b-07 : 新興国経済成長によるパワーバランスの変化

新興国経済成長によるパワーバランスの変化とは?

新興国経済成長によるパワーバランスの変化は、世界の政治経済構造を大きく変容させつつある。近年、中国、インドを筆頭とする新興国の急速な経済発展により、従来の先進国主導の国際秩序が揺らいでおり、これらの国々は経済力を背景に国際機関での発言力を強め、周辺地域への影響力を増している。多極化する世界では新たな協力の枠組みや対立構造が生まれ、グローバルガバナンスの再構築と、既存の国際秩序の見直しが今後の焦点となるだろう。

予想される未来社会の変化

  1. 産業革命で力を付けた国々が社会の高齢化などを主要因にその影響力を低下させる
  2. 新興国も従来の成長モデルが通用せず、新たな国際問題を生む可能性がある
  3. 貿易等の国家間の相互の影響が大きく、国家の独立性を超えた国際協調・調整の必要性が増す

トレンド

新興国・途上国に特化した情報提供サービス「KiAI」

出典:PR TIMES『生成AIスタートアップDEVELOPTONIA、プレシード調達を完了し、新興国・途上国に特化した情報提供サービス「KiAI」提供開始【茨城大発ベンチャー】』

DEVELOPTONIAは生成AIを活用した途上国・新興国のビジネス情報収集サービス「KiAI」の開発および提供を開始した。新興国・途上国のニュースヘッドラインをタイムリーに生成・提供し、さらにAIがビジネス分析レポートとしてまとめる。

企業は、途上国・新興国の未開拓市場や成長市場への進出を画策するものの、情報の入手困難さが経営判断の大きな障壁となり、ビジネスチャンスを逃してしまうことがある。同社はAI技術を活用して、途上国・新興国でビジネスを展開しようとする企業のこれらの課題を解決する。情報取得の効率化を図り、潜在的なビジネスチャンスの発見が可能になる。今後も、ユーザーのニーズに応じた新たなサービスの開発と拡大に努め、途上国・新興国での成功へと導く手助けをする。

また、2023年11月から茨城大学の新納浩幸教授とともに共同研究を実施。新納教授は自然言語処理、機械学習の専門家であり、KiAIで使用するAIについて技術的なサポートを行っている。2024年3月末には同社は「茨大発ベンチャー」としても認定されている。

新興7か国「E7」台頭

出典:産経新聞『新興7カ国「E7」台頭 2030年G7超え』

新興国が経済力の伸長を背景に、国際社会で存在感を高めている。先進7カ国(G7)と比較する形で提唱された新興7か国を指す「E7」(中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア、メキシコ、トルコ)は、世界経済に占める国内総生産(GDP)のシェアが2030年にはG7を逆転するとの推計もある。

E7は大手コンサル「PwC」が提唱。PwCの過去の推計によると、E7のGDPは2030年までにG7を逆転した後、2050年には1.5倍に達する。なかでもインドは勢いがあり、労働力人口は当面増加が予想される。

G7は日米欧の経済力を背景に国際政治で影響力を持ってきた。E7やグローバルサウス(インドやブラジル、タイ、南アフリカのような、南半球に位置するアジアやアフリカ、中南米地域の新興国・途上国の総称)が経済力を高めれば、相対的にG7の存在感が低下しかねないという懸念があり、技術利用や環境問題など新興国の関心が高い分野のルールや制度構築で、協調の幅を広げていくべきだという見方がある。

グローバルサウス

出典:ビジネス+IT「グローバルサウスとは何かをわかりやすく解説、注目集める3つの理由と深刻な社会問題」

近年、アジア・アフリカ・中南米に位置する国々は「グローバルサウス(Global South)」と呼ばれ、国際社会で重要な存在となっている。この用語は、インド、サウジアラビア、インドネシア、イランなどの新興国や発展途上国を指し、名称の由来は多くの国々が南半球に位置していることにある。ただし、中国はグローバルサウスに含まれないとされる見方が一般的。

グローバルサウスが注目されている理由は二つある。第一に、経済成長により国際的な影響力が増していること、第二に、ウクライナ戦争などの事例において西側諸国と必ずしも同じ立場を取らず、自国の利益を考慮した外交を展開している点である。

三菱総合研究所の試算では、グローバルサウスの国々は2050年までに米国や中国を超える経済規模に成長すると見込まれている。特にインドは、2026年には日本を、2027年にはドイツを抜き、世界第3位の経済大国になるとIMFは予測している。

また、2050年までにグローバルサウスが全人口の2/3を占めるとされ、アフリカの人口はさらに急増する見込み。これにより、グローバルサウスの人口比率は一層増加すると考えられている。

ウクライナ戦争や米中対立が進む中、グローバルサウスの多くは中立の立場を表明しており、英紙エコノミストの調査によると、彼らは西側寄りではなく、中立またはロシア寄りの立場を取っていることが示されている。

さらに、グローバルサウスは貧困や環境問題などの深刻な課題を抱えており、経済成長と社会問題の解決のためには、先進国との連携強化が重要となる。

これらの要素が相まって、グローバルサウスの役割と影響力は今後ますます高まると考えられる。


・新興国とは、今後成長が見込まれる国を指す。アジア、アフリカ、南米が今後経済力をつけていくと予測されている

・2030年にGDPで中国が米国を抜き1位に、インドが日本を抜き3位になると予測されている。
2050年には中国、インド、米国、インドネシア、ブラジル、メキシコの順で日本は7位と予測されている(様々な予想が存在するため、一例)

・新興国は、その人口ボリュームとボーナスから圧倒的な購買力を持ち、市場で大きな力を持つ

・長年にわたり市場をリードしてきた先進国は、高齢化社会と労働力の縮小により、成長速度が鈍化。
EUにおいては世界のGDPに占める割合の、10%まで落ち込むと予測される

・中国、インドでは富の配分が進まないため、貧富の差が深刻になると予測される

・中国をはじめ多くの国家で社会の高齢化が急激に進み、その国力の維持が難しくなりそれにより多くの国内外の問題を生み出す

・パンデミックによる国家間のパワーバランスの変化、国際協調が急激に進展する可能性がある

 

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