遺伝子検査・ゲノム解析/ゲノム編集技術とは?
遺伝子検査・解析技術は、個人のDNAを解析することで遺伝的な情報を明らかにし、病気のリスク、遺伝的特性や遺伝子による影響を調べる手法のこと。ゲノム編集技術は、特定の遺伝子をターゲットにして編集し、DNA配列を変更する技術のこと。
ゲノム編集技術は農業、畜産などの分野で活用され、大きな成果を上げている。医療分野での活用には倫理的な問題が伴い、法的枠組みの整備が求められる。
予想される未来社会の変化
- 疾病リスクの予測やゲノム情報に基づく最適な治療法・薬剤選択が実現する
- 「デザイナーベビー」など生命の人為的改変に関する倫理的議論が活発化する
- 遺伝情報による差別や遺伝子格差社会の出現が懸念され、遺伝情報の保護に関する法整備や規制が必要となる
- 遺伝子データに基づいてパーソナライズされた商品の開発(食品、化粧品など)が進展する
トレンド
「ジーンクエスト ALL」遺伝子×「カロミル」食事データ連携およびその有用性についての検証
ライフログテクノロジーは、食事・運動・体重管理アプリ「カロミル」を開発し、ジーンクエストに「カロミルアドバイス」を提供。このサービスでは、ジーンクエストの遺伝子解析サービス「ジーンクエスト ALL」と「カロミル」のデータを連携し、ユーザーの同意のもとでデータ解析を行った。これにより、遺伝子と食事データの相関を解析し、個人の体質に合った食事メニューの提案に役立つ有用な知見が得られる可能性が示唆された。
ジーンクエストの遺伝子解析では、BMIの遺伝的タイプや年代別のBMI推移傾向を確認できる。しかし、実際のBMIは遺伝子だけでは決まらず、日々の生活習慣、特に食事や運動が大きく影響する。遺伝的傾向と実際のBMIが一致しない人に注目することで、疾患予防や体重管理に役立つ知見が得られる可能性がある。具体的には、高BMI傾向の遺伝子を持ちながら実際には高BMIでない人の食事内容を分析し、同様の遺伝的タイプの人への食事提案につなげることが期待されている。
検証では、「カロミル」をツールとして使用し、「カロミルアドバイス」では食事データをAIで自動計算し、カロリーや28種類の栄養素をグラフで視覚化した。体重、BMI、運動データもダッシュボード上で表示されるため、容易に分析が可能である。さらに、記録データはCSV形式で出力でき、遺伝的タイプとの関係性を分析する際に活用できる。
結果として、同じカロリー摂取や運動量でも遺伝的タイプによってBMIに差が生じる可能性が明らかになった。今後は、食事データに遺伝子データを組み合わせることで、遺伝的タイプに応じた最適な食事提案や、特定疾患リスクの継続的な判定が期待される。また、新薬や食品開発試験においても、遺伝子と食事データを考慮したモニタリングの価値が高まると見込まれ、企業向けのデータ提供の進展も期待されている。
GeneLife CONNECT
ジェネシスヘルスケアは、日本の消費者向け遺伝子検査サービスブランドであるGeneLifeと共に、新しいサービス「GeneLife CONNECT」をリリースした。このサービスは、遺伝子検査サービスへのアクセスを向上させることを目的とし、独自のキットと価格体系を持つ画期的な内容となっている。特に初期検査料金が免除されることで、利用者は費用対効果の高い月額サブスクリプションを通じて遺伝子検査を受けられるようになる。
GeneLife CONNECTでは、利用者は自分の遺伝的結果にアクセスでき、健康管理や予防、祖先調査などの多様な機能を利用することが可能。また、利用者は自分のDNAデータを安全に保存でき、遺伝子データに興味を持つ研究機関や企業と連携する機会も提供される。
さらに、オプトインプログラムを通じて、匿名化された遺伝データを共有し、報酬を得ることも可能であり、これによりゲノム研究の進展に寄与することが期待されている。
GeneLife CONNECTのサブスクリプションを利用することで、利用者は将来にわたって個人の遺伝データを安全に保管し、ゲノム科学の進展や新機能の追加に応じて、継続的なアップデートを受け取ることができる。
Fuji Kimeraレポートによると、ジェネシスヘルスケアはこれまでに270万件以上の遺伝子検査を実施し、日本における消費者向け遺伝子検査サービスの72%のシェアを占めています。
BeneFitness
Alfreeは、法人向けを主軸にして遺伝子検査付きオンラインフィットネス「Benefitness for Business」を展開している。
また、心理学×マーケティングリサーチのアプローチで性格診断事業を展開するディグラム・ラボと連携し、遺伝子検査と相性の良い「保険代理店のニーズ」を合わせて、保険営業の成約率向上するサービス「Genoグラム ブースター」も提供開始した。
本サービスでは、性格診断により顧客の性格や特性を理解し、診断結果を基にしたカスタマイズ営業アドバイスを提供する。また、遺伝子検査により保険への興味を引き立てることができ、オンラインフィットネスにより顧客と接点機会を増やすことができるという画期的な営業ツールになっている。
・遺伝子検査キットのビジネスは、アメリカの「23andMe」が2007年から唾液による消費者への遺伝子検査の提供を行ったところから始まる。すでに2000万人を超える利用があったといい、収集されたデータは社内の研究者により、遺伝性疾患の研究に役立てられてる。
新型コロナウイルスでも60万人のユーザーが研究のためにデータ提供を選択しており、その圧倒的なデータ量から、何らかの研究成果が期待される。新型コロナウイルスでは人によって重症化したり、無症状であったりと、遺伝的な要因があるのではとされる。
・日本でも2017年頃から唾液や毛髪を使った遺伝子検査キットビジネスが流行。多くがオンラインサイトで価格1万円~3万円程度で購入でき、唾液や毛髪などの検体を郵送するなど、非常に簡便に検査できるようになっている
・日本で販売される遺伝子検査キットは、疾病リスクや体質傾向、ダイエット、美肌、薄毛、子供の能力等の判定であり、非常に幅広い
・検査の質については、医療機関が介在しないことから確立されているとは言えない。今後法規制が検討されているという
・新型コロナウイルス感染拡大により、自宅用の検査キット開発が進んでいる。アメリカのMammoth Biosciencesは、自宅検査キットをコンシューマー向けに販売。コロナウイルスの検査簡便化、検査の自宅化を契機に、あらゆる検査を自宅で手軽に行うことが一般化する可能性がある
・妊娠検査薬、HIV、コレステロール、アレルギー、ピロリ菌などの自宅用検査キットが、すでにドラッグストアやECサイトで広く販売されており、このような検査キットは生活者の手に取りやすく身近な商品となってきている
・今後は遺伝子データの活用方法が争点となる。
遺伝データによる雇用プロセスや保険加入の際の差別に用いられるのでは、という懸念もある。しかし、遺伝子データはデータ母数が多いほど精度が向上するため、適切なデータ活用ルール策定の上、一層の進展が求められる
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