物を持たない生活とは?
物を持たない生活とは、ミニマリズムやシンプルライフといった、物を減らしてシンプルな暮らしを目指すライフタイルを指す。近年では、環境問題への意識が高まり、持続可能なライフスタイルを求める人々が増えているため、物を長く使うことを意識する人が増えており、シンプルで持続可能な暮らしを目指す人が増えている。
ミニマリスト(必要最小限のものしか持たない、シンプルで自由な暮らしを追求する人)だけでなく、ミニマリストではない意識を持った人たちも物を持たない価値観を持っている。
非ミニマリストの約7割がミニマリストのライフスタイルに好感を抱いており、4割以上が、物を少なくすることや、物を厳選することを大切にしている調査結果が報告されている。
単に物を減らすだけでなく、物を減らすことで、心身の状態をクリーンに保ち、日々の生活に余裕を持たせることが目的であり、多忙な生活を極める現代人に支持される生き方のひとつとなっている。
予想される未来社会の変化
- 消費が情報や体験中心となり、所有にこだわる傾向が小さくなる
- モノを所有することに関する負担感を忌避する傾向が更に強まる
- シェアリングエコノミーの発展により、物を極力購入しない生活が容易に実現できるようになる
- 高品質で歴史のあるものなどがより高い価値を持つようになる
- 非デジタル領域のサブスクリプションモデルが拡大する
トレンド
ミニマリストでない人も4割以上がモノを「減らす」「厳選する」を重視
2021年の株式会社ネイチャーズウェイの調査によると、モノを選ぶ際の意識の変化が起きていることが報告されている。
ミニマリスト実践者だけでなく、自分自身は非ミニマリストだと思っている人も約7割がミニマリストのライフスタイルに好感を抱いており、さらにミニマリストに準ずる生活をしている人が4割近くいる。単純なモノを少なくすることだけではなく、自分が納得した物を長く使うという、物を厳選することことへの意識が高いことがわかった。
シェアリングエコノミーの市場規模は約2.6兆円
モノを持たない価値観を支えているのが、各種のシェアリングサービスの普及である。一般社団法人シェアリングエコノミー協会は、シェアリングサービスの市場調査を実施し、日本のシェアリングエコノミーの市場規模、2022年度は2兆6,158億円、2032年度には最大15兆1,165億円に拡大する可能性があることを発表した。
コト消費・トキ消費の拡大
モノの消費が減る一方で、「コト消費」や「トキ消費」は拡大していくと考えられる。
コト消費を捉えた商品・サービスの事例としては、石川県の旅館「加賀屋」の例がある。加賀屋では日本人・外国人を問わず「おもてなし」を提供することを重視しており、webサイトは6言語に対応しているほか、Facebookでは日・英・中の三言語で情報発信を行うことで、web経由の予約客を増やしている。予約客は雪駄や下駄で館内を歩けるサービスや花見・雪見といった四季のイベントを体験できる。
近年、音楽フェスやハロウィーンの集まりなど、「その日・その場所・その時間」でしか体験できないような消費行動「トキ消費」も注目される。SNSの発達により、多くの人が体験したことを拡散・共有することが当たり前になった結果、SNS越しの疑似体験では味わえない、実際に参加するという事実に意味があると感じられる消費が価値を高めている。
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