ミレニアル世代はどんな人?消費動向と価値観を探る
・ミレニアル世代が育ったのはどんな時代?
・調査からみるミレニアル世代の消費動向
・ミレニアル世代の富裕層像および贅沢の概念の変化
ミレニアル世代は、1980年代から1990年代に生まれた世代を指す言葉として使われています。D4DRでは、1981~1996年生まれの世代のことをミレニアル世代と定義しています。
ミレニアル世代は2019年現在、23歳~37歳。消費の中心を担うようになってきている世代です。そのため、「モノ消費からコト消費へ」、「〇〇離れ」といった消費動向の変化は、ミレニアル世代の消費に対する意識がこれまでの世代と異なっていることが要因であると考えられます。
ミレニアル世代は、消費についてどのような価値観を持っているのでしょうか。本記事では、様々な調査データをもとに、ミレニアル世代の消費動向を整理します。
ミレニアル世代が育ったのはどんな時代?
ミレニアル世代が子ども時代を過ごした時期は、平成時代(1989~2019年)と重なります。
平成期には、1990年代初頭のバブル崩壊後の景気低迷期や2008年のリーマンショック、1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災、一連のオウム真理教事件といった数々の出来事が経済・社会的な動揺を引き起こしました。ミレニアル世代はこのような出来事を子ども時代や10代・20代で経験しています。特に、不況や金融危機の経験は現在の消費に対する意識に影響を与えていると考えられます。
また、ミレニアル世代は、幼少時代や10代の頃からパソコン・携帯電話などのデジタル機器やインターネットに親しんで育った「デジタルネイティブ」世代と重なると言われています。
5年ごとに行われている内閣府の消費生活実態調査によると、二人以上の世帯のパソコンの普及率は、1999から2004の間に42.8%から69.3%へと大幅に上昇しました。この間、ミレニアル世代で最年長の1981年生まれの人は18歳~23歳、最年少の1996年生まれの人は3歳~8歳で、成人までの子ども時代や10代をパソコンがある環境で過ごした人が多数派であることがうかがえます。
ミレニアル世代は、スマートフォンやSNSの利用率も他の年代より高くなっています。SNSやパソコン、スマートフォンを通じてインターネットに触れ、様々な情報に触れる機会が多いため、多様性を当たり前のように受け入れていることも特徴です。総じてリベラル志向が多く、ジェンダー・セクシュアリティのあり方や人種、移民、外交においても多様性を重んじ、寛容であるケースが多いようです。
調査からみるミレニアル世代の消費動向
ここからは、ミレニアル世代の消費動向について整理していきます。まずは、消費に欠かせない「お金」について、ミレニアル世代の意識を調べた調査を紹介します。
貯金意識と投資・資産運用に対する関心が高い
2018年にマクロミルが行った調査では、ミレニアル世代は、他の世代と比べて貯金意識や投資・資産運用への関心が高いことが明らかになっています。
図からは、ミレニアル世代は貯金をしている人が約55%と過半数にのぼり、他の世代の割合を大きく上回っていることがわかります。
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000455.000000624.html)
また、投資・資産運用についてはミレニアル世代の約44%が興味を持っており、他の世代よりも興味を持っている人の割合が高くなっています。
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000455.000000624.html)
モノ消費からコト消費へ
近年、消費傾向が従来の「モノ消費」から新しい「コト消費」へとシフトしていると言われています。体験や思い出、人間関係などに価値を見出す「コト消費」という概念は、ほとんどの人が生活に必要なモノを所有している状況で、価値基準の多様化に伴って生まれました。モノに対する価値感が変化したことも事実ですが、前の世代よりも収入が減ったことも影響していると考えられます。
シェアリングエコノミーに前向き
また、ミレニアル世代はその他の新しい消費の形も前向きに受容する傾向にあります。
2019年に株式会社テスティーが20代を対象に実施した調査では、シェアリングエコノミーについて「とてもいいと思う」「いいと思う」と回答した人が半数以上にのぼり、多くのミレニアル世代が前向きに捉えていることがわかります。
