フードロス・フードウェイスト対策の広がりとは?
日本では年間約646万トンの食品廃棄物が発生しており、その削減が急務となっている。食品廃棄物には、サプライチェーンでの廃棄(フードロス)と消費段階での廃棄(フードウェイスト)の2種類がある。
FAO(国際食糧農業機関)によれば、消費者の手元に届く前の生産や加工、流通における事業者間で発生する食料廃棄物を「フードロス」、小売業者や飲食店、消費者個人において生じる食料廃棄物全般を「フードウェイスト」と定義している。つまり、フードロスとフードウェイストはフードサプライチェーン上での違いがある。また、農林水産省は両者を合わせて「食品ロス」と呼び、FAOは“Food Loss and Waste”としている。
食料不足対応や自給率向上の観点でも課題が山積しており、AI予測による需要最適化、フードシェアリングアプリ、未利用食材の加工など、様々な革新的サービスが登場している。
予想される未来社会の変化
- 人口の増大、気候の不安定化を背景に、食糧不安の増加と価格高騰が予想される
- エシカルな消費を求める意識も高まり、フードロスの削減が社会で広く議論される
- デジタル技術の高まりによりサプライチェーン、需給状況の可視化がより進展する
- フードロスの軽減が事業者視点、消費者視点両面で推進され、関連サービスが増加する
トレンド
AI-Order Foresight
ライフコーポレーションは、生鮮部門にBIPROGYのAI需要予測による自動発注システム「AI-Order Foresight」を導入し、全304店舗で稼働開始。
需要を予測して発注数を決める作業は、難易度が高く、業務負荷も大きい。その自動化により、従業員の経験やスキルに依存しない店舗運営や機会ロス・廃棄ロスの削減を実現する。
導入したAI-Order Foresightは、販売実績・気象情報・特売企画情報などの各種データを基に、小売店舗における日々の商品発注数を自動算出するサービスである。AIは自動チューニング機能を備えており、メンテナンスフリーで運用できる。
SKINFOOD ポテト マデカソ スージングパッド
IKホールディングスの100%子会社、フードコスメは、素肌が喜ぶ食べ物から生まれたトータルコスメブランド『SKINFOOD(スキンフード)』より、見た目が悪く規格外として廃棄対象になっていたポテトを化粧品原料として“アップサイクル”し商品化した「ポテト マデカソ スージングパッド」を公式オンラインショップ等で発売開始。
同商品は、累計販売個数400万個を超え、韓国でもベストセラーとなった人気商品「キャロットカロテンカーミングウォーターパッド(通称「キャロットパッド」)の姉妹品で、日本での発売前から問い合わせが相次いでいる。
実はポテト は「畑のリンゴ」と呼ばれており、ビタミンCやシリカ、カリウムなど、肌にも身体にも嬉しい成分を含んでいる。 また、ポテトの皮にはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれている。 (*原料的特性に限る)さらに、韓国コスメの代表的な成分として知られているCICA(ツボクサ)や、CICAに含まれるマデカッソシドを配合。紫外線や暑さによる夏枯れダメージに負けない、健やかでみずみずしい肌へと導く。
アップサイクリング原料として使用することにより、食品ロスや廃棄物の減少等、持続可能な社会の実現を目指す。
飲食店を活用した新たな仕組作りの実証実験
favyとドールは、生産・流通・販売のプロセス上で発生している食品ロスを削減すべく、日本全国の飲食店で“Mottainaiフルーツ”を活用するための仕組み作りの実証実験プロジェクトを協同で実施。
キズやサイズなど“規格外”という理由から産地で廃棄されたり、賞味期限が十分あるにもかかわらず、出荷期限切れや販売期限切れ、外装の破損等で小売などには流通できなくなった商品を販売・利用できる飲食店に再流通するスキームを作ることで、流通プロセスで発生する食品ロスを軽減する取り組み。“Mottainaiフルーツ”を飲食店で活用する仕組み作りを目指す。通常時は飲食店に規格品を安定的に供給しつつ、“Mottainaiフルーツ”が発生した際には優先的に活用するという、規格品・Mottainaiフルーツをミックスした仕入れネットワークを想定している。
飲食店への再流通へのスキーム作りのために、favy・ドールが飲食店向けのメニューを開発し、レシピや提供ノウハウ、集客支援などもセットにて提供する仕組み作りも行う。
・日本では、年間646万トンのフードロスが発生。その量は世界の食糧援助量の1.6倍で、1人1日茶碗1杯分にのぼる
・世界人口は2050年、2000年の1.6倍の98億人になると予想され、食料の安定供給をどのように実現していくかが課題となっている。
また、国内の食料自給率はカロリーベースで約40%にとどまり、食料自給率の向上のためにも、フードロスを減らしていくことが求められる。
・フードロスの削減には、これまで捨てられていた食品を消費することや、食品のリサイクルを実施することが重要である
・フードロスの削減に貢献するサービスが数多く登場していくことが予測される
・コークッキング社の「TABETE」は、飲食店で廃棄が近づいている食品をTABETEに掲載することで、それを食べたいユーザーとマッチングできるフードシェアリングサービス。2020年2月までに、約10トンの食品が廃棄の危機を免れたという
・ECサイトのクラダシは、新型コロナ感染拡大により生じた飲食店やホテルのフードロスを改善するため、賞味期限切れが近づく食品を中心に扱うサイトを開設。
基本的には在庫を持たず、商品が売れればメーカーから宅配業者を通じ、購入者の元へ届けられる仕組み。通常価格の65%オフ前後で販売しているものが多く、販売価格の3~5%は社会福祉や環境保護などの支援団体へ寄付される。
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