サイバー戦争・犯罪の増加とは?
サイバー戦争・犯罪は、デジタル化社会において、より一層深刻な脅威となっている。国家間のサイバー攻撃や情報操作、組織犯罪によるランサムウェア攻撃や個人情報窃取が急増している。これらは重要インフラの機能不全、経済損失、プライバシー侵害など広範な影響を及ぼす。技術の進化により攻撃手法は高度化し、防御側でもブロックチェーン技術や分散型システム、量子暗号などのテクノロジー活用が進む。
予想される未来社会の変化
- サイバー攻撃・防御を行う体制や技術整備が安全保障上の要件となり、各国家で多くの予算が投下される
- インターネットに代わる国家や複数国家が共有する新たなネットワークが考案される
- デジタル通貨や暗号資産を狙う新種の金融犯罪が急増し、世界経済に大きな影響を与える
トレンド
サイバーリスク保険
東京海上日動ではサイバーリスク保険を提供している。サイバーリスク保険は、損害賠償責任に関する補償、サイバーセキュリティ事故対応費用に関する補償、コンピュータシステム中断に関する補償(オプション)など、事業活動を取り巻くサイバーリスクに起因して発生した各種損害を1つの保険で包括的に補償する。
また、サイバー攻撃の発見時の各種対応費用だけでなく、サイバー攻撃の“おそれ”が発見された時の外部機関への調査依頼費用や、セキュリティ事故によりコンピュータシステムが損傷した場合の修理費用、事故が収束した後の再発防止費用等についても補償対象となる。
そのほか、海外でなされた損害賠償請求についても補償され、オプションをつけることで、コンピュータシステムの中断による自社の利益損失・営業継続費用についての補償や、日本国内における業務に起因して、サイバー攻撃により日本国内で発生した、他人の身体の障害または他人の財物の損壊・紛失・盗取・詐取による賠償損害についても補償対象となる。
そして、保険による補償とは別に、「サイバーリスク総合支援サービス」が受けられる。
原子力発電所におけるテロ対策
原子力発電所では、故意の航空機衝突などのテロに備え、大規模な損壊が発生しても原子炉を安全に停止するための対策が講じられている。
具体的には、原子炉格納容器への注水機能や電源設備、通信設備に加え、可搬型のバックアップ設備が整備されている。さらに、緊急時の制御を行うための特定重大事故等対処施設が設置されており、原子力発電所内の安全性が高められている。また、屋外の重要設備には強固な障壁が設けられ、フェンスや侵入検知器が設置され、常時監視が二人以上で行われる体制が取られている。作業員の身元確認制度も実施されている。
福島第一原子力発電所の事故を受けて、非常用電源や冷却設備は離れた場所に分散配置されており、テロによる安全設備の同時破壊を防ぐ工夫がなされている。警察は、銃器や防弾仕様の警備車を用意した部隊によって、原子力施設を24時間体制で警戒している。万一テロが発生した場合、特殊部隊が迅速に投入される体制が整っている。また、海上保安庁もアメリカでの同時多発テロ以降、全国の原子力発電所を対象に巡視船の配備を進めている。
日常的な連携を強化し、テロ発生時に迅速に対応するため、警察、海上保安庁、自衛隊などの関係機関は共同訓練を行っている。
原子力施設を狙うテロの防止だけでなく、核物質を用いたテロ防止も国際的な課題となっている。2016年4月1日の「核セキュリティ・サミット」では、核物質がテロリストの手に渡らないように国際的な管理強化が決議され、テロリストに関する情報共有の行動計画が示された。同年4月8日には、152カ国が結んだ「核物質防護条約」が改正され、5月8日から発効した。この改正により、締約国には核物質や原子力関連施設をテロから防護する義務が課せられ、核物質を無断で運ぶことが禁止されることとなった。
コグニティブ・フォートトーク
コグニティブリサーチラボ(CRL)は、プライバシーとセキュリティを重視した次世代型SNSアプリ「コグニティブ・フォートトーク」を提供している。このアプリは最新の暗号化技術や多言語翻訳機能、AI技術を駆使し、安全で快適なコミュニケーションを実現している。また、社会貢献や直接民主主義の推進、実名主義に基づくジャーナリズムの支援、そして独自の経済モデル「半減期通貨」の導入を通じて、より良い社会の構築に寄与している。
特に注目すべきは「レスキューリンク」機能であり、災害やサイバーテロ、大規模停電などによる通信網の破壊から国民の生命を守るために無償提供が開始。分散型ネットワークを採用し、Wi-FiルータやBluetooth、端末間P2P-Wi-Fi、UWBなどを活用して、AIが自動的にメッシュネットワークを構築する。これにより、中央のネットワークが機能しない場合でも個別端末間の通信が可能となる。
本システムは、複数デバイスとの同時接続を可能にし、状況の変化に応じて生命を守るためのレジリエンスを提供。さらに、UWB技術を活用した高精度な位置測定により、ユーザー間の距離と方向が常に更新され、特に都市部における緊急事態で迅速な位置情報を提供する。
この技術は、倒壊した家屋に下敷きになった人の救助や負傷者の迅速な搬送を支援。また、高度な暗号化接続により、有事や対テロ時にも秘匿性を確保し、Wi-Fiルータを介さない完全なP2P暗号通信が実現される。
P2P通信は中央サーバを介さずに端末間で直接通信を行う方式であり、分散型の通信方式は自律的な動作を可能する。この考え方は、ブロックチェーン技術の基本的な発想とも共通する。
このシステムは危機的状況下での通信手段だけでなく、日常生活におけるコミュニケーションの選択肢を広げる技術でもある。特に、通信インフラが脆弱な地域や大規模イベントでの混雑緩和などに期待されており、災害や有事の脅威から国民を守るとともに、安全でつながりのある社会の実現を目指す。
世界のテロ事件の件数は減少するも、1件当たりの死亡者数は増加
Institute for Economic &Peace「Global Terrorism Index 2024」によると、2023年のグローバルのテロによる死者数は8,352人と22%増加し、2017年以来の最高水準に達した。一方、テロ事件の件数は22%減少して3,350件であり、1件当たりの死亡者数が増加していることがわかる。
テロの影響は特定の地域に集中しており、10か国でテロ関連死者総数の87%を占める。米国は西側民主主義国におけるテロ関連死者数の大部分を占めているが、事件数は15年ぶりの低水準となっている。
・安全保障では陸海空に続く戦場としてサイバー空間が挙げられているほど、重要性が増している
・ 特に米国、ロシア、中国間によるサイバー攻撃の争いは激しい
・世界におけるテロの発生件数、死者数は増加の一方で、収束の兆しが見られない
・テロが増加している要因として、インターネットの普及が考えられる。インターネットを通じて爆弾の作製方法を入手したり、同じ思想の仲間を集めることが容易になった
・2020年までに、サイバー攻撃による経済損失額は世界で8兆ドルにのぼる
・犯罪組織などが連携するエコシステムが成立しており、サイバー犯罪がビジネス化している
・現在のセキュリティ対策技術は脆弱、すでに破綻しているともいわれる。新しい対策技術が求められている
・日本では国際イベントが多く開催され、テロへの対策が求められている
・移民政策と若年層の高い失業率は、テロへのリスクともなりえるため、対策が求められる
・原子力発電所はテロの標的となるリスクが高い
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