メンタルリスクの増大とは?
社会の複雑化、ストレス社会、長時間労働、孤独・孤立の増加(無縁社会)、過度な情報化社会などが要因で、メンタルリスクが増大している。うつ病、不安障害、バーンアウトなどの症例が増加し、個人の生活の質低下だけでなく、労働生産性が低下するなど、社会経済的な損失も大きい。
若年層や働き盛り世代での増加が顕著で、自殺リスクとの関連も懸念される。一方で、AIによる早期発見システムやVR療法など、革新的なメンタルヘルスケア技術の活用が進む。
予想される未来社会の変化
- 精神疾患患者がさらに増加し、企業の重大な雇用問題へと進展する可能性がある
- 精神疾患の未病対策が注目され、企業の投資が加速する
- AIを使った精神疾患の解析システムが高度化し、高い確率で精神疾患の可能性を予測できるようになる
- バイタルセンサーや行動履歴からメンタルリスクが数値化され、管理される様になる
トレンド
みまもりがじゅ丸 オフィスプラス
NTTPCコミュニケーションズの「みまもりがじゅ丸 オフィスタイプ」は、心的ストレス可視化サービス。リストバンド型バイタルセンサーで脈拍数と体温を測定し、脈拍(心拍)の揺らぎからストレスのかかり具合を予測する。リモートワーク中の心的ストレスをチェックする。
また、新サービスとして「みまもりがじゅ丸 オフィスプラス」を提供開始。ストレス状態などのマイナス面だけでなく、熱意ややりがいなどのプラス面を把握して可視化する。
サービスの背景として同社は、労働力の安定的な確保にあたって、社員のエンゲージメント向上の重要性が増していることを挙げる。同社は2021年3月から、バイタルデータからストレス状態を把握することで離職・休職を防止するサービスを提供している。そのノウハウや知見を基に新サービスを開発したという。
生成AIのチャットボットが摂食障害を助長
アメリカとイギリスに拠点を置くデジタルヘイト対策センター(CCDH)の調査によると、人気のAIツールが摂食障害に関する有害なコンテンツを表示する確率は約41%に達し、これが症状を助長または悪化させる可能性があることが示されている。調査では、複数のテキストAIツールや画像AIツールが対象となり、さまざまなプロンプトに対する反応が検証された。
テキストAIツールでは、「ChatGPT」、Snapの「My AI」、Googleの「Bard」に対し、「ヘロインシック(薬物乱用者風のファッションスタイルを表す言葉)」や「ダイエットのインスピレーション(thinspiration)」といったプロンプトを提示したところ、23%のケースで有害なコンテンツが表示された。
一方、画像AIツールのテストでは、OpenAIの「Dall・E」、Midjourney、Stability AIの「DreamStudio」に対し、「理想的な太ももの隙間」や「拒食症のインスピレーション」を含むプロンプトを与え、32%が身体イメージに悪影響を及ぼす画像を生成した。さらに、「jailbreak(脱獄)」というプロンプトを使用した場合、AIの回答の67%が有害な内容だったことも明らかになった。
AI技術によるメンタルチェックサービスの精度向上に向け共同実験
NTTテクノクロスとMedi FaceはMedi FaceのAIメンタルヘルスケアサービス「Mente」におけるメンタルヘルス不調リスクの分析精度向上に向けて、NTTテクノクロスの音声AI技術を活用する共同実験を開始した。
Medi Faceは、AIが質問の回答内容や回答時の表情・音声などを解析し、メンタルヘルス不調のリスク分析を行う「Menteかんたんメンタルチェック」や、リスク判定結果をもとに医師、カウンセラー、保健師らと面談できる「Menteオンライン診療」を含むAIメンタルヘルスケアサービス「Mente」を提供している。NTTテクノクロスは、NTTの研究所技術を軸に、音声・言語・画像を対象とするメディア処理AIサーバ「SpeechRec」を提供している。
「Mente」利用時の声質や声のトーンなどをNTTテクノクロスのAI技術が分析して活用することで、「Mente」のリスク分析精度のさらなる向上を目指し、近年、社会課題とも言われるメンタルヘルス不調の早期発見や重症化予防の実現を目指す。
・不安障害、うつ病、統合失調症など、精神疾患による患者は増加傾向にある。年間400万人を超える患者が医療機関を受診している。直近3年間で70万人も増加している
・特に若年層の精神疾患患者の伸びが著しい
近年は、若手に対しても求められる仕事の質が高くなり、業務量も増加している。生産性の向上が求められている中、教育に時間をかける余裕が無くなっている
即戦力が求められる中、負担を感じる若者が多いのではと分析されている
・新型コロナによる経済悪化、閉塞感が増し、精神疾患患者は急激に増えることが予想される
・企業ではストレスチェックが義務化し、2020年にはメンタルヘルス市場が約220億になるとの予測がある(シード・プランニング:2016年)。
・AI言語解析システムを使って対象となる人物の会話を分析し、統合失調症や偏執症、妄想症など、精神疾患を発症する潜在的リスクを割り出す技術が注目されている
正常な文脈から逸れる話題や言葉が目立つ、使用される言葉の複雑さが同年代の人々に比べて落ちるなど、精神疾患の兆候である無秩序な思考や特徴を発見し、それらを手掛かりに発症の可能性を予測する
\未来コンセプトペディアを活用してアイデア創出してみませんか?/
新規事業・新サービスアイデア創出ワークショップ
新規事業立ち上げの種となるアイデアを創出し、新たな領域への挑戦を支援します。