高度粉末化・リキッド化技術とは?
高度粉末化・リキッド化技術とは、食品・金属・薬品などを粉末や液体に変換する技術で、フリーズドライ、マイクロカプセル化、ホモジナイゼーション(均質化)、超臨界流体抽出などの手法がある。
食品については素材の栄養素はそのままに粉末化・リキッド化されることで、保存性が大幅に高まりフードロスの削減につながる、分量調整や調合が容易になり二次加工がしやすくなるといったメリットがある。
予想される未来社会の変化
- 多様な食物を摂取・吸収しやすい状態に加工しやすくなり、介護食や完全食等が進化する
- 食物の保存性が向上することで、フードロスの削減が進む
- 粉末の粒子の大きさによる人体への吸収度や作用の違いを利用した食品が増える
- 原材料の濃縮・軽量化により、物流コストと環境負荷が劇的に削減され、サプライチェーン全体が効率化される
- 水や栄養素の最適な形態での供給が可能となり、農業や畜産業での資源利用効率が向上する
トレンド
納豆菌を大量培養して乾燥粉末にした新食材「kin-pun」
慶應義塾大学発のベンチャー企業、フェルメクテスは、納豆菌を大量に培養し乾燥させた新食材「kin-pun」を開発。この「kin-pun」は、小麦粉や片栗粉の代替として、パンや唐揚げの製造に成功している。
納豆菌粉の特徴として、高タンパク・高栄養であること、そして長い食経験に基づく安心感がある。また、納豆菌は指数関数的に増殖するため、生産効率が圧倒的に高く、環境負荷の少ないアップサイクルフードとしても評価されている。
「菌タンパク質」としての「kin-pun」は、納豆菌を粉末化した食材であり、納豆に含まれる菌だが、普段は目に見えないため、食材として意識されていなかった。現在、タンパク質不足が深刻化している中で、「菌そのものをタンパク質源」として捉え、新たな持続可能な食材として実用化されている。
特に注目すべきは、その圧倒的な生産効率で、納豆菌は約60分で2倍に増殖し、優れた生産能力を示す。十分な培養液と大きなタンクがあれば、スプーン1杯の納豆菌から24時間後には1600万倍、つまり16トンにまで増える計算になる。
高タンパクでありながら美味しい「kin-pun」は、従来のパンやドレッシングとして日常の料理に取り入れられる可能性が高く、今後の社会的な実装が期待されている。
オーランチオキトリウム
ユーグレナは藻類大量培養技術を活かし、DHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含み魚介風味が特徴の食品原料等として注目されている微細藻類である「オーランチオキトリウム」の生産体制を構築し、沖縄県石垣市にて商業生産が可能になったため、食品原料販売および受託培養・生産を開始した。
DHAは人間に必要な栄養素である必須脂肪酸の一つであり、人間の体内で合成することができないため、魚介類等から摂取する必要がある。
オーランチオキトリウムは海洋環境の持続可能性が危惧される昨今において、環境保全の観点からプラントベースのシーフード代替素材としての活用も期待されている。
バランス栄養食『COMP』パウダータイプ
COMPはバランス栄養食『COMP』シリーズの企画・販売を行っている。COMPは場面ごとに最適な栄養摂取を、厳密に設計された製品の開発によって提案し続ける栄養食ブランド。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に「完全食」「完全栄養食」をコンセプトとしたトータルバランスドモデル(TB)、食事において摂取する糖質量の調整を容易にする糖質調整モデル(LC)、エナジーバーやエナジードリンクなどの特定の課題解決を目指すためのコンセプトモデル(C)の栄養モデルを用意している。パウダー、グミ、ドリンク、バー・ブロック、アイス等、幅広いアプリケーション展開を実現する開発力も特徴。
また、COMPでは厚生労働省『日本人の食事摂取基準 (2020年版)』において定められているエネルギー必要量と栄養素の摂取量に関連する指標(推定平均必要量、推奨量、目安量、耐用上限量、目標量)、並びにそれらに関連する記述等を参考として独自の基準(18歳以上の成人を対象)を設けており、外部の分析機関での栄養成分分析を行っている。
・液体や固形のままでは取扱いしにくい素材を、品質や特徴を損なわずに粉末化することで、製造効率が向上する
・飲料や食品に混ぜる際、分量の調整がしやすい・水溶性が高い・発色が良いという特徴があり、加工食品との相性がよい 。プロテインクライシスの解決に繋がる。
・粉末化することで体内吸収率が向上する。栄養素を効率的に摂取できる。人口増加と新興国の経済発展により、人類が必要なタンパク質の需要を満たすことができないと予測するプロテインクライシスの解決に寄与しうる。
・飲料や食品に混ぜた際にも色や風味が失われない
・粉末化することで、分量計測が容易となり、機械的処理が容易となる
・粉末化技術は食品だけでなく、製造業でも利用が期待されている金属3Dプリンターの材料となる金属粉は、製造物の品質に大きく影響するため高融点金属の球状粉末化技術の開発が進められている
・廃棄される野菜や果物を粉末化することで建材として利用する技術も開発されており、食品ロスの削減が期待されている
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