全国的な空き家の増加とは?
日本の総住宅数に占める空き家の割合は約14%で、毎年過去最多を更新している(30年で2倍に拡大)。特に地方都市や農村部で顕著だが、都市部でも無視できない規模となっている(東京都で820万戸)。
空き家の放置は様々な問題を引き起こすものの、法的・規制上の障壁が多く自治体での対応が難しい。一方で、創意工夫によっては地域のアセットとして活用できる可能性も秘めており、住居や観光・商業施設や地域拠点などとして再利用するケースも出てきている。
予想される未来社会の変化
- 民泊やシェアリングエコノミーが進展することにより、中古住宅の価値が再確認される
- 低価格な住宅として空き家の需要が増える可能性がある
- 住居等の所有に代わる新たな権利保持・利用概念が生まれる
- マルチハビテーションやオフィスの地方移転の拡大により、更地や古家が活用される可能性がある
- 空き家の管理・解体に関するビジネスニーズの急増
トレンド
国内の空き家数が過去最多
総務省の住宅/土地統計調査の速報集計によると、2023年10月1日時点の国内の空き家数は900万戸で、調査開始以来最多となった。1993年時点の448万戸から、30年間で倍増した。空き家率も過去最高の13.8%に達した。
空き家数のうち、賃貸用/売却用と別荘などの二次的住宅を除く空き家は385万戸で、前回調査から37万戸増加し、総住宅数に占める割合は5.9%になった。
また、国内の総住宅数は6502万戸で、前回調査から261万戸増加し、過去最多だった。都道府県別では、東京都が820万戸と最も多く、大阪府493万戸、神奈川県477万戸が続いた。前回調査からの総住宅数の増加率は、沖縄県が7.2%と最も高く、次いで東京都が6.9%、神奈川県と滋賀県が5.9%だった。
空き家応援団
家いちばは「空き家応援団」をウェブサイト上で正式にリリースし、全国で空き家問題に取り組む有志を組織化。この取り組みは、家いちばのプラットフォームを通じて誰もが社会的課題に気軽に貢献できる仕組み。現在、利用者数は4万人を超え、月間600万PVを記録する人気サイトとなっている。
「空き家応援団」として登録すると、団員は専用の管理画面(マイページ)を通じて空き家所有者に「家いちば」を直接紹介したり、チラシやポスターを用いた掲載促進活動を行うことが可能。紹介した空き家所有者が物件を掲載し、成約に至った場合、応援団には「お祝い金」として1万円分のギフト券が付与される。
応援団は、マイページから入手したチラシやポスターを印刷し配布・掲示することで、地域の空き家所有者に対して物件掲載の促進を行う。印刷物には各応援団固有のQRコードが記載されており、反響状況をリアルタイムで集計し、各応援団が状況を把握できるようになっている。
さらに、メールやブログ、SNSを利用して固有のURLを添付することで紹介や誘導も可能。
また、応援団専用のマイページやSNSグループページ「空き家応援団コミュニティ」を通じて、全国の空き家課題に取り組む仲間との交流や情報交換が行える。今後は定期的なイベントや研究会、表彰式などの開催も予定されている。
沿線まるごとホテル
さとゆめとJR東日本の共同出資会社「沿線まるごと株式会社」は、沿線全体をホテルに見立てる地域活性化プロジェクト「沿線まるごとホテル」の中核となる宿泊施設のブランド名を 「Satologue 」とし、そのブランド名のもと、2024年3月にレストランを開業、2024年度中に客室を開業した。
「沿線まるごとホテル」は、JR東日本の駅舎や鉄道施設などを「ホテルのフロント」として活用、沿線集落の古民家(空き家)を「ホテルの客室」に改修、さらには地域住民が「ホテルのキャスト」となって接客・運営を行うことで、「沿線」を「まるごと」楽しめる「ホテル」の世界観を構築し、新たな滞在型観光、マイクロツーリズムの創出を図るもの。
この沿線まるごとホテルプロジェクトの第一弾として、JR東日本・青梅線沿線にて開業。まず、青梅線の「鳩ノ巣駅」近隣エリアに、2024年3月にレストラン棟(客席22席、ラウンジ、焚火あり)とサウナ棟(利用人数6名程度)を開業、2024年度中に客室棟(ツインルーム4室)を開業する。また、2025年には、新たな客室棟(一棟貸し1室、収容人数10名程度)を開業予定。 その後、JR 青梅線沿線で順次地域拠点を改修・開業していき、沿線が一つのホテルとなる世界観を構築していく。
・2040年に日本の半数の自治体が消滅する可能性が示唆されるなど、日本の地方都市では人口減少が加速している。国交省の試算では、日本の6割の地域が無人化し、東京など都市部へ人口が集中する
・特に地方や郊外で空き家が増加し、不動産価格が暴落する可能性が高い。2030年には30%、2050年には空き家率が50%に迫る可能性がある
・日本の不動産取引の8割以上が新築で、中古は10%半ばにとどまっている
欧米諸国では7~9割を中古が占めるのと対照的で、国内における新築信仰が強いことがわかる(地震が多い特殊事情もある)現に中古物件よりも新規物件は価格が高く値段が付くため、新規物件の供給が多い
・日本では土地に家屋が立っていると、固定資産税が6分の1になるルールがあるため、更地にできない現状がある。また、解体には百万単位のコストがかかり、持ち主の経済的な負担も大きい
・空き家が原因による治安の悪化が懸念される。不審者が居城にする、放火の対象になる、景観の悪化によるさらなる治安の悪化など、近隣住民へと及ぼす影響は大きい
・政府も対策に乗り出している。空き家の買取や再販の税金を下げ、空き家改修費を補助する自治体も出てきている
・隣接地に危険が及ぶなど、自治体が定める特定の空き家に関しては、減免制度を廃止。また、所有者が自治体の勧告を無視する場合、取り壊し費用を所有者に請求できるようになった(コロナ騒動で需要急伸、空き家が注目を集めるワケ/Sankeibiz)
・新型コロナウイルスの流行を機に、希望者が増えている地方移住やワーケーションの受け皿として、空き家を活用しようとしている自治体もある
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