フェーズフリー社会とは?
フェーズフリーとは、平常時と非常時の境界をなくし、両方の状況で活用できる製品、サービス、インフラ、システムを設計・構築する概念であり、災害への備えと日常の利便性の両立を目指すアプローチのことを指す。災害の多い日本では特に注目されており、防災の負担軽減と日常生活の質向上を同時に実現することができる。フェーズフリー認証商品の普及や、インフラ設計への概念導入が進んでいる。
予想される未来社会の変化
- 都市・施設・機器等多様な領域でフェーズフリー概念が取り入れられる
- 普段から使用しているものを災害時にも役立てることで、収納・メンテナンス・二重投資の減少、災害時の活用しやすさ等のメリットが期待されている
トレンド
防災配慮型住宅「ぼ・く・ラボ賃貸 DOMO(ドーモ)」
大東建託は都市部向け防災配慮型住宅「ぼ・く・ラボ賃貸DOMO(ドーモ)」の販売を開始。
同社は防災プロジェクト“防災と暮らし研究室「ぼ・く・ラボ」”の取り組みの一環として、日常生活が非常時の備えにもなる「フェーズフリー」な賃貸住宅の開発に取り組んでいる。
今回は、気候変動の影響による災害に着目し、災害の原因を「減らす」こと、災害に「備える」ことを、普段の無理のない暮らしの延長でかなえるフェーズフリーな賃貸住宅となっている。なお本商品は、2022年3月発売の「ぼ・く・ラボ賃貸 niimo(ニーモ)」、同年10月発売の「ぼ・く・ラボ賃貸 yell(エール)」に続く、第3弾の防災配慮型賃貸住宅商品。
らせん階段によって建物をコンパクトにして環境負荷を抑え、開放的なつくりによってアウトドアライフを後押しし防災力を高めるフェーズフリー性を備えている。
いつでもどこでも温められる2WAY電子レンジバッグ
WILLTEXは布が発熱する特許技術で実現した、軽くて持ち運べるカバン型のポータブルレンジバッグ「WILLCOOK®」シリーズを開発し、2WAYで大容量の「WILLCOOK PACKABLE(ウィルクック パッカブル)」を発売。
外出先でもレトルト食材を20分で温めることができ、日常時も非常時も役立てることができる備えない防災「フェーズフリー」にも対応している。
保温機能と、10分で100℃まで到達する温め機能に加えて、保冷バッグとしての使用も可能。発熱部分は本体から取り外すこともでき、バッグは小さく折りたたむこともできる。
EVERYONEポンせん(エブポン)
和環食プロデュースブランド、AKASHIROは、全ての人がいつでも安心して食べられる新商品「EVERYONEポンせん(通称:エブポン)」の製造販売開始を発表。日常の一部に備えておける、いつでも誰でもが食べられるお菓子であり主食であり非常食にもなる美味しくて頼りになる フェーズフリーな”ポンせん”となっている。
石川県能登の自然栽培玄米と天然塩を使用。自然災害が頻発する現代社会において、普段から楽しみながら非常食備蓄の重要性を伝える新しい価値を提案している。
・2011年の東日本大震災による未曽有の災害により、人々の防災意識は高まった。日本は地震を筆頭に災害が多い国で知られ、防災用品の備蓄などの対策は必要ではあるものの、コストの問題や防災備品の保管スペースにも限りがあり、課題や負担が大きい
・フェーズフリーは平常時(いつも)と非常時(もしも)のフェーズがつながった状態。①防災品が平常時でも使える②日用品が非常時でも活用できる、の2つのアプローチから、平常時と非常時の両方の価値を高める考え
・一般社団法人フェーズフリー協会が発足し、フェーズフリーの概念を満たす商品やサービスに対する認証制度が2019年から始まっている
・アスクル株式会社はフェーズフリーの概念に賛同し、フェーズフリー認証の商品を多く提供している(計量カップになる紙コップ、耐水耐冷付箋紙、懐中電灯になるデスクライトなど)
・インフラ領域においても、フェーズフリーの概念が取り入れられている。
災害時の防災拠点として活用できる公園の整備や、非常用電源として活用できる電動バス等、東京都豊島区で実装された。
また、今治市クリーンセンターはフェーズフリーの概念を取り入れた全国初のごみ処理施設となっている。平常時は「市民が集い、地域のつながりを活性化させる場」として活用し、非常時には「市民が安心して避難できる強靭な避難場所」として、いつもともしもの両方で地域に貢献できる施設となっている。
今後のインフラにおいては、これらの事例を元に、フェーズフリーの概念が広く取り入れられていくと考えられる
・徳島県鳴門市の小学校では、所在地が津波の浸水想定区域になっていることから、体育の授業ではがれきを避ける、高いところからジャンプするなど、安全に避難できるスキルを身に着ける工夫を行っているという
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