(出典:https://ecnomikata.com/column/21887/)
ブランド価値よりも自分に合ったもの
また、ミレニアル世代は、モノを購入する際にブランドよりも自分に合ったものを重視する傾向にあることがわかっています。
先ほどと同じ株式会社テスティーが2019年に行った調査では、ブランド価値について、全体の約7割が「ブランド価値より、自分に合ったものが欲しい」と回答しています。
(出典:https://ecnomikata.com/column/21887/)
買い物時にSNS・Webを積極的に利用
ミレニアル世代は、多くの人が買い物時にウェブ上の情報を参考にしています。
先ほども引用したマクロミルの調査では、ミレニアル世代のうちSNSの情報に影響を受けて買い物をする人が約51%にのぼり、そのうちの約56%がInstagramに最も影響を受けていると回答しています。
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000455.000000624.html)
また、2018年に株式会社テスティーが行った調査では、20代の男性・女性ともに過半数がWeb検索を利用し、40%以上の人が口コミサイト・掲示板を参考にしています。SNS検索も男性は27.3%、女性は43.4%の人が情報源としており、インターネット上の情報を重視して商品購入を検討していることがわかります。
(出典:https://ecnomikata.com/column/18146/)
ミレニアル世代の富裕層像および贅沢の概念の変化
富裕層や贅沢の概念に関しても、前の世代とは大きな変化が見られます。ミレニアル世代以前は、いわゆるステレオタイプな贅沢の仕方(スポーツカー、スイス製腕時計、ラグジュアリーブランドの服や雑貨など)が一般的でしたが、ミレニアル世代以降の価値観は多様化しています。服はセレクトショップのシンプルでカジュアルなアイテムで統一し、スニーカーにお金を掛け、贅沢なスイーツを食べ、オシャレなキャンプを楽しむなど、ミレニアル世代以前と比較すると、地味に見えます。また、全体的にハードよりもソフトにお金をかける傾向もあり、モノの豊かさよりも心の豊かさを重視する傾向が見て取れます。
実際に、ステレオタイプな贅沢であるスポーツカーはライフスタイルに応じたRVに、スイス製時計は高機能なapple Watchなどのウェアラブルデバイスに、価値観は変化しているようです。
エシカル消費への関心
またミレニアル世代以降は、SDGsに対する関心も高く、それは富裕層においてさらに顕著です。他人や社会のために善いことや、自分が心理的に良いと思うことに対しては、お金を惜しまない傾向にあります。消費傾向としては、フェアトレード、地産地消、オーガニック、伝統工芸、動物愛護、差別解消、寄付付き商品、リサイクルなどが支持されています。例えばオーガニック食品に関しては、自分の安心・安全に加えて、子ども世代に汚染の少ないサスティナブルな環境を残したいという意識も持っていると言えます。
ミレニアル世代の価値観は、有名なブランドや高価であるといった客観的な価値よりも、自分のライフスタイルや感性に合致するかどうか、自分らしくいられるかといった主観的な価値が支持される傾向にあるのです。
まとめ
以上のように、調査からは、ミレニアル世代の消費動向には「モノ消費よりコト消費を重視」「シェアリングエコノミーに前向き」「ブランド価値より自分に合ったもの」「買い物時にSNS・Webを積極的に利用」といった特徴があることがわかりました。
ミレニアル世代以前と、ミレニアル世代以降の消費動向や価値観の大きな違いは、以下のような点にあると考えられます。
- デジタルが当たり前という価値観が根付いている。
- 価値観の押し売りはNGで、多様性を重んじる傾向にある。
- モノの価値よりも体験価値を重視し、学びや体験、豊かな人生につながることにお金を使うことが普通で、抵抗が無い。
- マス的に提供される商品やコンテンツへの興味が薄く、自分にパーソナライズされた商品やコンテンツに価値を見出す。
- ステレオタイプな贅沢はダサいと感じていて、自分らしく、オシャレな贅沢を好み、楽しい非日常体験に価値を感じている。
- エシカルに対しての興味が高く、自分だけではなく社会のために良いことに対しての興味が高い。
Yoshida
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