ベーシックインカム制度とは?
ベーシックインカム制度は、AIやロボットによる労働代替が進む中で、新たな社会保障制度として注目を集めている。全ての市民に定期的かつ無条件で一定額を給付する制度によって、貧困対策や経済的不安の軽減、創造的活動の促進などを目指すものである。「ユニバーサル・クレジット」のような包括的な制度も検討されている。ベーシックインカム制度の導入に伴い、給付額を前提としたパッケージ型の生活サービスが登場すると予想される。
予想される未来社会の変化
- ベーシックインカムのみで生活する人と、労働する人の所得格差が拡大する
- 低所得層向けに特化したヘルスケア、エンターテイメント、食品、住宅等のサービスや産業が成長する
トレンド
継続支援型のクラウドファンディング・プラットフォーム『BASIC by MOTION GALLERY』
MotionGalleryはクリエイティブな活動の基盤をつくる継続支援型のクラウドファンディング・プラットフォーム「BASIC by MOTION GALLERY」を運営している。
文化施設・クリエイターは、資金を毎月継続的に受け取ることで 日々の活動の基盤を充実させることができ、メンバーは、クリエィティブな活動のプロセスやコミュニティに参加することができる。
BASICでは「民間によるベーシック・インカム」を目指しており、この仕組みを通して、文化的なエコシステムを基盤から支え、クリエイティブでサスティナブルな社会づくりにさらにコミットしていく。
WorldCoin
暗号資産のWorldCoin(WLD)は、OpenAIのSam Altman氏と量子情報科学及び機械学習の専門家であるAlex Blania氏によって2020年に共同設立され、2023年7月24日にはバイナンスやOKXといった大手海外取引所に一斉上場された。
Worldcoinは、国や背景に関わらず誰もがグローバル経済にアクセスできることを目指し、地球上のすべての人が受け入れられる経済の未来を実現することを掲げている。
具体的には、WorldCoinはWorldcoin Grantsを通じて、ユニバーサルベーシックインカム(UBI)のグローバルな分配システムの実現を目指している。Worldcoin Grantsは、Worldcoinトークンを毎月受け取る仕組みであり、World IDを用いて人間であることを証明することで、そのトークンを受け取ることができる。WLDやWorld IDを取得するためには、スマートフォンにWorld Appをインストールし、「Orb」という生体認証デバイスの設置場所に出向いて顔や目、虹彩などを記録する必要がある。
このOrbは、記録した画像を数値列の「虹彩コード」に変換し、既に登録されている人物でないことを確認した後、World Appを通じてWLDを提供。なお、氏名などの個人情報の入力は不要。しかし、韓国、スペイン、ケニア、イギリスなどでは個人情報保護の観点からWorldcoinの登録が一時停止されるなどの問題が発生しており、日本でも一定数の登録者がいるため、今後議論の対象となる可能性がある。
ドイツでの無条件ベーシック・インカム(UBI)の実証実験
ドイツでは、2021年の春から3年間にわたり無条件ベーシック・インカム(UBI)の実証実験が行われた。この施策は、国民全員に生活に必要な現金を無条件に支給するものであり、コロナ禍を経てその必要性が議論されるようになった。UBIの社会実験は、危機の時代における新たな答えを見つけるために企画されたものであり、実際にどのように機能するかを明らかにする長期研究として位置づけられている。
2020年8月中旬に開始された実証実験の第1フェーズでは、1,500人の被験者が選ばれ、そのうち120人は無作為に選ばれ、月額1,200ユーロ(約15万円)が無条件に支給されることになった。残りの1,380人は比較グループとして、ベーシック・インカムの影響を観察する役割を果たす。参加者はUBIに加えて自由に収入を得ることができ、18歳以上のドイツの永住者なら誰でも参加を申し込むことが可能であった。
申請者はオンライン・アンケートを通じて生活状況に関する情報を提供し、100万人が参加を希望した結果、抽選で120人が選ばれた。2020年11月10日までに登録された人から参加者が選出され、データ品質を向上させるために多数の申請者が必要とされた。ベーシック・インカムは2021年春から支給され、研究期間中に参加者は雇用、時間の使い方、消費者行動、価値観、健康に関する6つのオンライン・アンケートに回答することが求められた。
この実験は、UBIを支持する「基礎所得協会」とドイツ経済研究所が共同で実施し、UBIが社会を強靭で持続可能にする可能性を探ることを目的としている。120人に3年間、毎月1,200ユーロを支給するためには約520万ユーロ(約6億5千万円)の予算が必要であり、この資金は14万人以上の民間寄付者から集められた。
・AIが 10〜20年後 、爆発的発展を遂げ、日本においても単純労働を中心に49%の仕事が代替されるという報告がある
・日本でベーシックインカムを導入する場合、財源はベーシックインカム導入で廃止となる国民年金・基礎年金・生活保護の生活扶助費、雇用保険の失業保険費、厚生年金が充当されると考えられる。
また、消費税は15%程度への引き上げが必要とする意見もある
・スイスでは国民投票でベーシックインカム導入の是非が問われ、反対多数で否決。しかし、チューリヒ近郊にあるライナウ村(人口1300人)で2019年1月から12月末までの1年間、ベーシックインカム導入の社会実験が行われるという
・2017年1月に始められたフィンランドの試験運用では、失職中の2000人に毎月一律560ユーロ(約7万4300円)が支払われた。しかしフィンランド政府は運用を延長しないい方針を発表。
得られた効果については2019年に発表している
(結果としてベーシックインカムが雇用へもたらす影響は小さかったものの、健康や幸福面ではプラスの影響が見られたという)
・経済協力開発機構(OECD)の経済開発検討委員会(EDRC)は、2018年2月イギリスが導入したような複数の福祉給付を一本化する「ユニバーサル・クレジット」制度の方が、ベーシック・インカムよりも有効だとする調査報告書を発表。
ユニバーサル・クレジット制度は就労を促進するよう設計されている
・ベーシックインカム支給を前提に、パッケージ料金で国民生活提案をするサービスが生まれると考えられる
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