b-02 : プロテインクライシス(昆虫食・人工培養肉などの利用拡大)

プロテインクライシスとは?

プロテインクライシスとは、人口増加と食生活の変化による動物性タンパク質需要の急増に対し、従来型の畜産では持続可能な供給が困難になる問題のことを指す。

この課題に対応するため、環境負荷が低く、効率的なタンパク質生産が可能な昆虫食や人工培養肉などの代替タンパク源の開発と普及が進んでいる。

昆虫食は国連食糧農業機関(FAO)が推奨しており、培養肉は技術革新によりコストが低下しつつあり、商業化に向けた取り組みが加速している。

予想される未来社会の変化

  1. 砂漠化と作付け面積の減少により、穀物が不足する
  2. 気候や気象が不安定化し、安定した食料調達が困難になる
  3. 従来の食物の不足により、昆虫やフェイクミートを栄養源として摂取する、新しい食のライフスタイルが受け入れられる

トレンド

BASE PASTA ソース焼きそば

完全栄養の主食を開発・販売するベースフードは1食に必要な33種類の栄養素がすべてとれる完全栄養食「BASE FOOD」から、1食(1個)で1日に必要な栄養素の1/3を摂ることができる、完全栄養の麺「BASE PASTA ソース焼きそば」をオンラインショップで販売開始。

「飽きずに毎日でも食べられる優しい味わい」のソース焼きそばであり、毎日無理なく食べられる味わいにすることで、栄養摂取量が底上げされ、より健康的な生活を送ることができるように作られている。また、栄養面や健康面を気にして即席麺を控えている人でも、ソース焼きそばの香ばしさと旨味を楽しみながら、罪悪感なく毎日でも食べられる商品に仕上がっている。

オルガノイド技術

出典:Forbes『日揮グループは、なぜ培養肉に挑むのか 「オルガノイドファーム」の原動力』

日揮グループはヘルスケア、ライフサイエンスの分野を活かすべく培養肉(クリーンミート)事業に新規参入し、新会社「オルガノイドファーム」を設立。牛や豚などの動物の細胞からつくる「オルガノイド技術」を活用した培養肉の商用化に取り組んでいる。

「オルガノイド技術」は食肉組織から特定の幹細胞を取り出し、効率よく培養して食肉オルガノイドと呼ばれる組織体を作成する手法。もともとは再生医療の分野で発達してきた技術であり、余計な材料を使わずに細胞自らの力で組織化して機能を持った臓器が自然にできるという特徴がある。

開発にあたっては、横浜市立大学の保有するオルガノイド作成技術を食料生産へ応用するための特許ライセンス契約を締結しており、2030年に商業プラントの運転開始を予定している。

GOOD Meat 3

世界で初めて培養肉を発売した米GOOD Meat(イート・ジャストの子会社)が、シンガポールの小売店で培養肉を販売することを発表した。

GOOD MeatはHuber’s Butcheryと提携し、製品に3%の培養肉を使用した新製品「GOOD Meat 3」を2024年中にHuber’s Butcheryの冷凍コーナーで販売予定。

「GOOD Meat 3」はHuber’s Butcheryの冷凍コーナーで120g、7.20シンガポールドル(約820円)で販売される。やや割高ではあるが、消費者が気軽に購入できる製品として冷凍コーナーに陳列された意義は大きいとされている。


・世界的な人口の増加と食生活の欧米化による食肉消費量の増加で、タンパク質の需要量が供給量を上回る「プロテインクライシス(タンパク質危機・タンパク質クライシス)」が起きると予想されている。現状の農業・畜産業による供給では、2030年までに需給バランスが崩れ始めるという予測もある

・世界の人口は2050年に90億人に達する。この人口増加に対応するためには、2000年と比較して食料生産を1.55倍に増やす必要がある。食肉の消費量は世界全体で30%増加すると予想されている。

・2050年までに、食糧不足や自然災害による避難民が、世界で10億人以上にのぼると考えられている

出典:特定非営利活動法人 ハンガー・フリー・ワールド

・インドと中国は、その人口ボリュームから、世界の食料需給に大きな影響を与える存在となる

・国際連合食糧農業機関(FAO)は、人口増加をきっかけに「2050年の農業生産(食糧・飼料・バイオ燃料)の生産量を、2012年の基準よりも50%以上増加させる必要がある」と発表している

出典:FAO 「食糧と農業の未来 - トレンドと課題(The future of food and agriculture – Trends and challenges)」の概要

・異常気象による作物の不作や砂漠化、南極の海水が上昇することによる作付け面積の減少など、気候変動も要因の一つとしては重要なファクターである

・石油の代替として、バイオ燃料やバイオプラスチックの生産技術が確立しつつある。アメリカでは収穫されたトウモロコシの3割がバイオ燃料に転換されているが、食料危機の遠因になっているとの意見もある

・アジア・アフリカの食料輸入は拡大。北米、欧州、オセアニアは輸出量が拡大し、中南米は輸出に転じると考えられている

出典:ハーバード大学研究員に「フェイクミート」は本当にカラダにいいのか聞いてみた/DIME

•イスラエルの食品技術企業Future Meat Technologiesが世界初の培養肉生産施設を開設した。施設では一日に500kgの培養肉を生産することが可能である。

出典:Gigazine

・フードテックにより、植物性たんぱく質から食肉を再現したり、パスタ単品で必要な栄養素を摂取するなどの食生活が実現する

出典: 世界で注目を集める「昆虫食」は、日本の食シーンに革新をもたらすか /FOODS CHANNEL

・FAOの推奨する昆虫食は、代替食として栄養価に優れ、家畜飼育よりもかかるコストや温室効果ガス排出量が少ないとされる

https://twitter.com/Har7201/status/1467110032043290630?s=20&t=0QmEf2QLRtjoj–n9QQdfA
出典:Twitter

・ロボットを導入したハイテク施設で、食用コオロギの養殖効率が上がっている。通常の3/1の時間で、50%大きく育てることが可能になったという

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