この電気分解に必要な電力は、再生可能エネルギーである波のエネルギーで賄われるというコンセプト。具体的には、丸いたまご型のシステムを海に浮かべ、波によって傾くことで電力を生成する。

再生可能エネルギーを用いて水素を生成し、大気中のCO2を回収することで、カーボンニュートラルの実現に向けた新しい技術として注目されている。

洋上風力発電

出典:SDGs ACTION「洋上風力発電とは? メリット・デメリットや日本の現状、取り組みを紹介」

海に囲まれた日本では洋上風力発電に大きな期待が寄せられている。洋上風力発電とは洋上に吹く風を利用して海に設置された風車を回し、そのエネルギーを利用して発電する方法。洋上風力発電はイギリスやドイツなど欧州で先行して導入されており、近年では中国や台湾などアジアでの導入も増加している。日本では、能代港・秋田港(秋田県)などで導入されており、2040年までに最大45GW(ギガワット)の洋上風力発電の導入を目標に掲げ、実現に向けた動きが活発化している。

洋上風力発電には風力発電機を海底に固定した支柱構造物に設置して発電する着床式洋上風力発電と、風力発電機を洋上に浮いた支柱構造物に設置して発電する浮体式洋上風力発電がある。

洋上風力発電のメリットとしては、洋上は周りに障害物がないことから、陸上と比較して風況がよく、設備の大型化も実現できるため、コストの低減が可能である点、陸上風力発電と比較して、景観へ与える影響を少なくできる点などがある。


・太平洋横断光海底ケーブル「FASTER」は日米間を結ぶ光海底ケーブル。社会インフラとして、国際通信を支えている

・日本周辺の海底に大量に存在するとされるメタンハイドレートは、資源の少ない日本にとって、国産のエネルギー資源として期待される
しかし採掘コストの高さから、石油や天然ガスと価格競争で太刀打ちできず、活用は進んでいない

・海底には「nodules」と呼ばれる、金属を含んだ資源がふんだんに存在している。これらはリチウムイオン電池に必須な、コバルトなどが含まれている
コバルトは主にコンゴでしか採掘できないため、今後コバルトの供給源の一つとして期待されている

出典:MAG2NEWS

・深海は人類にとってフロンティアであり、食料、エネルギー、水、Co2、資源の5つの課題を解決するポテンシャルがあるとされ、宇宙開発と並んで研究が進められている

・清水建設は、深海は温度変化や災害、地震が存在せず、安全だとしており「深海未来都市構想」を公開している

出典:清水建設

・現在は深海は主に音波でしか探査できず、未知の領域が多く存在しているとされる
スタートアップ企業などが水中ドローンなどを開発し、「海の地形図」作成に取り組む。海底の形だけでなく、水質、海流、資源などあらゆる情報がデータ化されることによって、様々なビジネスが生まれることが予測される

出典:PR TIMES   機動力、耐久性、利便性を追求した本格派産業用水中ドローン「DiveUnit300」販売開始

 

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