ワイヤレス電力伝送とは?
ワイヤレス電力伝送(Wireless Power Transfer, WPT)とは、ケーブルや物理的な接触なしに電力を供給する技術のこと 伝送方式には、非放射型の電磁誘導方式、磁界共振方式、放射型のマイクロ波方式、レーザー方式などがある。
電気自動車(EV)の充電ステーションや走行中の道路からの継続的な電力供給、宇宙からの電力の無線伝送、医療インプラントデバイスや工場・家庭でのセンサー・ロボットデバイスの給電といった用途が想定されている。
予想される未来社会の変化
- スマートモビリティや産業用ロボットが有線で充電するという物理的制約から解放され、電動化・自動化・コネクティッド化が促進される
- 家電製品や電子機器のコードレス化が進み、住空間の設計の自由度が高まる
- インフラ維持コストが低減し、災害に強い電力供給システムが構築される
トレンド
Lighting mat
ビー・アンド・プラスはワイヤレス給電技術を活用した『Lighting mat』をオンラインショップにてテスト販売を行っている。
Lighting matは、ワイヤレス給電技術を活用することで、マットの上に置くだけで電気が届くマット。コードのわずらわしさを解消し、おしゃれな光の空間演出に活用できる画期的な製品。持ち運び自由で、マット上であれば、どこでも電気を得ることができる。
マットには、電力を伝送するためのコイルが埋め込まれており、電流を流すと、コイルの周りに磁束が発生する。 マットとLED付き受電コイルが近接すると、マット側の磁束によって、受電コイルにも電流が誘導されLEDが点灯する。磁束は金属以外の物質を通過する為、マット上にテーブルランナーなど薄い布地を敷いても利用できる。
マットの上に敷くテーブルランナーの色や柄は好きなものを選ぶことができ、店舗のイメージ、テーマカラー、メニューに合わせたコーディネートが可能。また、LED付き受電コイルのカラーや点灯方法を変更することでコンセプトに合わせた演出ができる。非接触給電なので、感電や火災の心配もない。
電界結合ワイヤレス給電システムを活用した電動キックボードの実証実験
愛知県豊橋市にある豊橋技術科学大学発のベンチャーのパワーウェーブが開発した電界結合ワイヤレス給電システムを活用した電動キックボードの実証実験が、豊橋駅周辺をフィールドに2024年1月13日(土)~2月12日(月)に実施された。
次世代ワイヤレス給電システムは、電界の変化を介して高周波電力を伝送する電力伝送方式「電界結合方式」を採用しており、このシステムを給電ポートと電動キックボードに実装した。
パワーウェーブは気が付かないうちに充電される社会を目指しており、ワイヤレス給電は、給電のために人手は必要なく、これまで有線では給電の難しかった場所が給電スポットになる可能性がある。これにより、パーソナルモビリティの駐車中充電や工場内搬送ロボットの停車中・走行中の給電を叶え、また、将来的には電気自動車に給電する技術の普及により、車体に搭載するバッテリーは小容量のままどこまでも移動可能になると期待されている。
空間伝送型ワイヤレス給電ソリューション「AirPlug™」
米・スタンフォード大学発のスタートアップ企業であり、ワイヤレス給電によって配線のない“デジタル世界”の実現を目指すエイターリンクは、空間伝送型ワイヤレス給電ソリューション「AirPlug™」を住友不動産のスタートアップ支援の一環として、スタートアップも入居しやすいよう敷金を抑え、家具やネット環境を予め完備したインキュベーションオフィスGROWTH文京飯田橋に導入する。
AirPlug™は「電波を用いて人の居住環境にワイヤレス給電空間を創る」空間伝送型ワイヤレス給電ソリューション。最大17m以上の給電距離に加え、移動体に対しても給電可能な低い角度依存性を持つ独自の送受電技術を備えており、空間内にデジタルツイン環境を構築することが可能となる。
エイターリンクの空間伝送型ワイヤレス給電AirPlug™は、センサ等のIoT機器によるセンシングの完全なワイヤレス化を実現する。これにより、配線不要でセンサ・IoT機器類の敷設・交換がソフトウェア上の登録のみで簡単に完了する為、ビルの持続的なICTインフラ環境のアップデートが可能になる。AirPlug™の空調の最適化ソリューションにより、ビル居住空間内の最適化を実現し、利用者様の利便性・快適性のさらなる向上を目指すとともに、空調運転のランニングコストを低減、排出されるCO2削減を推進していく。
・ワイヤレス電力伝送(WPT)は金属接点やコネクタなどを介さずに、電力を送電すること、およびその技術
・ワイヤレス電力伝送は、伝送方式によって非接触(近接結合)WPTと、空間伝送型WPTに大別される
・非接触WPTは、コイルを介した磁界共振や総受電の電極を介した電解結合などにより電力伝送するもの。
一般的に伝送距離は短いものの、大電力化・高効率化が可能という利点がある
・すでに非接触型WPTは、スマートフォンなどの情報端末や電動歯ブラシなどで利用されている
・空間伝送型WPTは、アンテナを用い、電波の送受電により電力を伝送する
・空間伝送型WPTは、長距離伝送に有効であるものの、伝送効率が低い
・工場内等のセンサーや災害地域への送電などでの利用を目指し、国内外で実験・開発が進められている
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