都道府県別 観光客の動向調査 (Twitterビッグデータによる行動変化のSNS分析) 第6回 2021年3月
47都道府県の動向
D4DRでは、観光地への往来が回復し、産業として復興するよう応援・確認する目的から、20年10月より47都道府県ごとのSNS上の観光話題の動向を定点モニタリングしている(対象のソーシャルメディアはTwitter、主に話題量の変化から状況を分析している)。過去の公開記事一覧はこちら
都道府県別 旅行・観光話題量の変化(前年同月比)
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12月の宿泊数は前年の59%と再低下
感染再拡大にともなうGoToトラベルの全国一斉停止
前月同様、まずは観光庁における都道府県別宿泊者の統計データを確認する。全国的な感染拡大を受けて、月末からGoToトラベルが全国一斉で停止された12月。前年比7割と回復途上だった宿泊利用は再度減少に転じ、前年の59.1%となった(図1)。
緊急事態宣言が1か月延長、話題量はほぼ横ばい
Twitter上の47都道府県別の観光話題量を比較
続いて、前回同様1か月に観光話題(”47都道府県名”、及び”観光”または”旅行”のキーワードを含むツイート ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外)が多くみられた都道府県を分析。 21年1月から2月の主要な関連動向は、以下となる。
■1月
・東京都の1日の新規感染者数が初めて2,000人を上回る(1/7)
・1都3県を対象に、緊急事態宣言の再発出(1/7)
・宮崎、熊本、三重、長崎において独自の緊急事態宣言を実施 (1/7~順次)
・緊急事態宣言の対象地域に7府県の追加(1/13)
・北海道の集中対策期間の2/15までの再々延長発表(1/14)
■2月
・10都府県を対象に緊急事態宣言の1か月延長決定(2/2)
・東京都の1日の感染者数が500人を下回る(2/7)
・栃木県における緊急事態宣言の解除(2/8)
・北海道における集中対策期間の再度1か月延長(2/13)
・4/12からの、65歳以上のワクチン接種開始予定の発表(2/24)
2月の話題量上位をみると、計測開始以降の最低水準だった前月からはほぼ横ばいの話題量となった(2月の日数(28日間)を勘案)。
前年2月の話題量を最も下回ったのは大阪の35.6%
前年同月比は1月からさらに低下している
次に、季節要因による増減を排除して考察する目的から、前年と比べて観光の話題発生の減少が大きい、特に課題のみられる都道府県を確認。21年2月の前年同月比ワースト10の都道府県を調査した(図3)。
2月の前年同月比ワーストは前月に続き大阪で35.6%(12月以降3か月連続のワースト)。同月には京都が1月の59.5%(ワースト12位)から39.8%(ワースト3位)へと急落している。他も多くが、計測後の最低基準となった前回1月の前年同月比を更新している。
なお、20年2月は宿泊数はコロナの影響が出始めて若干の減少に転じており、その数値と比較しての4割、ということも忘れてはならない。
参考までに図4では21年2月の話題量(縦軸)と前年同月比(横軸)の関係をマッピングしている。1月と比べてもよりいっそう左下へとシフト(話題量、前年同月比とも低下)し、課題水域を示す緑枠(件数5,000件以下、前年同月比80%以下)にマッピングされる都道府県が集中した状態が続いている(前年同月比がワースト10の(=課題が窺われる)都道府県を赤字で示している)
比率は変わらず高いが、言及量が減少!
「各都道府県の観光客が少ない」状態が日常となりつつある
別の視点として、話題から各都道府県への観光客の「戻り」を把握するため、19年の平均観光話題量上位10都道府県(初回記事にて選出)を対象に、客足のボリュームの印象に言及した内容に絞った調査も行っている(図5、 “都道府県名”、及び”観光客”または”旅行客”、併せて”多い””少ない”のキーワードを含むツイートを分析 ※拡散によるBuzzを排除する為リツイートは除外 )⇒ダウンロード資料では全都道府県掲載!
※例:次のようなツイートを調査
昼飯に出たけど、四条烏丸、むっちゃ人が少ない!観光客、とくに外国人をぜんぜん見かけない。雨のせいもあるかもだけど、未だかつてこんな状況は見たことおまへん(´・ω・`) #京都 #四条烏丸
— エル嵐山 HR995MR441/ tacozbo Lv48 (@El_Arashiyama) April 1, 2020
観光客が少ないので退屈そうな鹿#奈良公園 pic.twitter.com/AJbx4FsFRN
— うましかじじい (@umashika_jijii) April 4, 2020
京都、奈良といった観光立県の都道府県においても、観光客の少ない現在の状態が1年続くともはや特別なことでなくなり、日常となっている。比率でみると、”少ない”の出現率は、コロナ前の平常時と比べて高い状態が続いており、状態は変わらずに関心が低下したことを示している。次月以降は”多い”のボリューム、比率の回復を中心に変化を追っていく必要がありそうだ。
各地が緊急事態宣言下にあり、 GoToトラベルの全国一斉停止が続いた21年2月には、以下のようなツイートがみられていた。
北海道も集中対策期間ってのはなってるんだよー😂
— meme/naba (@memenaba) February 12, 2021
本当、うちもずっと混んでるし忙しいよー(郊外ショッピングモールだからかなぁ🤔)。逆に観光客が少ないせいなのかなんなのか街中は前より人が少なかったりするの。こっちは2人以上の飲食はなんか出来ない雰囲気あるなぁ🤔💦💦
仕事終わりに京都駅に立ち寄ったけど、いくら冬の平日やいうたかて、人少ない。券売機も半分以上電源切られてる。コロナなかったら外国人観光客わんさかしてたやろうにな。 pic.twitter.com/zSLdamHdSn
— 彊(きょう) (@owmist) February 2, 2021
現地調査の一環として行こうと思ってた施設が休んでたり、国際通りも体感半分くらいシャッター閉めてて(自粛)ほんとに沖縄観光客がいないんだな〜と。人が少ないのは感染症対策としては好ましいことだけど、このままでもつのか…と心配になったなぁ。
— asuka (@2932) February 24, 2021
21年3月下旬時点では、3月21日まで再延長された政府の緊急事態宣言は解除された。だがGoToトラベル開始は当面見送りが表明され、東京都では飲食店の時短要請が続いている。感染者数は下げ止まり傾向にあり、宮城や山形など一部の都道府県で、別途独自の緊急事態宣言が出されている。
一般市民にむけたワクチン接種は、4月12日以降に65歳以上の高齢者からの開始を予定している。今後はそれをふまえた施策や新基準がつくられ、旅行ムードもでてくるだろう。海外では航空会社や旅行会社の株が上昇し、日本でも原油の価格は大幅に上がるなど、観光再開を見据えた兆しは見えてきた。D4DRでは引き続き、月1回Twitterを対象に前月分の定点調査結果を公開し、数値から復興の動向を継続的に分析していく。
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Ichiko Oki
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