宗教の多様化と変容とは?
宗教の多様化と変容は、グローバル化と個人主義の進展により加速している。伝統的な宗教の影響力が低下する一方、新しい信仰の形態が拡大。テクノロジーの発展により、BMI(Brain Machine Interface)を活用した集合意識体験による神秘主義など、新しい宗教が登場する可能性もある。これらの変化は、社会の価値観や倫理観に影響を与え、個人と宗教の関係性の変容につながると予想される。
予想される未来社会の変化
- 伝統的な宗教組織の影響力が低下し、個人の精神性を重視する新しい信仰形態が台頭する
- AIやテクノロジーと結びついた新興宗教が出現し、若年層を中心に支持を集める
- 異なる宗教・文化背景を持つ人々の共生が課題となり、多文化共生のための新たな社会システムが発展する
トレンド
AIアバター牧師
ドイツ南東部バイエルン州フュルトにある聖パウロ教会で生成系人工知能(AI)の「チャットGPT」で作成した説教を、ひげを生やした黒人男性の風貌をしたアバター(デジタル上の人物)の牧師が語る礼拝が行われ、300人以上が参加した。
礼拝は、ドイツで2年に1度開催されるキリスト教大会「キルヘンターク」の一環として実験的に行われたもの。ウィーン大学で神学などを教えるジョナス・シメレイン氏が考案したもので、説教や祈祷、賛美などで構成され、約40分間にわたって行われた。大きな関心を集め、礼拝の始まる1時間前から長蛇の列ができた。
参加者の中には、スマートフォンで礼拝の様子を熱心に撮影する人もいれば、「主の祈り」を大きな声で唱えることを拒み、批判的に見る人もいた。
シメレイン氏は、牧師などの宗教指導者をAIに置き換えることは本意ではないとし、むしろ日々の牧会を手助けするツールとしてAIを活用することを考えているとコメント。文学に説教のインスピレーションを求める牧師がいることを挙げ、AIに説教のアイデアを求めてもよいのではないかと語った。
仏教対話AIの多様化
京都大学とテラバースムは米OpneAIのLLM「GPT-4」を活用し、「親鸞ボット」「世親ボット」を開発した。従来からの「ブッダボット」とあわせ、「仏教対話AIの多様化に成功した」としている。
浄土真宗の開祖・親鸞(12~13世紀)の聖典「正信偈」と、大乗仏教の「唯識」を大成し、アジア各地で教えを広めた菩薩の世親(4世紀)の聖典「倶舎論」をそれぞれ学習させたチャットボット。
AR技術を活用し、現実を映した背景に親鸞や世親の仏像画像を重ねるなどして視覚・聴覚を用いたコミュニケーションも可能にした。
今後さらに、哲人や聖者たちの対話AIを順次開発していく計画であり、伝統知とテクノロジーを融合した『伝統知テック』開発をさらに加速し、より豊かなデジタル文化を提供することを目指している。
鳥飼八幡宮メタバース神社
EY Japanは、鳥飼八幡宮(福岡県福岡市中央区)のメタバース神社が完成し公開したことを発表した。
鳥飼八幡宮は、福岡の地におよそ1,800年構え続ける神社。地域の人々に長く愛されてきた神社を今の時代に受け入れられるよう最適化の検討をする中、EYと共に新たな取り組みとしてメタバース神社を構築した。
鳥飼八幡宮メタバース神社は、実在の鳥飼八幡宮の拝殿や境内を実際に近い形でメタバース空間上に再現し、参拝や境内の散策など神社で行える体験ができる。
また、メタバースならではの仕掛けも用意し、ユーザーに楽しみながら体験してもらう工夫をちりばめている。参拝やおみくじなどの基本的な体験のほかに、境内にちりばめられた豆知識カードを集めながら、神社や、歴史、文化などの知識を得たり、福男福女レースや巫女衣装への着せ替えなど、ゲーム性を備えたユーザーが楽しめる仕掛けが用意されている。
・仏教を除き、主要な世界宗教の信者は増加傾向にある。特にイスラム教徒が急増しており、2050年にはキリスト教に並び、2100年には最大勢力となると予測されている。
増加の要因として、北アメリカやヨーロッパの地域における、イスラム教徒の移民の増加。また、イスラム教徒の女性は他教徒よりも平均出産数が多い傾向にあるためだ
・欧州ではキリスト教は緩やかに減少傾向。教会が閉鎖の危機にさらされ、商業的な再利用が進んでいる
・仏教は信者の増加が見込まれない唯一の宗教とされ、仏教徒の多い日本、中国、タイなどで少子高齢化が進むことが理由として考えられている
・個人が教祖となる新興宗教が乱立している
・テクノロジーをベースとする宗教が登場している。
元Googleのエンジニアが、AIを神とする宗教団体「Way of the Future」を創立。現在は解散しているが、Godheadの理解と崇拝を通して、社会をより良くすることに貢献することをミッションとしていた
・テクノロジーの進化により、これまで不可解だった自然現象が説明できるようになった。古来、宗教がそれらの役割を担ってきたことを考えれば、AIが畏敬の対象として崇拝の対象になることは、不自然ではないという考えもある
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